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2007年05月07日

「14歳」群青いろインタビュー

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 2004年ぴあフィルムフェスティバル(PFF)でグランプリ(「ある朝スウプは」高橋泉監督・脚本、廣末哲万主演)と準グランプリ(「さよなら さようなら」廣末哲万監督・主演、高橋泉脚本・出演)をかっさらった映像ユニット・群青いろ。同作品は、カナダ、香港の映画祭でも高い評価を受け、彼らは『期待』の新人として一気に脚光を浴びた。ただ、2人は「グランプリをとったことで自分たちの作品を見てくれるきっかけになれば」(廣末)「次も(何かやるだろうと)期待されることになったので、多少身動きがとりづらくなった(笑)」(高橋)と、いたって穏やかで自然体。そして「僕たちはブレませんから」と口を揃える。しかし、(PFFの)スカラシップを前提にした新作への取り組みは、意外な迷走に陥ることに


≪profile≫

群青いろ(ぐんじょういろ):自主制作映画をつくるメンバー募集の記事で出会った高橋泉、廣末哲万が2001年に結成した映像ユニット。2004年PFFアワードでは群青いろの2作品(『ある朝スウプは』『さよなら さようなら』)がグランプリを独占する。これまでも20本以上もの自主映画を制作。既存の映画手法やルールにとらわれないスタイルが注目を浴びている


廣末哲万(ひろすえひろまさ):1978年高知県生まれ。10代から小劇場を中心に演劇活動を続ける。初監督作は『さよなら さようなら』。俳優としては市川準監督によるNTTドコモのCMに出演。山下敦弘監督の『天然コケッコー』でも重要な役を演じている

高橋泉(たかはしいずみ):1973年、埼玉県生まれ。脚本と映像を独学で学び、日本シナリオ作家協会主催の新人シナリオコンクールに選出される。現在は、脚本家として『親指さがし』をはじめ多数の作品を執筆中


取材・文・撮影/curio








「14歳」では…入り方というか取り組み方を間違ってしまって、
第一稿を書いてから、半年ぐらい悶々としていました




-「14歳」という題材を選んだきっかけを教えてください

まず、制作費があるので、いろんなロケーションを想定したり、幅広いターゲット層にむけたもの、つまり、いつもの自主制作映画では難しいことをやりたいと思いました。あと、もともと触りたい題材でもあったし。
 ただ、第一稿を書いた時点で、これでいいのか? という疑問がむくむくと沸いてきて。最初は「14歳」の子たちの視点で書いていたんですけど、もう自分は14歳でもないのに、もう忘れちゃってるのに、無理に思い出して書くのはどうなんだろう? 第一稿を書いてから半年くらい悶々としていました。
だったら、素直に大人の側、つまり「14歳」のことがわからない今の僕の側から書こうと。そう思ったらすっと入り込めて。


-そういう葛藤は、この「14歳」(の脚本執筆)に限ってのことだったんですか

「14歳」に限って…ですね。そう考えると、入り方というか取り組み方が間違ってたんです。いつもなら感情的な部分から入るんですよ。いつも話しているような日常の会話や見えている景色とか、そういう部分がベースになって。
今回は“お金が使える”“年齢層をどうしよう”とかから入ったので、ヘンなことになってしまったという。

-高橋さんからの第一稿をもらって廣末さんの感想は?

多少、釈然としないけど、描けるよ、と。イマイチ乗らないというかいつもと違う感じでした。

そう感じてるだろうなってことを感じてました(苦笑)。

-そこで脚本を2人で詰めていくという形になるわけですが、どうでしたか? 初めての体験だったと聞きましたが

いつもは高橋さんが書いてくれて、僕が撮る場合、撮影に入ってから変えていくんですけど、今回はできない状況だったんですね。スケジュール的には決めておかないといけないことがあって、ある程度、脚本で示しておかないといけなかったので。そのあたりが自主制作映画と違うわけで。

