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2004.4.16 UPDATE

木村ひろみ

text by Hiromi Kimura
 
ナポレオンがらみのイベント続々。アル・パチーノがナポレオンに!

 今年はナポレオンがフランス皇帝になってからちょうど200年を数える。フランスではナポレオンにちなんだ数々のイベントが準備されている。映画もそれにならい、パトリス・シェローが、セントヘレナ島に幽閉されたナポレオンを描く『THE MONSTER OF LONGWOOD』をハリウッド資本で準備している。作家ステイトン・ラビンの小説を、ポール・オースター、ジャン・クロード・キャリエール、ミカエル・トルキンが脚本化する、という大掛かりな企画のキャスティングがまたまた大掛かりで、ナポレオン役にはアル・パチーノが、その相手役(幽閉されたナポレオンの牢番の娘)にはジュリエット・ビノッシュが予定されている。

あの話題作に、またまた問題勃発!
 フランスの南西にある都市モンプリエにある映画館で、メル・ギブソンの『パッション』(5月1日より全国ロードショー)の上映前に来月フランスで公開されるペドロ・アルモドヴァル監督『Bad Education』の予告編が上映されたことに対し、同地方にある教会の神父が抗議を申し込み、映画館ボイコットを呼びかけた。アルモドヴァルの新作は、フランコ政権の時代にカトリック神父が青少年の性を弄ぶという事実に基づいて作られたフィクション。抗議した神父はこの予告編の上映は「カトリック教会に対する冒涜であり、同性愛を擁護している」と批判。これを受けてゴーモン系映画館はただちにアルモドヴァルの予告編を削除する、という措置をとった。それにしても、この『パッション』は本当にトラブルメーカーだな〜。この作品を「尊重」するために他の作品まで検閲を受けてしまうのでは、やってられない。


『NOUVEAU DEPART』
監督:セザール・マルチネーズ・ヘラダ(スペイン)


 スペインのどこかにある小さな町の父と息子の触れ合い。家から1000kmも離れた街で働いていた父親は、定年退職をして町に戻ってくる。偶然か、同じ日に麻薬中毒の療養から息子が戻ってくるが、久しぶりに顔を付き合わせた父と息子の関係はぎくしゃくしている。町のコーラスクラブを創設した父親は、コーラスクラブに再び戻り、歌うことを切望するが、自分が不在の間にクラブが変わったことに気づき大きな失望を味わう。息子は、再び麻薬に溺れないために、何でもいいからと仕事を探し、近所のオリーブオイル工場の工員の口を見つける…。

 どこにでもありそうな、なんでもない話だ。犬猿の仲に見えた親子の距離が、少しずつ近づいていく様が描かれていく。マルチネーズ・ヘラダという全く無名の監督(プロデューサーとしては10本近い作品を手がけているけれど、長編作品の監督はこれが3本目)は、父と息子、療養前に息子と一緒だった若い女、息子と彼女の間に生まれた少女、父親とコーラス部の親友…などの人間模様を、丁寧に紡いでいく。とりたてて大事件が起こるわけでもないし、特別な人物像が描かれているわけでもないのに、なぜか心を打つ。こういう「なんでもない」作品を久しぶりに見ると、何かほっとする。スターがたくさん出たり、特殊効果が駆使されている作品ばかりが人気を呼ぶ今日、こうした「普通の人々を描く」作品を作るほうが、かえって難業なのかもしれない、とふと思う。


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