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女性監督の活躍が目立つ韓国映画界のいま
――今回のテーマは、いま最も勢いに乗っている韓国映画です。『冬のソナタ』などのドラマブームの影響もあって、日本で公開される映画の本数もすごく増えました。おふたりは最近公開された映画、又は近日公開予定の作品で、気になったものはありましたか?
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『4人の食卓』
6月5日公開 『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンが主演した心理ホラー。他人の過去が見えるという謎めいた女性をノーメイクで演じたことも話題に。
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渡辺 『猟奇的な彼女』('01)のチョン・ジヒョンが主演した『4人の食卓』('03)は監督が女性なのよね。描写のひとつひとつが凝っていておもしろかった。
宇田川 ぼくはなんだか途中で眠くなっちゃいました。そういえば、この間、監督のイ・スヨンが来日したでしょ。そのときにインタビューした人に聞いたら、とても「IQの高い人」なんですって。
渡辺 それは、ひとりよがりってことかな(笑)。
宇田川 まあ、そういうニュアンスも込めて(笑)。
渡辺 たしかに何がえがきたいのかはわかりずらかったけど、不幸な事件を目撃した主人公と、チョン・ジヒョン演じるヒロインの状況描写はうまいなって思った。すごく勉強していると思うし、彼女はこれが監督デビュー作でしょ。だから、いいかなと。えがこうとする人物の心の中へ入ろうととても努力している。
宇田川 ぼくはついていけませんでしたね。とはいえ、最近は韓国にも女性監督が増えてきましたと思いませんか? 『おばあちゃんの家』('02)や『美術館の隣の美術館』('98)のイ・ジョンヒャンとか。
渡辺 日本と比べても多いんじゃないかな。日本でも『蛇イチゴ』('03)の西川美和さんとか、『タカダワタル的』('03)のタナダユキさんや『バーバー吉野』('03)の荻上直子さんというように、徐々に増えてきてはいるけど、一線で活躍している人は少ないもの。
宇田川 自主映画界では多いんですけどね。でも、日本の女性監督は、まだ猫を被っている感じがしますよ。『4人の食卓』なんて、いい意味で「毒」があるでしょ。日本の女性監督はそこまでいってないですよね。なんか「女の子」っぽいの。「バカ映画監督」を自称している松梨智子だけちょっと異色(笑)。
渡辺 「毒」といっても、アジアの女性監督がえがく「毒」は慎ましくてまだ好感がもてるわ。フランスの女性監督なんて、ムダに意地悪している感じがするもの。『ロマンスX』('98)のカトリーヌ・ブレイヤなんて、とくに(笑)。
両氏とも大絶賛の『スキャンダル』の魅力とは!?
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『スキャンダル』
5月22日公開 『冬のソナタ』で大ブレイク中のぺ・ヨンジュンがイメージを一新させ、李朝時代のプレイボーイを演じる官能大河ドラマ。
(C)2003 b.o.m Film/Japan Pertners |
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――男性上位社会の韓国で、女性監督が頭角を現してきたのは喜ばしいことですね。
宇田川 さすがに男尊女卑なんていってられない時代になってきたんでしょうね。『猟奇的な彼女』がヒットした理由もそれだと思うし、『スキャンダル』('03)もそう。李朝もの自体が久々だけど、80年代にあった李朝ものはたいてい女性が虐げられて、それがエロにつながっていくようなものが多かった。そういう意味では、『スキャンダル』は貴族の退廃をうまくえがいているし、男女関係においてもいままでになかった映画だと思います。イ・ジェヨン監督は、これまでの『純愛譜』('00)や『情事
an affair』('98)もすごくよかった。さえてる監督ですね。
渡辺 私が『スキャンダル』を見てよかったと思ったのは、韓国映画が初めて贅沢を知ったということかな。衣裳にお金がかかっていてゴージャスだったし、食べ物もおいしそうだった。欲をいえば、その辺りをもうちょっと丁寧に見せて欲しかったな。
宇田川 ぺ・ヨンジュンって、女性から見てどうなんですか?
――いまは雑誌でも何でも「ぺ・ヨンジュンを表紙にしておけば、売れる!」っていうのがあるらしいですよ。私なんかは何がいいのかわからないけど…。
渡辺 彼は40歳以上の女性にうけるのよ。TVの「韓国映画特集」で、『冬のソナタ』のぺ・ヨンジュンにハマった主婦たちに街頭インタビューしてたんだけど、「私もあんなふうに優しくされたい」っていうのが原点にあるみたい。
――『冬のソナタ』でぺ・ヨンジュンのファンになった人にとっては、『スキャンダル』ってどうなんでしょうね?
宇田川 まったく別人だもんなぁ。眼鏡もかけてないし。
渡辺 『冬のソナタ』ファンが見ても、『スキャンダル』は悪くないと思うわよ。だって、『冬のソナタ』でぺ・ヨンジュンが見せる表情は、優しさが顔に張りついているだけで単調でしょ。それに比べて『スキャンダル』は芸があるのがわかるから。
――でも、ぺ・ヨンジュンを王子様だと思っている主婦層には厳しいのかも!? 私は映画を見ている間、どうも松尾スズキに見えてしまって…。
宇田川 たしかに似てる!(笑)。あのヒゲでね。いろいろ似ている人が出てくる。
渡辺 でも、一番の悪口は「ホストクラブのナンバー1」ね(笑)。
――これ以上いうと、ファンに怒られそうですね(笑)。
渡辺 『スキャンダル』はピエール・ショデルロ・ド・ラクロの「危険な関係」が原作でしょ。サラ・ミシェル・ゲラーやライアン・フィリップといったハリウッドの若手スターが共演した『クルーエル・インテンションズ』('99)も「危険な関係」が原作だけど、あれと同じ話だと思うと笑っちゃうわね。
宇田川 『スキャンダル』は原作をうまく取り入れてますね。
渡辺 そう、脚本がうまいの。内容は全然違うんだけど、私は『スキャンダル』を見ていて、『エマニエル夫人』('74)を思い出した。日本の女性には、こういう見た目にきれいなソフトポルノが一番うけるのよ。
宇田川 そういえば、劇中でぺ・ヨンジュンが裸の女性をモデルに絵をえがいているでしょ。韓国にああいう浮世絵があるとは知らなかったなぁ。
渡辺 あれは浮世絵とはいわないわ。春画よ(笑)。
宇田川 いや、春画も浮世絵の一部ですから(笑)。
渡辺 そういわれてみると、映画も春画のようね。表はきれいに見せておいて、裏をめくるとすごくエロティック。とてもユニークな映画だと思うわ。でも、これに味をしめて李朝時代ものばかりが増えるのは勘弁して欲しいわね。 |
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