まぁ、やったことがなかったことだし、最初はよそよそしいというか、どこまでいっていいのかわからなかったんですよ。お互いに領分というようなものがあったようにも思います。僕は脚本をひとつの作品と捉えていて…

その作品はそれでひとつの完成したもので、僕はその脚本をもとに、もうひとつの作品を作るという感覚なんですね。
なので、2人で練っていく、詰めていくといっても僕はやはり映像的な感覚でしかいえないし、高橋さんは脚本的な感覚でしか語れないわけですから。
それでも決めておかなければいけない状況なので、僕はやりたい感覚とかシーンを話して、高橋さんに盛り込んでいってもらうという作業でした。

-そういう共同作業のなかで、なにか新たな発見はありましたか? また、今後もこういう創作方法もありえるんでしょうか

発見というより、自分たちを再確認したという感じだと思います。

これからもこういうことってあるのかね?

きついかったけど、ありだとは思いましたよ。それが部分的なものになるのか、どうかわかりません。もちろん、作品によるんでしょうけど。

「14歳」のあとに、もう一本作ったんですよ。そのときは「14歳」を経てだったので、当然改稿するものだと思っててシーン・ナンバーも何もふってないのを渡したら、それがそのまま決定稿になっちゃった(笑)。

前の形に戻っていたという(笑)。スタッフがみんな手書きでナンバー書いてましたね。

そんな風に“書けたらすぐ撮っちゃう”、みたいな瞬発力的なものも自主制作映画の醍醐味だとも思います。その一方で、「14歳」みたいにじっくりと時間をかけて書く・作るというのも(今後も)試してみたくはあります。


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撮影現場で細かいことまでこだわると破綻してしまうと思った。
香川さんのひと言でだいぶ救われました




-「高橋さんの脚本をまず読むのが楽しみ」な廣末さんと、撮影時に「自分の脚本がどんな風に変わっていくのか」が楽しみだった高橋さんですが、「14歳」ではそういう愉しみはなかったわけですね。では、事前にいろいろ決めておいたおかげで撮影はスムーズにいったんですか

そうですね、スムーズというか意外とやることがなかったんですよ。スタッフの方がなんでもやってくれるので、僕たちはやることがない! 自主制作映画では、自分たちが全てやらなければいけないですし、それが当たり前だったので、勝手が違うというか。

-そういう廣末さんの戸惑いは、高橋さんにも伝わりましたか

気持ちのもっていきかたが難しそうでした。やっぱりたくさんのスタッフの方々にかかわっていただいているので、その準備や段取りに時間が要するのは当然なんですよね。ただ、気持ちが途切れるというか。自主制作の現場だとずっとなにかしらにかかわってるからテンションが続くんですよ、熱さとかダウンな気持ちも含めてね。今回は待ってるあいだとか端っこでタバコ吸ってましたもん。

-自分たちが全てを把握している状況下での撮影に慣れている廣末さんは、現場ではストレスを感じませんでしたか

いい悪いの問題ではなく、しょうがないと思ってました。カメラのアングルとか、あまり細かいことをいうと破綻しちゃうとも思いました。カット割と編集のことだけ考えてたかなぁ。
 そういう気持ちを汲み取ってか、香川(照之)さんが救いの言葉をかけてくれて。「どんな(カメラの)アングルでも役者がそこにいるだけで生きるんだよ」。それだなって。

アングルとか照明とかに目がいくのは芝居がしっかりしてないから。芝居さえしっかりしてればそこには目がいかないよ、という意味で言ってくれたんですけど、とにかく、それでいってみようと思えました。

やっぱり、香川さんの演技は圧倒的でした。小林(教師の役)という男の匂いまで感じられるほど、役に存在感を持たせてくれて。大人の俳優の方々は、僕がすごいと思っていた人を選ばさせていただけたので良かったです。映画における役者の“役割”というものを再確認できました。

-生徒役はオーディションで選ばれたそうですね。彼らに演技をつけるのは難しくはなかったですか

500人のオーディションをしたんですが、そういうことが出来る子たちを選んだので子役だからどうというのはありませんでした。役について、シーンについても、彼らと相談することもなかったですし、話し合うことなく(彼らは)出来ていたので、そういうことなんだと思っています。ただ、この映画の「14歳」の生徒たちと、彼らも年齢が近いわけですから、ここでは笑ってるけど、学校では違うのかな?って勝手に心配してたりしました。


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自分が一番、高橋さんの真価をわかっている
僕の脚本読むと、廣末くんは赤面すると思うよ



-群青いろはどれくらいのペースで作品を制作してるんですか?

