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2007年02月10日
「聴かれた女」山本政志監督インタビュー

日本一ロックな映画作家、山本政志。
とにかくアツイ。
映画が好きで好きで堪らない。
その渇きにも似た映画への“激情”からか、「ヤクザに囲まれてのゲリラ撮影」「大企業社長への直談判」「NYパンクスたちとの豪遊」という、何ともクレイジーな逸話を持つ監督である。
・・・ハッキリ言って怖い。
ここはひとつ、私の得意(?)分野である“エロ”の話に終始しよう。最新作「聴かれた女」のインタビューは、そう決意して、ビビりまくりで臨んだ…。
取材・文/戸田美穂
最終的には全部シナリオ通りになってんだよ
ま、俺って天才だから(笑)
──異端の監督。ロックな映画作家。そんな、とかく“ハード”なイメージで語られる山本監督の“エロ”映画。興味をそそられた人間は、私だけではないと思うのですが。
ロックな映画作家って意味分かんねぇよな(笑)。この「聴かれた女」の前に、初めてデジタルムービーに挑戦してみたんだよ。デジタルって低予算でスピーディーに撮るには、本当にいいんだよね。中編もやってみたかったし。「聴かれた女」のプロットは、1日で書き上げたよ。それに今回の企画は、蒼井そらの起用が条件だったんだ。
──蒼井そらさん、今回すごくいいですね。女性の目から見ても本当に魅力的。でも男性から見て…というより、監督の目から見て、やっぱり彼女、セクシーでした?
「やりたかったか」って聞かれたら、それは、なかったよ(笑)。彼女、男っぽくてサバサバしてるからさ。
──でも、彼女のあのハスキーな声ってめちゃくちゃセクシーですよね。今回の映画も、彼女が盗聴される女性の役だから、すごく彼女の声がポイントになってますし。彼氏との会話も妙に生々しいというか、リアルで…。でもそれがいいんですよ。
確かに彼女の声はすごくポイントになるよね。それに、撮影前には自分の映画の時は必ずリハーサル期間を持つんだけど、もう数分で「あ、これは大丈夫だな」って。とにかく勘が良いんだな。俺がこれまでやってきたナチュラルな芝居は、彼女ならできるって確信したね。だから途中から、そらの台本を取り上げたよ。自然なセリフを喋るには、脚本を覚えるんじゃなく、状況を掴むことが大事だからね。

──じゃあ、蒼井そらさんの会話はアドリブだったりするんですか?
それが、最終的にはシナリオ通りになってんだよ。
──???
ま、俺って天才だから(笑)。
直接的なベッドシーンより
やるせない空気が漂う…
そんな情感たっぷりの場面がいいね
──ところで、この映画のキャッチーは、エロでポップで、サスペンス。山本監督、エロに挑戦と言っていたわりには、「聴かれた女」はエンタテインメントですよね。
どうしても、俺がやってると“笑い”と“サスペンス”を入れちゃうんだよ。ま、セックスは撮るより、実際やる方がってことかな(笑)。ベッドシーンも3回も撮ったら飽きちゃった(笑)。途中で「そら監督、お願いします」って、そらに演出してもらった部分もあったよ。でも、オンナの感性って男と全く違うから、面白いよね。ジェーン・カンピオンの「ピアノ・レッスン」('93)とかさ。ああいうの、絶対男には撮れない映画でしょ。
──いわゆる官能映画で、ほかにオススメの映画はありますか?
かなり昔だけど、「愛の嵐」は好きだなぁ。うん、情感たっぷりな映画がいいね。「聴かれた女」も、終盤、主人公の二人がいいムードになってキスを交わすけど、男が躊躇ってできない。あのシーンが一番好きだね。直接的なベッドシーンより、二人の想いが伝わるからね。なんか…こう、やるせない空気が漂ってて…。
──そんな山本監督の、(笑いとサスペンスを抜きにした)純然たるエロ映画も観てみたいです…。
だから俺がやると変わっちゃうんだって。エロ修行が足んねぇのかもな(笑)。
★EDITOR'S VOICE★
蒼井そら“監督”が演出したというベッドシーンは、実は「聴かれた女」ではなく、同じ物語を、蒼井そら扮する主人公・皐月の視点で描いた「聴かれた女の見られた夜」にあり!
これは、2/24(土)開催のオールナイトでのみ限定公開されるとのこと。当然気になるオンナ側の視点。監督、コレは観たくなります! 策士ですねぇ。
「やっぱりベッドシーン自体の出来では、そらの演出の方がいいんじゃないかな。な~んかこう、カメラの見せ方とか、アイツ熟知してからさ」とは山本監督の弁。
ちなみにピンポイントに最もオススメの1シーンを挙げるならココ!⇒⇒⇒⇒⇒⇒
終盤、お互いに好意を持っていることに気づき始め、キスを交わし、ベッドへ…。手を彼女の胸に伸ばしたその時、急に体を硬直させてしまう彼の心理。う~ん、やるせない。山本監督のイチオシの“エロ”シーンでもあります。
ところで私がこの取材で一番印象的だった監督の言葉は、
「『聴かれた女』の1本くらい、全然疲れたって感じがしない。へっちゃらだね。そこはこだわり抜く、フィルムの映画とは全然違うんだよ」というひと言。
「でもデジタルムービーは、とにかく安くて早い。『聴かれた女』も撮影開始から完成までジャスト1ヶ月。でもクオリティは決して下げてないよ。デジタルムービーの可能性。全然あるよね。若いやつらもどんどん挑戦した方がいい。俺も今度はプロデュース業、してみようかって考えてるんだ」
ちなみに監督のベストムービーは、ロバート・アルトマン監督の「ナッシュビル」('75)だそう。監督、次回作「ジャップ(仮題)」も期待してます!
「聴かれた女」
2/10(土)~ ポレポレ東中野にてレイトショー公開
■STORY:
出版社勤めのリョウ(大野慶太)は、新しいアパートに越したばかり。新居での生活を始めたある日、隣室から女性の声が漏れているのに気づく。CDを聴いている音、シャワーを浴びる水音、そして彼氏と思しきオトコと愛し合う甘い声…。やがて彼女が皐月(蒼井そら)という名であることを知ったリョウは、まだ見ぬ皐月に妄想を膨らませ、恋心さえ抱くように。一方、毎日かかってくる脅迫電話に悩んでいた皐月。家族とも疎遠の彼女は、彼氏の雄太(加藤裕人)を唯一の心の拠りどころにしていた。そんな皐月は、隣室宛の宅配便を預かったことから、リョウと知り合うことに。偶然を装い、皐月と急速に親しくなっていたリョウだったが、ある日、彼女の脅迫電話の犯人を偶然知ってしまう。
投稿者 mtoda : 2007年02月10日 23:20