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第1回 「 捨てられたプロレス、PRIDEの憂鬱」
第2回 「 プロレスラーという人々」
第3回 「女子総合格闘技、月森サトルを救う」

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終了後、耳にしたある言葉・・・・・・
「プロレスっておもしろいかも〜!」
グレート・ムタの毒霧がどうやって作られているかだが、実はプロレス観戦歴20年以上を誇る月森も、正確なところは知らない。想像するに、ムタ(武藤)選手から命令された新弟子の選手が、スーパーかなんかから材料(?)を買ってきて、夜中の道場で黙々と調合しているのではないだろうか? 「オレはこんなことするために、プロレスに入ったんじゃねえよ・・・・・・」とか思いながら。
 メイン・イベントのボブ・サップVSグレート・ムタの試合こそ、それなりに盛り上がったものの、終了後の僕は狐につままれたよう気持ちだった。どうにも整理がつかないまま、「結局は、ちょっと豪華な単なるプロレスだったな〜」などと思いながら、会場を出ようとしたそのとき、偶然、隣の席にいた女の子が彼氏に語るこんな感想が耳に飛び込んできたのだ。

「超おもしろかった〜! あのムタっていう人が口から緑色の変なのボブちゃんに吹いたでしょ〜。びっくりした〜。あれどういう仕組みなの〜? あの人いつもあんなことやるの〜?」

 なに? グレート・ムタの毒霧を知らない? 僕らの仲間内では、「グレート・ムタは緑の毒霧を敵に吹きつける」などというのは、「信号は青になったら渡るのだ」と同じくらいの常識なり。それを知らないとな!? 激しく動揺する僕の耳に、さらに追い討ちをかける言葉が・・・・・・。

「プロレスって初めて見たけど意外とおもしろいかも〜。また見にこようよ〜!」

 その瞬間、僕はすべてを悟った。そうなのだ。「WRESTLE−1」というイベントは、僕のように昔からプロレスを見ている、すれっからしのファンなど鼻から相手にしていないのだ。ねらっているのはこの女の子のように、プロレスというものをまったく見たことがない層。「K−1」がキック・ボクシングという言葉を捨てたように、プロレスという言葉さえも捨て去って、世間一般にも届く“バトル・エンタテインメント”をイチから組み立てようという試みなのだ。なんときっぱりした方針。そのことに見終わっても気がつかないとは、僕も相当に鈍い。とにかく、その瞬間、いま見たばかりの「WRESTLE−1」に対する僕の評価はガラリと変わってしまった。

 確かにチグハグだった部分も多い。でも、なにか新しいことをやろうとするときって、いつでもそんなものではないか。重要なのは、格闘技ブームに押されて死に体同然のプロレスを、またこんな形で再生させようとしている人たちがいるということだ。そしてその実験は、僕の隣にいた女の子に届いたように、ある程度成功していたということだ。巨大なビジョンも、花火も、スモークも、効果音も、マジックショーも、格闘技選手の投入も、みんなそのためのもの。この日、否定的な反応をした昔からの観客は、皆、無意識に「WRESTLE−1」と従来のプロレス興行を比較してしまっていたのだと思う。観客の反応の薄さも、失望というよりは、新しいジャンルを目の前にした、とまどいに近い気持ちだったのではないか。落ち目になったプロレスを、マニアではなく、未開拓の市場に届けるための“改良”こそ、「WRESTLE−1」の正体だったのだ。

 僕個人が、それにノレるかどうかは置いておいて、「WRESTLE−1」にはブレイクの予感がする。早くも来年1月には、第2回の「WRESTLE−1」がなんと東京ドームで開催されることが決定。下手をしたら、古い殻から抜け出せない、いまのプロレス団体は全部「WRESTLE−1」に駆逐されてしまう可能性だってある。

 ただ、それでもあえて言いたい。「WRESTLE−1」には決定的に欠けているものがある気がしてならないのだ。そしてそれは、プロレスのような特殊なジャンルが延々滅びずに続いてきて、いまも「PRIDE」や「K−1」という“新型のプロレス”に形を変えて人気を博している秘密でもあると僕は思う。・・・・・・のだが、長くなりそうなので、それについては、次回で。


いま、格闘技関連のネットなどでファンによって盛んに議論されているのが、吉田秀彦選手への疑惑。真偽はもちろん定かではないが、夏の「Dynamite!」におけるホイス・グレイシー戦も、先日行われた「PRIDE23」のドン・フライ戦の勝利もあやしいと言うのだ。ドン・フライはPRIDEの主催者から、「吉田に負けてくれ」と持ちかけられ、渋々承諾したものの納得がいかず日本へ向かう飛行機で泥酔したとか、試合後コメントを出すのも嫌で、腕の怪我を理由に早々に帰国したとか、さまざまな噂が飛び交っている。僕も何度もその試合のビデオを見てみたが、もちろん素人なので何の判断もつかない。ブラジルの一部選手の間では、吉田選手は「ヨチータ」と呼ばれているそうだ(“チータ”は“ペテン師”の意味)。真実はともかく、僕も吉田選手はなぜか好きになれません。(月森)


 





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