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第1回 「 捨てられたプロレス、PRIDEの憂鬱」

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2002.6.12 UPDATE


月森サトル
text&illustration by Satoru Tsukimori


【第2回】プロレスラーという人々
月森サトル、蝶野正洋と遭遇!
これはもはやファンタジーの世界だ・・・

記念に蝶野選手と写真を撮ってもらった筆者(月森)。チーム2000のポーズを一緒にやった。撮られながら、「このポジションはいつも天山がいる場所・・・」と緊張しつつ興奮
 先日、ある映画の取材で、宣伝に協力していた新日本プロレスのプロレスラー蝶野正洋さんとお会いする機会があった。なぜ急に“さん付け”、“お会いする”なのか? 前回のコラムで「もはやプロレスに興味がもてない」という意味のことを書いたばかりだというのに、実際に本物の蝶野選手を目の前にした途端、自分のなかに熱いものが燃え上がり、思わず“さん付け”、“丁寧語”になってしまったのだ(ここから後は“蝶野選手”で統一。過剰な丁寧語もやめます)。

 それにしても蝶野選手、リングの上にいるところを客席から見たことは何度もあるのに、いざ面と向かって話をしてみるとものすごい存在感だ。もちろん体の大きさもあるのだが、そういう肉体的な威圧感ではない、人を引き付ける強烈ななにかがある。取材がひと通り終わると、映画会社の人たちもオフィスが空になるのではないかというくらいゾロゾロと集まってきて、蝶野選手と握手したり一緒に写真を撮ったりしている。なぜかみんな自然に笑顔になる。

 こういう感じは単なる芸能人や他のプロスポーツ選手とは違う、プロレスラー独特のものだ。変な例えで蝶野選手に失礼かもしれないが、ディズニーランドのトゥーンタウンで、待ちに待った末にミッキーに会えたときのような、そんな感じ。つまり同じ人間というよりも、別の世界から来た存在、ある種のファンタジーの世界の登場人物と、実際に会ってしまった驚きと興奮なのである。蝶野選手にはそういう浮世離れした雰囲気が確実にあり(会社にあんな同僚いないでしょ?)、また、イメージを保つための努力もしている。だからこそプロレスの世界でトップ・スターになれたのだろう。

 さて、蝶野選手と対面して数日後。お隣のコラム「女子プロレス・ライターというお仕事」の田中正明さんと新日本プロレスの後楽園ホール大会を観戦してきた。僕が「いまのプロレスに興味なし」と書いたのに対し、田中さんが「だったらライブで試合を見てみろ!」とコラムを通して叱咤(?)してくれたことがきっかけだ。最近はPRIDEやK−1ばかり見ていて、プロレスを生で見るのはものすごく久しぶり。エラそうに文句をたれていたくせに、いざ試合が始まると、田中さんと2人でビールを飲みながら夢中で声援を送るバカ月森は、普通にプロレスを楽しむただのファンだった。

 今回、最も印象に残ったのが、カレーマンという謎のマスクマン(覆面レスラー)。どうやらマンガの「キン肉マン」に登場するキャラをパクッたと思われるこの選手。頭にお皿に盛られたカレーが載っていて、技も“スパイシー・ドロップ”などカレーにちなんだ名前が付いている。カレーマンがピンチに陥ると、満員の観客が「カレー!カレー!」と大コール。まるで今夜の献立をお母さんにおねだりする子供たちのようだ。ちょっと冷静な目で見ればバカみたいだし、カレーマンも実はお面を付けた出稼ぎ外国人にすぎないわけだが、少なくとも試合の間の十数分間は、いい歳をした大人である観客全てが、“カレーマン”というファンタジーに酔い、本気で彼の勝利を願っていた。これがプロレスか・・・。田中さん、少しだけわかりました。でも、でもやっぱりなにかが恥ずかしいよ・・・。

この日のカレーマンは“激辛バージョン”ということだったが、どのへんが激辛なのかは筆者(月森)にはいまいち不明。試合後には「おかわりー!」との声援も飛んでいた


 





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