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第1回 「ブラッド・ピットのエビアン・ボトル」
第2回 「デンゼル・ワシントンと三つの招き猫」
第3回 「ギヨーム・ドパルデューのパープル・ヘア」
第4回 「ホアキン、ラッセル、ワイルド・ナイト」
第5回 「キアちゃん、キアロスタミ」
第6回 「キアヌ・リーブスがヘタくそバンドに一生懸命な理由」
第7回 「愛しのギアさま:Chapter1」
第8回 「愛しのギアさま:Chapter2」
第9回 「世界の黒澤と梅干しの味」
第10回 「エドワード・ノートンのヘンな日本語」
第11回 「ハリソン・フォードと“特別”なティー・タイム」
第12回 「エドワード・バーンズとNY“至福”旅行」
第13回 「初の“女”! おまけのジュリア」
第14回 「待ち焦がれて、ホウ・シャオシェン…」
第15回 「ジャコ・ヴァン・ドルマル監督と共に涙したあの日」
第16回 「ヴァンサン、オスカー女優が義姉で良かったね!」
第17回 「思いおこせば10年前だね〜、キューザック!」
第18回 「やっぱ前評判は信じられない!とっても良い人(ビリー・ボブ)の乳首」
第19回 「監督は真実を語る/スキャンダル編」
第20回 「監督は真実を語る/アノ映画の裏話」
第21回 「ホントにイイ子に育ちました。映画大好き青年ディカプリオ!」
第22回 「早口な2大巨匠スコセッシ&スピルバーグ、さてお仕事の速さは…?」






2003.4.4UPDATE

金子裕子
text by Yuko Kaneko


第23回●「中国3人娘のビミョー(?)なカンケイ」

 
 いやー、自分を棚に上げて言うのもナンですが、女は大変っすよ。それがセレブなら、なお大変。ま、取材対象が女性の場合、こちらとしては多少の“遅れ”は覚悟の上。だって、衣装選びやヘアメイクに時間がかかるんだもの。そりゃ、取材するこっちだって、念入りにグルーミングしてキレイになってもらったほうが写真映えがするから、遅れたって我慢もできるというものです。
 最近では、『クローサー』にご出演の中国3人娘=スー・チー、カレン・モク、ヴィッキー・チャオがその好例。なにせ3人ですから。なにせ香港ピープル乗りですから……。

 
 ま、スーは台湾、カレンは香港、ヴィッキーは中国本土のスター女優。でも、みなさん世界に名だたる香港映画の洗礼を受けてるから、体質は香港ピープルってわけです。で、その3大チャーニーズ・ビュ−ティが競演しということでもアメリカ・香港合作の『クローサー』は大きな話題を集めている。ましてや、スーとヴィッキーが姉妹のアサシンズ(殺し屋)、カレンは敏腕の女性刑事という役どころで、もう、ワイヤー・ワークをふんだんに使い、飛んだり蹴ったり。香港映画お得意のスタイリッシュなアクションを体当たりで披露して、衣装も真っ白なコートをスローモーションでひるがえしちゃったりなんかして、カッコイイことこの上なし。ってなわけで、サービス精神おう盛な彼女たちはそれぞれに念入りに、念入りにグルーミング。スーはフェミニンなトップに刺繍とパッチワークのドレス・ジーンズ、カレンはタイトな胸開きTシャツにパンツで黒一色、ヴィッキーは……ジャラジャラと大きなビーズの首飾りだか付け衿だかわからない光り物を首に巻いたパンキッシュなパンツ・ルックで、それぞれ役柄のイメージを踏襲したファッション。これじゃ40分以上遅れでも、許しちゃいます。

