10月12日に三重県・鈴鹿サーキットで行われたF1世界選手権・日本GPで、観客席を埋め尽くした15万5000人の観衆を熱狂させた佐藤琢磨。そのわずか5日前に、来シーズンのフル参戦を発表していた佐藤にとって、日本GPは、そしてそのレースで6位入賞を果たしたことは、まさに来季へのステップという意味で、格好のレースとなった。
佐藤琢磨は現在26歳。1987年に日本人として初めてF1フル参戦を果たした中嶋悟氏から数えて、7人目のF1レギュラードライバーだ。F1にデビューしたのは昨年。ジョーダン・チームから参戦し、序盤は初めてのF1に戸惑う場面も見られたが、最終戦・日本GPでは、自身最高位となる5位入賞を果たした。
今年はレギュラー・シートこそ確保できなかったものの、B・A・Rホンダのサードドライバー(メインの仕事はマシンの開発テスト。しかしレース時にはチームに帯同し、レギュラードライバーに不測の事態が発生した場合、代わって出場する)を務めながら、04年のレギュラーシート獲得を目指していた。
そんな佐藤がイギリスへの帰国(佐藤はイギリス在住)を目前に控えた4日、国内プレスを前に、来季に向けた意気込みを語ってくれた。
まずは、来季参戦発表〜日本GPへの突然の参戦決定と慌しく揺れ動いた、今年の日本GPの1週間についてから。
「もともと僕とチームの契約は3年なんです。サードドライバーとして、まず1年あり、そしてレギュラードライバーとしてのオプション契約が2年です。ですから今年は、ずっと来年はレースをするんだ、という思いを抱きながら、テストを行っていました。そしてアメリカGPを終え、イタリアでテストをして、日本GPのために帰国する前日に、来季はレギュラードライバーとして契約する、という連絡を受けたのです。もちろん、うれしかったですが、僕としてはそのつもりでしたから、驚きはなかった。むしろ驚いたのは、日本GPに出場するんだ、という連絡が入ったときですね。
確かに僕が鈴鹿を走るんじゃないか、というウワサはありました。ですが、普通は考えられないことです。だってチームは、年間を通して戦うために、レギュラードライバーと契約しているわけですから。しかも日本GPの結果には、コンストラクターズ選手権でチームが5位になれるかどうかもかかっていたわけですからね。ですから鈴鹿で走れることになっても、自分のためにというより、チームのために走る、という思いが強かったです。そして結果として6位に入賞できて、チームに貢献できたことは、本当に良かったと思っています」
10月に最終戦を終え、F1はいま、オフシーズン。しかし、だからといって休んでばかりいるわけではない。今月25日には、来シーズンに向けた開発テストがスタートする。佐藤も、もちろんこのテストに参加するため、11月10日には日本を離れることになっているのだ。
「日本GPの後は、日本でPR活動をしていました。そして10日にはイギリスに戻り、今月25日から始まるスペイン・バルセロナでの開発テストに備える予定です。
今チームの雰囲気は、すごく良い状態です。やはり鈴鹿でジェンソン(・バトン。チームメイト)が4位に、そして僕が6位に入り、選手権を最高の形で締めくくることができたのが大きいですね。なんとか、この勢いを、来年の開幕戦・オーストラリアにつなげたいとみんな思っています。だからチームからは、この冬のテストは長いぞ! って言われてます。年内に3回のテストがあり、クリスマス休暇を挟んで、年明け早々からテスト漬けになるみたいです。そんな冬の過密スケジュールをしっかり過ごして、開幕戦に臨みたいと僕も思っています。そして来シーズンはトップ3(フェラーリ、BMWウイリアムズ、マクラーレン・メルセデス)に挑んでいきたいですね」
この日行われた会見会場の近くには「出世の石段」と呼ばれる階段のある愛宕神社がある。江戸三代将軍・家光公が、この石段を馬で駆け上がった武士を褒め称えたことから、そう呼ばれるようになったそうだ。そして佐藤とのフォトセッションは、その「出世の階段」で行われた。来年、世界中から選ばれた、たった20人しかいないF1ドライバーの一人として、新たな挑戦を始める佐藤琢磨。この日、「出世の階段」を駆け上がったように、早く「表彰台への階段」を駆け上がってもらいたいものだ。
(記:11月4日)
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| B・A・Rホンダのレギュラードライバーとして、報道陣の前に姿を現した佐藤琢磨。夢をつかむとこんな笑顔になる、という見本のような、いい表情をしております! |
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| なんと愛宕神社前にB・A・RホンダのF1マシンを持ち込んでのフォトセッション。「こんなロケーションで、どんな顔をすればいいの?」といった面持ちの琢磨が微笑ましい |
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| 「出世の石段」に、仁王立ちする琢磨。次はぜひ、F1の表彰台に、仁王立ちしてほしいものです! |
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