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2004.3.22 UPDATE

木村ひろみ

text by Hiromi Kimura
 
カンヌ映画祭のクロージング作品は、コール・ポーターの伝記映画
 今年のカンヌ映画祭のクロージング作品には、アーヴィン・ウィンクラー監督の『DE-LOVELY』が選ばれた。MGMとユナイティッド・アーチストによって共同製作されたこの作品は、作曲家でいくつもの著名ミュージカルを生み出しているコール・ポーターの人生を描いている。カンヌ映画祭主催側が今回この作品をクロージング作品に選考することにしたのは、製作配給会社MGMの創立80周年を同時に祝する意味があった。上映会の終わりには花火大会が催され、同時にコール・ポーターが作曲した有名なナンバーを著名歌手たちが歌うコンサートの開催も予定されている。


『CHEMINS DE TRAVERSE』
監督:マヌエル・ポワリエ(フランス)


 マヌエル・ポワリエとスペイン人俳優セルジ・ロペズの付き合いは長い。一緒に仕事をするのがこの作品で7作目(ポワリエの長編フィクションすべてにロペズが出演&主演しているといっていい)だといえば、ポワリエにとって、またロペズにとって相手の存在がどんなに大切であるかがわかるだろう。

 世界的にヒットした『ニノの空』('97)ではきままな独身者だったロぺズは、その続編と考えてもおかしくない『LES FEMMES ET LES ENFANTS D'ABORD… 』('02)で結婚し、家庭を構える。この作品に再び登場するロペズは、妻に先立たれひとり息子を育てながら棲家と職を転々とする父親を演じている。つまり前作から再び時間は経過し、子供は成長し、続編と考えてもおかしくない状況が出来上がっているわけだ。
この作品が前作の「続編」だと思わせるもうひとつの理由は、そのテーマにある。『ニノの空』では、男同士の友情が描かれ、次の『LES FEMMES ET LES ENFANTS D'ABORD… 』では、夫婦の愛が描かれていた。そして本作品では「父と子の愛情」がテーマに選ばれている。ロペズは7年足らずで独身者から16歳になる息子の父親にまで一挙に成長したことになる。これはポワリエ自身、また役者としてのロペズの成長にも比例しているのに違いない。この観点からいえば、この作品はポワリエ&ロペズの協力関係が最高の水準に達したのだといえる。

 とはいえ、ポワリエの作品は、生ぬるさが残る。個人的好みを言わせていただければ、選ぶテーマ(おまけに撮影地も)が極めて「地方的」というか「田舎的」だからというわけではないけれど、どの作品も相対的に刺激が足りず、見ていて歯痒さが残る。そこにポワリエが描きたい人間たちの「本来の姿」があり、自然がある、といわれればなるほどそのとおりです、と言うほかないけれど、同じ田舎を舞台に選ぶ監督たちの中にはポワリエ以上に刺激的な監督は数多くいる…のだから、これはやっぱりポワリエと私の相性の問題なのかもしれない。


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