 
 とまぁ、やっとのっことで3人が一堂にそろったんだけど、目の前にズラリとならんだのはカレーライスと何人ものスタッフ……。ま、これまた香港ピープル乗りですからねぇ。とにかく、香港セレブをはじめとするチャイニーズ・セレブのお付きの多いことといったら、彼女たちが特殊なわけじゃない。平均3人で、アンディ・ラウなんか5〜6人もいたし、チャン・ツィイーなんかスタッフ、プラス、ニイチャンとかカーチャン付き。しかも彼らはインタビュー・ルームをウロウロしつつ、時にはデジカメまで撮っちゃうからね。恐るべし! いっぽう、カレーの登場のワケはといえば、あまりの取材攻勢に食事をする時間もなく、ランチを摂りながらの取材となったわけ。で、驚いたのは、その食べるスピードの速いこと、速いこと! カレンなんか、カレーとサラダをものの5分とかからずにペロリ。スー嬢は「カレーはイヤッ。パスタにして」といった割りには、半分平らげて、後続のパスタも7分目ペロリ。いやー、その細い体で、大した食欲と思ったら「昔からどんなに食べても太らない体質なの。他の人の倍は食べるわね」とカレン。スーも「ジッとしてられないたちだから、毎日フィットネスしてて。太ることなんか心配したことないわ」。はい、そりゃ、よござんしたね。そんな体質に生まれてみたいもんざんす!



 illustration by hiroyuki ijichi

 
 はい、ご想像どうり、やはりスター女優共演となれあ、そりゃぁ、ライバルの火花も散ります。かつては『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』('99)で共演したソフィー・マルソーとデニス・リチャーズが来日記者会見でそろっても、監督を間に挟んで目も合わさなかったとかね。そこへいくと、サービス精神おう盛な香港ピープル乗りの(しつこくて、ごめん!)3人。そこまで露骨じゃないんだけど、やっぱりビミョー(笑)。
 撮影中から不仲説が浮上したのはスーとヴィッキーなんだけど、そのことに質問が及ぶとスーは「そんなこと、ぜんぜんなかったわ。デマよ!」と少々過剰反応。それをうけたヴィッキーのほうが余裕で、「ヒマができたらいっしょに旅行へ行ってもいいと思うくらい、仲良しなんだから。ヘンなデマ飛ばさないでね」と、ニコニコ顔でフォロー。しかし、そのいっぽうで、「役柄ではスーが落ち着いたお姉さんだったけど、中身はぜんぜん違う(笑)。撮影中も少しもジッとしてないし、私の泣くシーンでは笑わせようとしていたずらを仕掛けるし。私は、彼女をずっと恐れてたわ。そう、とんでもない子供なのよ。この、ガキ!(笑)」とバラシまくり。側でスーが「ガオッ!」と吠えてるし、カレンはそんなふたりのやりとりに対して、我関せずの冷ややかな視線を投げかけるばかり。なんか、うまくいってそうなんだけど、水面下では鋭いツメが見え隠れって雰囲気も伝わります。

 
 つまり、スー・チーは『トランスポーター』(2002)でハリウッド・デビューも果たしたいっぽうで、侯孝賢監督の『ミレニアム・マンボ』(2001)といった作家性の強い作品にも出演してカンヌ国際映画祭でも脚光を浴びている。いわば国際派女優としての意識も芽生え、ついでにプライドもごっつー芽生えて、数年前に会見したときよりもお気取りモードが入ってるんだな。「私、ワンランク上よ」ってね。片や、ヴィッキーは、中国本土屈指の人気者でアイドル扱いされてるけど「なに気取ってるのよ。私だって、北京電影学院を卒業してて演技的な基礎がきちんととある演技派なのよ」って、感じ。そしてカレンはといえば、知っての通り、香港映画界でも長くトップの座をキープしているし、歌手としても不動の地位を築いている。いまさら「後輩にゴタゴタいわれる筋合いもないし、同じラインに並ぶ気もないわ」……。ま、これはあくまで、私が彼女たちの声にならない心のうちを、無理矢理聞き取ってみたんですけどね。あながち、間違っていないと思うよ。だって、撮影の時にオモチャの拳銃を持たせたら、スーとヴィッキーは互いに銃口を相手に向けてたもんなぁ。コワイ!


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