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2003.1.17 UPDATE

11月16日 取材・文/戸田美穂(編集部)


サービス精神旺盛な3名の監督が、終始会場を沸かせた今回のトークショー。しかしながら、主役はお酒で酔いの回った佐野和宏監督?
 
 今回の特集<PINK FILM CHRONICLE>も中盤に差しかかった11月16日(土)。先週の9日に次いで2夜目となる、4本立てのオールナイト上映が開催された。この日上映された『ねらわれた学園 制服を襲う』('86)の渡邊元嗣、『痴漢ONANIE 覗き』('92)の佐野和宏、『姉妹OL 抱きしめたい』('01)の田尻裕司といった3名の監督が来場(『日本残虐女拷問』('77)の山本晋也監督だけは来場されなかった…残念!)。ステージ上には一堂が会し、監督同士によるシビアな意見の応酬(!)があったりと、見応え聞き応えタップリのトークショーが実施された。

profile>>渡邊元嗣(わたなべもとつぐ)
1957年、東京都生まれ。滝田洋二郎など幾人もの名匠を輩出した今はなき伝説の製作プロダクション、獅子プロ出身。三話から成るオムニバス映画『移動売春 いっていいとも』('83)の一編でデビューを飾ると、ファンタジックな少女世界や奇想天外なSF風コメディといった独自の“渡邊ワールド”を確立。現在も精力的にピンク映画を発表している。本日上映の『ねらわれた学園 制服を襲う』はスケバン刑事のパロディとして、コアなファンの間ではカルト的(?)な人気を誇った作品だ。「少女漫画が好きだったし、とにかく女の子を主役にしたエンターテインメントを目指してきた」とは本人の弁。

profile>>佐野和宏(さのかずひろ)
1956年、静岡県生まれ。石井聰互監督らのインディーズ作品への出演を経て、渡辺護監督のピンク映画『変態SEX 私とろける』('80)に俳優として参加し、ピンク映画界入りしたという変り種。『監禁 ワイセツな前戯』('89)で念願の監督デビューを飾ると、次々と秀作を発表。作家性の強い独特のセンチメンタリズム溢れる佐野作品は映画ファンの心をつかみ、ピンク四天王として人気を博すが、監督業は『熟女のはらわた 真紅の裂け目』('97)を最後に休業中…。現在はショーケンばりの渋いマスクで、男優として活躍している。
 まずトップをきったのが、少女コミック的なファンタジー世界を描き続けてきた渡邊元嗣監督。自身も'70〜'80年代の人気女優・原悦子や小川恵のファンで、ピンク映画をよく観ていたという渡邊監督は「僕は未だに、ピンク映画はアイドル女優の為の作品だと思ってますよ。極論だけど、多少話がマズくても女優が良ければいいだろうというところはあるなぁ」と、女優を美しく見せることにコダワリがある様子。実はこのトークショーが始まる前にも「監督ばっかり呼んでないで女優を呼ばなきゃ駄目だよ」などと、控え室で今回の主催者側に喝を入れていたとのこと。

 そしてそんな渡邊監督の粋な計らいで、本日上映する『ねらわれた学園 制服を襲う』の主演女優であり、80年代を代表するアイドル女優であった橋本杏子が、何とピンク映画にも既に出演済み(!)という愛娘レンカちゃんを連れてステージに登場。渡邊監督との初コンビ作だという『ねらわれた学園〜』について、橋本女史は「ちょうどこの映画の途中に20歳になったんで、思い出深い作品ですね。でも化粧気もないし、若すぎちゃって恥ずかしい…」とコメント。現在、女優の仕事は控え気味という彼女だが、むずがる幼いレンカちゃんをあやすなど、トークの間は母親の顔も覗かせていた。

 ちなみにTVドラマ“スケバン刑事”をパクったという同作は、橋本杏子扮する少女が“「巨人の星」の大リーグ養成ギブス”ならぬ“性器養成ギブス”で鍛えられた局部を武器(!)に、売春組織がはびこる悪の学園に立ち向かう…というハチャメチャなコメディ。セーラー服を身にまとったアイドル女優の主演だけに、本作はさぞかし客ウケが良かっただろうとトークを拝聴していると、渡邊監督曰く「評判はこれがまた最高に悪くてね(笑)。一時のピンク四天王以上に、劇場支配人からバッシングの電話が来たもんだよ。会社からは総スカンの状態だし、今思えばよく作らせてもらったよな(笑)」


★ ★ ★

 次に、今日が誕生日だという佐野和宏監督が「さっきまで酒飲んでまして…」と、やや酒気を帯びた赤ら顔でステージ上に現われた。インディーズ映画界からこのピンク業界入りしたという佐野監督は、女優がメインと考える渡邊監督とはうって変わって、独自のピンク映画観があるようだ。「やっぱり予算も日数も制約がある中で作っているんだし、ピンク映画はエチュード(=習作)でいいんじゃないかと俺は思う。それに一般映画と違ってピンク映画は1時間だし、短編映画として向き合ってきたところはあるな」と熱っぽく自分流のピンク論を展開。これに対し、渡邊監督も黙ってられるか(?)と「たまたま入ったピンクの世界が1時間だったというだけで、そんなこと考えたことない、ない(笑)! ただ僕は学生の頃から子供向けの30分番組がやりたかったから、その延長みたいには思っていたけどね」と言葉を返すと、佐野監督もさすがに「俺のは格好つけてるだけだよ」とちょっぴり照れくさそう…。

 また97年の監督作『熟女のはらわた 真紅の裂け目』を最後に作品を手がけていない佐野監督だが、佐野作品といえば監督・脚本・主演の3役をこなす“自作自演”というスタイルがお馴染み。そんな役者としての顔も持つ佐野監督が、かつて出演したホモ映画や最新主演作『不倫する人妻 眩暈』についてのエピソードを語っているうちに、段々と彼の映画魂(?)がヒートアップ! やがて話の論点は“ピンク映画の存在”というコアな問題へ…。「俺も自主映画からこの世界に入ってイザ撮るって時、ちょっと差別意識あったんだよな。どんな映画撮ってるのって聞かれて答えると、あ〜エロ系ね…ってなるし。でもピンクとかホモ映画に対して差別ってあると思うけど、やっぱり映画として観て欲しい。映画として成り立つ為に苦心している訳だからさ。予算も製作日数も少ないけど、その中で頑張る人間がいるっていうことも知って欲しいよ」。酔っ払った佐野監督はひとり暴走しながらも、映画を愛すればこそ!のそうした熱い想いに、観客も思わず聞き入っていた…。



ピンク映画不遇の時代と呼ばれた80年代半ばにデビューし、アイドル的な人気を誇った橋本杏子が飛び入り参加。   2月という極寒の時期に遂行された『ねらわれた学園〜』の苦労話に華が咲く…   お酒が入ってゴキゲン?な佐野和宏監督。トークの間も喉が渇くのか、ミネラルウォーターをゴクゴク!

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