早いと思いますよ、僕らは。2人いるので。あと、今はとくに拍車がかかっているのかなぁ、次から次へと撮ろうみたいな。

そうですね。商業映画から自主制作映画に戻ってその反動みたいなものがあるのかもしれないですね。なんだ、自主制作って自由じゃん!みたいな(笑)。

-お二人の今後について。高橋さんは、群青いろ以外でもすでに脚本を手がけられているわけですが、廣末さんは少しさびしかったりするんじゃないんですか

寂しいとかないんじゃないですか。あくまで職業として脚本家をやっているので。

そうですね。ただ、僕は群青いろの高橋さんが好きです!というだけ。

でも、たぶん、僕のそっち用の脚本を読んだりしたら、顔真っ赤にすると思うよ(笑)。

-廣末さんは

出る側として自分が必要とされるのであれば(役者として)出ていきたいですし、監督としては、コンスタントに群青いろの作品を作っていきたい。制作費とか関係なく、自分たちのスタイルで出来るものを撮っていきたい。

-お二人はどういう関係なんでしょうね。お互いに群青いろ以外の活動をしていたりしたら、ジェラシーとかあるのかなって勝手に思ったりしたんですけど

うーん、どうなんでしょうね。ただ、僕は高橋さんの真の力を知ってますよ、という(笑)。バッテリーみたいなものなんでしょうか。


-群青いろでは社会的テーマ色の強い作品を、今後も作り続けていくんでしょうか

というか、基本的に人間を、何かにつまづいている人間を取り上げたいんですよ。自分もそっち側の人間だからかもしれないですけど。社会を描いているわけでなくて。

日常の人間を描くと当然、社会が背景にあって、それが自然に結びついていく。当たり前のリアルを描いていきたいですね。

-群青いろにスカっと明るい、楽しい作品はありえるんですかね

あるのかなぁ…というか、日本人は基本的に暗いと思うんですけど。

ずっと明るいまんまというのはないかもしれないですね。やっぱり僕らが描くと、どうしても悲しみや痛み、みたいなものが伴ってしまう。
楽しい、に関しては、ムスっとしてるようでも楽しんでるときはあるんですけどよ。これでもね(笑)。




★EDITOR'S VOICE★
公開を間近に控え、主要の子役たちと、雑誌の取材時に久しぶりに再会した群青いろのおふたり。廣末監督は彼らと撮影後もメールのやりとりをしていたのだが、徐々に遠のいていたのだとか。ただ、たまにコメント程度の短いメールが突然届くらしく、その返信はとても長文に。こんな長いメール返したら、どう感じるのかなぁと少し不安だったりするのだそうです。



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笑ってくださいってリクエストされても慣れてないから出来ないでしょう?
と聞くと「いつも困ってます」と照れ笑い





「14歳」
5/19(土)~ ユーロスペースにて公開


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■STORY:
14歳のとき、飼育小屋の放火事件の犯人に疑われ、教師を彫刻刀で刺してしまった深津は(並木愛枝)、12年後、中学校の教師になっていた。その事件を目撃した杉野(廣末哲万)は、深津の学校の男子生徒にピアノを教えるアルバイトをしていた。偶然、再会を果たす2人。ときを同じくして、深津は生徒たちからのイジメに合い、杉野は自分が教える生徒との関係に辟易していた。やがて、2人はいまの14歳たちに翻弄されていくのだった…。

オフィシャルサイト>>








投稿者 tkurio : 2007年05月07日 12:00