Back Number
2004.5.10up
才人、長塚圭史から目を離すな!
2004.4.30up
狂喜乱舞(?)の祭典<ピンク大賞>密着ルポ!
2004.4.23up
カナダ発の個性派アニメをフィーチャー!
2004.4.16up
有楽町駅前に個性派シアターが復活!
2004.4,13up
ピンク映画の祭典<ピンク大賞>が今年も開催!

News Special
Back Numbers
フランス映画祭レポート
アルノー・デプレシャン・トークショー
『赤い橋の下のぬるい水』完成披露試写会舞台挨拶
魅惑のシネマクラシックス
行ってきました! 第15回東京国際映画祭
<ピンク映画40周年記念特別企画> 完全レポート」


ご感想はこちらまで


2004.5.14 UPDATE

  「ありがとう、おおきに!」
 中野武蔵野ホール閉館最終日レポート

 
 2004年5月7日(金)、中野武蔵野ホールが不景気な世相を反映してか、18年半に渡る歴史に幕を下ろした。2002年4月末に閉館した任侠映画専門館・新宿昭和館の跡目を継承し、往年の東映任侠映画を上映してきた同館は、任侠映画の傑作と呼ばれる『博奕打ち 総長賭博』('68)などを上映。任侠映画を上映する以前は、塚本晋也監督の『鉄男』('89)、園子温監督の『自転車吐息』('90)など、多くのインディーズ映画を始め、ドリフターズ特集、クレージー・キャッツ特集、ピンク映画特集など、普段見る機会の少ない隠れた名作(迷作?)を上映し、多くの映画ファンを魅了してきた劇場だった。
 その閉館を控えた中野武蔵野ホールが、最後の3日間で日本のインディーズ映画を上映していた頃のヒット作から3本を厳選し、上映する <三日で歴史をみせてやる>と題する特集上映を開催! 第1夜5月5日(水)は『犬猫』('01)、第2夜6日(木)は『三月のライオン』('91)、最終夜5月7日(金)には『追悼のざわめき』('88)が上映された。中野武蔵野ホールは、私にとっても多くの思い出深い映画を見ることができた劇場。その劇場が無くなることは、残念でしかたがない。私は、最後の姿を見納めるべく最終日に劇場へ向かった!

 と、張り切った私だったが、他の仕事がたてこんでしまい劇場に到着したのは、上映15分前の21:00。すでに劇場前には黒山の人だかりができており、なんとか人波をかき分け窓口にたどり着くと、人が多すぎて21:15からの立ち見客を入れても1回の上映では入りきらないので、もう1回、深夜0:00から上映するとのこと。「これは、たとえ徹夜になろうとも見るしかない!」と、私が心を決めた時に1回目の入場が始まったが、後から来る観客は絶えない。中野武蔵野ホールにはロビーが無いため、劇場前に立ち尽くす人たちからは、「今日で終わりなんて…」と残念がる声がいつまでも聞こえていた。よく見ると、人だかりの中には著名な映画監督や、関係者らしき人も大勢いたが、皆さんひとりの観客として、中野武蔵野ホールの最後を見納めに来た様子。
 そして、急遽決定した0:00という、深夜の上映にもかかわらず立ち見客も出る盛況ぶり。上映前には『追悼のざわめき』の松井良彦監督による舞台挨拶があり、
「私の作品が最後の上映に選ばれ、しかも2回も上映することになって本当に感無量です。これから上映される映画は、自主製作映画が熱かった時代に作ったものです。その作品を上映できた中野武蔵野ホールに対する思いは、なかなか言葉にできませんが、ひと言だけ…」
と関西在住の松井監督は大きな声で
「ありがとう、おおきに!」
と言って、颯爽と席に戻られた。
 監督の言葉によって、異様にも感じられるほど一体感が高まった満席の劇場で、最後の上映が静かに始まった。ちなみに『追悼のざわめき』は、インモラルな愛を描き、女性連続殺人などの表現が過激なため、上映される機会が極端に少ない幻の作品。“超”が付くほどのカルト的な人気を誇る作品だけに、最後の上映に選んでくれた、中野武蔵野ホールの心意気に、しみじみ感動してしまった。

 上映が終わった午前3:00。ほとんどの観客が劇場前に名残惜しそうに残るなか、劇場スタッフが「最後の上映に、多くの方に来て頂きありがとうございました」と挨拶すると拍手が起こり、スタッフ、観客、関係なく打ち上げの飲み会へ。
 思えば、中野武蔵野ホールは商店街から細い路地を入るという変わった立地のためか、映画が本当に好きな観客が集まり、映画館で映画を見る醍醐味を感じられる劇場だった。私に、映画の楽しみ方を教えてくれた劇場が無くなることは本当に残念だが、私も、松井監督と同じ言葉を中野武蔵野ホールに送りたい。
「今までお疲れ様でした。本当にありがとうございました」
取材・文/根本悠(編集部)
最終上映に200人ちかくの観客が押しよせた

急遽、2回の上映が決定

深夜0:00からの上映でも、立見が出る混雑に

深夜3:00過ぎ。最後のひとりも立ち去って…
「お疲れさまでした」



「スロウトレイン」に掲載の記事・写真・カット等の無断転載を禁じます。© Works m bros.