2007年05月31日
「Academy アカデミー」 高橋マリ子インタビュー

“ヴィクトリア・カレッジ・オブ・アーツ”(VCA)。ダンス、美術、映画、音楽など芸術分野における、オーストラリアのこの名門大学出身のギャヴィン・ヤングス監督が、同校をモデルに作った映画『Academy アカデミー』。日本からのスタッフ&キャストも参加した本作へ、エキセントリックな日本人留学生・千穂役で出演したのが、TVCMや女性誌のモデルなどで活躍する高橋マリ子だ。アメリカ人の父親と日本人の母親のハーフである彼女が二つの故郷を飛び出して、異国オーストラリアで“女優”としての新境地を迎えた。
≪profile≫
1984年4月24日サンフランシスコ生まれ。8歳からモデルとして活躍。2000年頃より「キユーピーハーフ」「J-PHONE」「キスミント」などスタイリッシュなTVCMで幅広く注目を集める。また、『世界の終わりという名の雑貨店』(01)、『凶気の桜』(02)、『ナイスの森』(06)などで映画にも出演、女優としても活躍の場を広げていく。現在は「コカ・コーラ アクアセラピー ミナクア」「資生堂HAKU」TVCMに出演。
取材・文/大場徹
撮影/根本悠
ハイテンションでエキセントリックな千穂は
英語の演技だからこそ、演じられたのかも
――今回、どんな経緯でオーストラリア&日本の合作映画である本作に参加されたんですか?
オーディションとかそういうのはなく、いきなり「千穂役をお願いします」というお話をいただきと、英語の台本がオーストラリアから届いたんです。台本……というより大まかな筋書きでしたけど、そこに書かれていた千穂に、すごく惹かれるものがあって、それで「ぜひ、やらせていただきたい!」って返事をしました。
――その返事の後、ギャヴィン・ヤングス監督とオーストラリアのスタッフと会われたわけですね。
そうです。ギャヴィン監督とは最初会ったときに英語でスッと意思疎通でき、親近感を感じられて、すぐ仲良くなれました。でも現地のプロデューサーは最初、私に大人しそうなイメージを抱いたようで、「この子が千穂で大丈夫か?」って、不安がっていたみたいです(笑)。
――でも、TVCMや過去作の印象からは、大人しそうなイメージがします。実際はどうなんですか? 千穂に似てるんですか?
確かに大人しそう、クールって印象はよく持たれます。しゃべらなそうとか(笑)。千穂については、両親や友達には「似てる」とか「結構、地だね」って言われました。でも、彼女ほどエキセントリックではないし、性格も違います。違うんですけど……オーストラリアで演技してるうちに影響を受けたのかな、千穂っぽく、少しエキセントリックな性格になっちゃっいましたね。撮影中、日本の友達へ電話したら「どうしたの!?」って驚かれるほど。電話口の私が、すごくハイテンションだったみたいで。
――ハイテンションになった、役に影響されたというのは、オーストラリアで撮影したことも影響しているのでは?
(共演の)杉浦太陽くんが言ってたんですけど、オーストラリアでは、知っている人が誰もいないという“アウェイ感”がいつも感じられて。そういう環境で演技しているうちに“ちょっと日本を離れたから、普段の自分じゃなくてもいいかな?”みたいな気持ちが生まれたんだと思います。
――英語で演技するほうが、開放感が強い?
そうですね。私は日本の学校へ通っていたので、むしろ日本語のほうが得意なんです。でも演技の場合、英語のほうがリズムがあって自分の気持ちを乗せやすい。日本語ってけっこう平坦な言葉ですから。英語のリズムがあったから、自然と千穂のリズムを作れたんですよ。日本語で演じていたら、また全然違いますね、きっと。口グセとか、ギャル言葉とかを入れたら、演じやすいかな?とは思いますけど(笑)。

自分の演技って、見るのも恥ずかしかったけど
千穂のおかけで客観視できるようになったみたい
――千穂の役作りはどんなふうにされたんですか?
ギャルっぽい役だということで、普段読まない雑誌を見たり、ギャル向けのお店に足を運んだりして、まず、ファッションから入りました。ファッションって、けっこう気持ちを左右するんです。日本でまず外見を作って、あとはオーストラリアに入ってからですね。
――オーストラリアには撮影の2週間前から入られたそうですね。
早く現地入りしたほうが役作りしやすいかなって思いました。それに、VCAを見学して、そこの空気に浸りたかったんです。いろいろ案内して頂いたんですけど、美術科の個別スペースが並んだ部屋、あれ、映画とまるっきり同じなんですよ。あと、演劇科の役作りもすごかった。教室に大きなロール紙を広げて、そこへ人間関係や感情の変化を、グラフみたい書いていくんです。私も太陽くんと一緒に書きましたよ。千穂がこうなったら、こういう感情がわいて、周囲がどうなるっていうのを延々と……(笑)。
――ギャヴィン監督とは、千穂についてどんな話をされたんですか?
ギャヴィン監督が「千穂はビョークに似ている」と言うので、ビョークの研究をしたり、監督と一緒に彼女のDVDを見たり、曲を聴いたりしました。
――そんな2週間で、千穂の相手・マシュー役についても、いろいろあったそうですね。
そうなんですよ。マシュー役の俳優がイメージと合わないということで、別の方をキャスティングすることになって。私もスカウトに街へ出ましたよ。イタリアン・レストランでウェイターに「映画に出てみない?」って声をかけてみたり。ナンパだって思われますよね? 恥ずかしい……(笑)。
――貴重な体験ですね(笑)。そういうことも含めて、今回、千穂を演じて自分の中で変わったことは?
いままでは自分の演技を見るのも恥ずかしかったんです。でも、恥ずかしいって気持ちもなくなって、「ああ、これはちょっとダメだったかな」とか、客観視できるようになったことが大きいですね。千穂みたいなエキセントリックな子、いままで演じたことなかったんです。彼女を演じたことや、アウェイでの体験が、自分を突き抜けさせてくれた気がします。
――高橋さん自身が、実際にこの美術科へ入学して強制退学までのカウントダウンを強いられたら?
退学したい!というのが千穂ですけど、私だったら……真面目に勉強しますよ。卒業したいので。
――最近、大学卒業されたばかりですよね?
はい。そっちも真面目に……卒業したかったんで(笑)。
★EDITOR'S VOICE★
★CMや写真の「クールで大人しそう」というイメージは、あくまで「~そう」なだけだった。実際の高橋マリ子はとても気さくで、よくしゃべる。2年近くも前の、撮影当時の出来事を思い出しながら、質問に丁寧に答えてくれる。時折「何の話でしたっけ?」ととぼける姿もご愛嬌。明るい彼女が、オーストラリアでも輝いていたことが伺い知れる取材だった。ただ、その微笑みと黒目がちな眼差しを、あまり直視できなかったのは私的な反省ですけど……。
「Academy アカデミー」
6/2(土)~ 渋谷Q-AXシネマにてレイトショー公開
■STORY:
成績が振るわなければ、1年後に強制退学させられる芸術大学の名門“オーストラリア・アート・アカデミー(AAA)”。この大学の映画科へ留学した隆(杉浦太陽)は、1年先輩のウェイドに見初められて、ゲイ・ムービーに出演することに。一方、親に嫌々入学させられた美術科の留学生・千穂(高橋マリ子)は、「退学したい!」という願いを叶えるべく、彼女に気のある音楽科のマシューと一緒に学内で次々と騒動を起こすが、逆に彼女の評価を上げてしまう……
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投稿者 tkurio : 2007年05月31日 14:08