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第1回 「 捨てられたプロレス、PRIDEの憂鬱」
第2回 「 プロレスラーという人々」
第3回 「女子総合格闘技、月森サトルを救う」

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2002.12.9 UPDATE


月森サトル
text&illustration by Satoru Tsukimori


【第4回】月森サトル、「WRESTLE(レッスル)−1」にとまどう
“プロレス”を捨てた“プロレス”
新イベント「WRESTLE−1」登場

近頃、その姿をテレビで見ない日はないボブ・サップ。最高傑作はあの松本人志も「うまいわ〜」と絶賛した「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」における“ボブ・サップ七変化”だと思う。だが連日の取材・テレビ出演にさすがに疲れたのか、豪快に笑って叫ぶビースト(野獣)モードの合間に、一瞬、“素”のサップに戻ってしまうことがあっておかしかった。
 最近、テレビ雑誌の編集をやっている友達に聞いたのだが、このところテレビ・ドラマの視聴率がさっぱりだという。どんなに大スターを揃えてみても、鳴り物入りで宣伝してみてもダメだというからこれは重症。おかげで、テレビ雑誌の売り上げも頭打ちだそうだ。

 テレビ・ドラマというフィクション自体が、もうかつてのような広範囲の訴求力を持てない時代なのだろうが、それ以上にエンタテインメントとしてのクオリティがどんどん落ちてきているのも原因だと思う。どのドラマを見ても、似たような顔ぶれのタレントが、どこかで見たことのあるような話を繰り返しやっているのだから、それは飽きられて当然。まして、同じテレビ・モニターを共有するBS&CS放送、ビデオ・ゲームなどが、大量のコンテンツを投下しているわけで、ドラマも今までと同じことをやっていてはいずれ滅びる運命なのだ。

 これとまったく同じ構造が、プロレスというジャンルの衰退ぶりにも当てはまる。これだけ「K−1」「PRIDE」といった新しい格闘技が人気を得ているのに、あいかわらずプロレスは狭い世界、同じ顔ぶれで変わりばえのしない興行を繰り返すばかり。この連載の第1回でも書いたように、やはりプロレスは一部のマニアだけを相手にした伝統芸能になってしまうのだろうか?

 そんなことをまたも考えていた矢先、思わぬ事態が発生した。「K−1」の生みの親である石井和義館長がプロデュースに関わった新イベント「WRESTLE(レッスル)−1」を立ち上げたのだ。石井館長が関わるといっても、「WRESTLE−1」は、格闘技ではなく完全なプロレスのイベント。ただし、従来のプロレスのイメージを排除した、まったく新しいジャンルであり、豪華な舞台装置と画期的な演出を試みるというのだ。なにしろ実況アナウンスはもちろん、事前の宣伝・告知でも、いっさい“プロレス”の4文字を使わないのだから徹底している(代わりに“バトル・エンタテインメント”という呼称が使われていた)。プロレスの持つマイナーなイメージをとにかく排除したいという送り手の意気込みは伝わってきたし、ここ数年のプロレスにすっかり失望していた僕のようなファンは皆、この「WRESTLE−1」を期待と不安の入り混じった複雑な気持ちで待っていた。

 さて、11月17日のイベント当日。前日ようやく決まった、期待はずれの対戦カードに相当がっかりした僕は、それでも横浜アリーナに向かった。開催翌日のスポーツ新聞は、いずれも“超満員”“大成功”と書きまくっていたが、実際に現場にいた感じからいえば客席にはけっこう空席もあったし、観客の温度も意外に低いものだった。こと試合内容に関しては、期待したほど新しいものがあったわけではなく、“画期的な演出”にしても、技が決まる瞬間に合わせて特大ビジョンにメッセージが出たり、効果音が鳴り響くというお寒いもので、観客はかなり引き気味だったように思う。前半、ショッパイ(下手な)試合がだらだら続いた最中には、「WRESTLE−1は1回で終わりだ〜!」と辛らつなヤジも飛んでいたほどだ。特に、客席がざわめいたのが、米の大物選手ビル・ゴールドバーグの試合開始前。突然、「ゴールドバーグ選手は会場に到着しておりません! あと5分ほどお待ちください!」というアナウンスがあり、これを真に受けた人たちが、今のうちにとゾロゾロとトイレや売店に向かおうとしてしまった。だが、実はこれも演出の一種で、アナウンスの直後、ビジョンには車から降りて会場入りするゴールドバーグの姿が・・・・・・。それを見て、慌てて席に戻る観客たち。主催者側の意図と観客側のノリがまったくかみ合っていないのだ。


「WRESTLE−1」の演出のひとつに、まるで東京ドームの巨人戦のように、ビジョンに拍手のマークが出て、観客に手拍子を強要する、というのがあった。なんか盛り上がらない宴会を無理やり盛り上げているような苦しさがあり、正直ムカつきました!


 





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