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2004.4.9
UPDATE
木村ひろみ
text by Hiromi Kimura |
■『ぼくの好きな先生』訴訟問題続報
二コラ・フィリベールのドキュメンタリー作品『ぼくの好きな先生』('02)に出演した小学校教師ジョルジュ・ロペスの肖像権をめぐる訴えが先日ペルピニャンの控訴院によって却下された。控訴院は同じくペルピニャンにある労働審判所が出した判決にならい、ロペス側と監督&配給側の間にはじめから利益配分に関する従属関係(契約)が欠けていたことを指摘し、裁判官は「(この作品についての)ジャーナリストからのインタビューや観客の質問に答えたからといって、ロペスが(映画という世界において)プロとしての活動をしていることにはならない」と付け加えている。現在パリの裁判所でも個人の権利についての訴訟手続きが進んでいる。『ぼくの好きな先生』の主役のひとりであるロペス先生の言い分もわからないではないけれど、あの映画で見た「素晴らしい先生像」ががらがらと崩れていくな〜。先生もきっと後にはひけないのでしょうね。
■カトリーヌ・ドヌーヴ&アンドレ・テシネの新作
以前にもお伝えしたと思うが、アンドレ・テシネの新作の詳細が発表された。今月の末からモロッコで撮影が始まる『TEMPS QUI PASSE』では、モロッコのタンジェにモロッコ人の夫(ジルベール・メルキ)と20年以来暮すカトリーヌ・ドヌーヴ演じる主人公が、ジェラール・ドパルデュー演じる昔の恋人に出会い、2人の間に再び恋が芽生える、という内容。製作はパウロ・ブランコ率いる「Gemini Films」で、公開は今年12月の予定。
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『AGENTS SECRETS』
監督:フレデリック・ショエンドファール(フランス)
ヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチ夫妻が共演する作品というので、「話題性はあっても内容はどうせ…」と期待せずに見に行ったけれど、期待以上の出来だったので触れることにしました。
カッセルは秘密工作員で、政情不安定なアンゴラに武器を密輸するロシア人グループの船を爆破する任務を上司からおおせつかる。ベルッチも同じく秘密工作員で同じプロジェクトのために働き、スイスに居を構えるグループのボスの家にベビーシッターとして入り込み、積荷や出航の情報を入手する。爆破のXデーが決まり、スイスで合流し夫婦になりすました2人は、バカンスを過ごす名目でモロッコ、カサブランカに乗り込み、作戦の準備を着々と進める。そして遂行された作戦は成功を収め、2人はスイスへと戻るのだが、空港税関で麻薬所持の疑いでベルッチだけ逮捕されてしまう。作戦に加わっていた他のメンバーも何者かによって殺害され、カッセル演じる工作員は身の危険を感じる、というよりも自分を雇う上層部に不信感を抱き始める。こうして一匹狼となったカッセルは、同僚の復讐のためにスペインへ、ベルッチを助けるためにスイスへと奔走する。
フレデリック・ショエンドファールは2000年に『SCENES DE CRIMES』(日本では『少女首狩事件』という邦題でビデオリリース)という作品で、連続殺人事件を追う刑事たちの捜査を綿密に描き出した。今回は警察が秘密警察に変わり、主要登場人物の心情を前作よりも細やかに描くことに成功している。特にモニカ・ベルッチ演じる女秘密工作員がいい。「この仕事を最後に引退したいのだ」とカサブランカのホテルでカッセルに打ち明けるベルッチは、「普通の女性として家庭を持ち、子供と共に年老いていきたい」と語る。ところが、組織が手を回してスイスの刑務所に入れられたベルッチには、別の殺人という任務が待っている。自分の力ではどうすることもできない、他人の手中にある自分の運命を呪うベルッチが独房で、はらりと涙を流す場面がなかなかいい。主人公の上司役を演じたアンドレ・デュソリエが、白とも黒ともつかないような曖昧で謎めいた立場にいる上司役を演じ、しっかりと脇を固めている。秘密工作という行為においては、ジェームス・ボンドにもハリウッド製の作品よりもスペクタクル性ではかなり落ちるけれど、全体的にいえば「よい娯楽作品」と言ってもいい。
結構好きだったシーンをひとつ。カサブランカ沖に泊まる武器密輸船の下に爆弾を仕掛けようと工作員2人が潜る海に、船から生ごみが投げ込まれる。すると餌につられてサメが数匹工作員を取り囲み、2人はあわやサメの餌食に…。だが、何のことなくサメはどこかへ行ってしまうのだけれど、このシーンはサスペンスたっぷりで映像もよかったな〜。 |
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