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第1回 「ブラッド・ピットのエビアン・ボトル」
第2回 「デンゼル・ワシントンと三つの招き猫」
第3回 「ギヨーム・ドパルデューのパープル・ヘア」
第4回 「ホアキン、ラッセル、ワイルド・ナイト」
第5回 「キアちゃん、キアロスタミ」
第6回 「キアヌ・リーブスがヘタくそバンドに一生懸命な理由」
第7回 「愛しのギアさま:Chapter1」
第8回 「愛しのギアさま:Chapter2」
第9回 「世界の黒澤と梅干しの味」
第10回 「エドワード・ノートンのヘンな日本語」
第11回 「ハリソン・フォードと“特別”なティー・タイム」
第12回 「エドワード・バーンズとNY“至福”旅行」
第13回 「初の“女”! おまけのジュリア」
第14回 「待ち焦がれて、ホウ・シャオシェン…」
第15回 「ジャコ・ヴァン・ドルマル監督と共に涙したあの日」
第16回 「ヴァンサン、オスカー女優が義姉で良かったね!」
第17回 「思いおこせば10年前だね〜、キューザック!」
第18回 「やっぱ前評判は信じられない!とっても良い人(ビリー・ボブ)の乳首」
第19回 「監督は真実を語る/スキャンダル編」
第20回 「監督は真実を語る/アノ映画の裏話」

2002.12.12UPDATE

金子裕子
text by Yuko Kaneko


第21回●「ホントにイイ子に育ちました。映画大好き青年ディカプリオ!」

 
 私は、男に“純粋”や“純真”や“清潔感”や“誠実”を求めすぎるようだ。そう、たとえば、おもしろいコメントを引き出しにくくても、底抜けに明るくて屈託のないブラッド・ピットや、限りなく恥ずかしがり屋のキアヌ・リーブスが、大好き。いいんだもん。“こじゃれたコメントより、初々しい笑顔がス・テ・キ”ってなもんです。

 だから、1994年に20才のディカプリオに初めて会った時、燃えそうだったのに燃えなかったのだ。確かに『ギルバート・グレイプ』('93)でオスカー候補にもなったレオは、将来を嘱望される若手スターとしての美しさも頭の回転の良さもあった。でも、同時に、母親の目を盗んでタバコを吸ったり、「CMに出演したいから、広告代理店を紹介してよ」といった抜け目なさも持ちあわせてて、なんとなくシラけちゃったのだ。

 
 そして、次に会った時も、その次も、あまり好印象ではなかった。2度目は『タイタニック』がバカ当たりして国際的な注目と熱狂的な人気を獲得した直後の1997年。レオは、当時は無名の親友トビー・マグワイアとレスラーだかマジシャンだかの取り巻きご一行様を引き連れて来日した。そして、3度目は、『ザ・ビーチ』を携え2000年に。この時も、トビー抜きの、同じような悪友ご一行連れ。

 もちろん、インタビューの最中は、一応、それなりの態度とコメントをしている。しかし、私は、かすかに嗅ぎ取ってしまったのだ。人を喰ったような雰囲気を、2回とも……。だから、「良質の映画を作るためだけに仕事をしてる」とか、「敬愛するスコセッシ監督と一緒にやることが決まった。もう、夢みたいだよ。全身全霊を懸けるよ」とかっていっても、“まぁ、お決まり文句ねぇ”とにわかには信じがたかったのだ。

 
 それに、ダメ押しもあったしね。なにしろ、引き連れてる悪友たちは、トビーを除いて、みんな“レオの威を借る不定の輩”。後に、レオを過剰防衛してパパラッチにツバを吐きかけたり(幼稚園児か?)、レオがナンパしそうになった女優(エリザベス・バークレーとは悪趣味!)のBFを殴って(まさにチンピラ!)、訴訟を起こされたりしている。だいたい、そんなチヤホヤするだけのクズ仲間とツルンで遊びまわってること自体が、おバカなお山の大将みたいで、成り上がりの浮かれ者で。私の好みには遠かったのだ。美貌はともかく……。



 illustration by hiroyuki ijichi


 
 で、4度目の会見が2002年の10月、ロサンゼルスで実現した。正直、念願の大作『ギャング・オブ・ニューヨーク』にまつわる悪い噂を山ほど聞いていたものだから、期待してなかったんすよ。通信社から流れてくるオフの写真もデブだったし……。

 ハイッ、まずは、結論から言っちゃいます。ほんと、スマンこってす! 私が狭量でした。そう、ウエストハリウッドにある新設したばかりの自分のプロダクション・カンパニー“アピアン・ウェイ”で出迎えてくれたレオは、少々眠そうだったけど、とても誠実で、正直で、清潔感も漂ってた。話が“悪い評判”におよんでも、穏やかな表情。「もう、ぜんぜん慣れっこ。タフ・スキン(皮膚が強くなって傷もつかない)さ」と二の腕をつねって余裕をかまし。それに、撮影が延びに延びて、公開も延びに延びて、本当ならウンザリしてるハズなのに、とにかく『ギャング・オブ・ニューヨーク』とマーティン・スコセッシ監督に惚れきってるんだなぁ。

「寝ても覚めても映画漬けの生活。そりゃぁ、現場は真剣勝負で大変だけど、この達成感は何ものにも代えがたい。ほんと、こんなに一生懸命働いたのは、初めてだよ」


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