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第1回 「ブラッド・ピットのエビアン・ボトル」
第2回 「デンゼル・ワシントンと三つの招き猫」
第3回 「ギヨーム・ドパルデューのパープル・ヘア」
第4回 「ホアキン、ラッセル、ワイルド・ナイト」
第5回 「キアちゃん、キアロスタミ」
第6回 「キアヌ・リーブスがヘタくそバンドに一生懸命な理由」
第7回 「愛しのギアさま:Chapter1」
第8回 「愛しのギアさま:Chapter2」
第9回 「世界の黒澤と梅干しの味」
第10回 「エドワード・ノートンのヘンな日本語」
第11回 「ハリソン・フォードと“特別”なティー・タイム」
第12回 「エドワード・バーンズとNY“至福”旅行」
第13回 「初の“女”! おまけのジュリア」
第14回 「待ち焦がれて、ホウ・シャオシェン…」
第15回 「ジャコ・ヴァン・ドルマル監督と共に涙したあの日」
第16回 「ヴァンサン、オスカー女優が義姉で良かったね!」
第17回 「思いおこせば10年前だね〜、キューザック!」
第18回 「やっぱ前評判は信じられない!とっても良い人(ビリー・ボブ)の乳首」

2001.12.18UPDATE

金子裕子
text by Yuko Kaneko


第19回●「監督は真実を語る/スキャンダル編」

 
 多くのスターたちをインタビューできるのは幸せなことである。世界中にいる多くのファンを差し置いて、たとえ30分であろうと、40分であろうと、その時ばかりはスターも私を見つめて直接に話しをしてくれるのだから。しかし、ときおり困ってしまうこともある。というのも、ちょうど会見時期の前にスキャンダルが勃発したりすると、パブリシストたちは「プライベートな質問はなし!」というし、編集者は「あの真相を突っ込んで!」というし。もちろんスター本人だって、たとえ質問したとしても、やんわりと「その話しはしたくない」と答えるのが関の山だから。

 そこへいくと、監督はイメージなんていうものにこだわらない人が多いし、もっと現実的。それに、自分の思いを正直に作品に込めて、それを正直に語ることが使命だから、おのずと嘘もつけない体質になるようだ。そんなわけで、“真実を知りたくば、監督を責めよ!”というわけだ。

 
 その思いをあらためて強くしたのが、『コレリ大尉のマンドリン』(2001)の宣伝で来日したジョン・マッデン監督に会見した時。知っての通り、この作品にはペネロペ・クルスが出演している。彼女といえば、2001年の1月から始まったトム・クルーズとニコール・キットマン夫妻の離婚劇の原因と噂されいた。そう、新作『バニラ・スカイ』(2001)で共演したトムとペネロペが不倫の恋に落ちたから、と噂されていたのだ。しかし、トム自身は離婚訴訟を起こした当時から今年の秋まで、徹底して“不倫”を認めかった。そして、離婚が法的に成立した今年の秋に行われた『コレリ大尉のマンドリン』のプレミア試写にペネロペをエスコートして、やっと仲を公にした。つまり、ふたりの恋がいつ始まったかが、ポイントなワケ。離婚訴訟の前なのか、後なのか……。

 そこで私はこう質問した。
「プレミアにカップルで登場されて、マスコミはそのことばかりを取上げましたが、これは映画そのものにとっては不幸なことではありませんか?」
 すると、マッデン監督が答えていわく。
「あの時の現象だけを見れば、そうかもしれない。しかし、私はこの作品には自信があるから、作品自体が持つ力によって、観客を惹つけてくれると思うから、心配はしていない。だいたい、ペネロペがトムに恋をしていたのはこの作品を撮影していた時からわかっていたからね。ほら、恋するオトメの瞳の輝きは違うとよくいうだろ(笑)。ペネロペもその例にもれずで、とても幸せそうだったよ」

 
 そのコメントを聞いた途端、私は“キャッホー! そんなこといっちゃっていいの?”と思わず聞き返してしまった。だって、“この映画の撮影中”ってことは、2000年の春から夏にかけてだもの。ということは、すでにトムとペネロペは、『バニラ・スカイ』の撮影前の顔合わせやリハーサルの段階で、恋に落ちたということになる。もちろん、離婚の原因でもあるのだ。しかし、当のマッデン監督は「事実だからね」と穏やかな笑い。



illustration by hiroyuki ijichi


 
 というわけで、すっかり味をしめた私は、後日来日した『ムーラン・ルージュ』(2001)の監督バズ・ラーマンにも真相暴露を迫ったのだ(ちょっと大げさ?)。この作品は、一方的に離婚を申し渡された妻ニコール・キットマンの主演するミュージカル。この作品で歌って、踊って、演技するニコールの評価は上がるいっぽうで、オスカーの呼び声も高い。

 で、まずは、私の質問。
「ニコールは、離婚劇に巻き込まれ、おまけに離婚話が出た後に子供も流産してしまい、撮影中には骨折もしています。これだけ過酷な出来事を1年間に経験した女性の側にいて、どう思われました?」

 
 すると、ラーマン監督は、「そのとおり! 凄い経験だよ。おまけに、ニューヨークの連続テロ事件の後に戦争が起こり、それでもこうして飛行機に乗って私といっしょに世界中をキャンペーンして回ってる勇気を、讚えたいね」と、まずは称賛。そして、少し間を置いて、こう語りはじめた。

 「僕は、トムもニコールも知ってるから、あまり多くは語れないけど。でも、ふたりの関係は……とても不思議だとは常々思ってたよ。具体的にはいえないけど。そう、ニコールは、僕らの故郷オーストラリアでいうところの“ガッツィー”さ。根性があってタフっていう意味なんだけど。だいたい、離婚の話だって、突然だったんだ。彼女が僕に電話をかけてきて“とにかくショックだわ”っていうだけでね。本当に彼女は、何も知らなかったんだろう。離婚の話がでる前の月には結婚10周年のパーティも開いたくらいだから。しかし、彼女はいろいろなことがあっても、映画から離れなかった。普通なら、撮影を放りだしても仕方がない状況なのにね。壊れていく心をジッと自分の中だけに収めて、仕事に打ち込んでいた。その結実が、この『ムーラン・ルージュ』さ。僕は、彼女は絶対にオスカーをもらう資格があると思う。あれだけの仕事をしたのだから。
 フフフッ、それにしても、もし彼女がオスカーをもらったとしたら、授賞式の夜が最高におもしろくなるよね。えっ、トムへの最高のリベンジだって? ハハハッ、僕の口からはそこまでいえないけどね」

 
 なるほど、これまでなにかにつけ大スター、トム・クルーズの七光りといわれ続けてきた妻、いや、元妻ニコール・キットマンだけに、トムがいちばん欲しがっているアカデミー賞をニコールが先にとれば痛快と、みんな思っていることがよくわかる。それほど、不実なことをした男だということが、目撃者である監督のコメントからにじみ出てくるのだった。

 そんなわけで、監督は真実を語るは、枚挙にいとまがない。そこで、次回では、スターの愛情関係だけではない、“真実”を披露しようかなぁ。≪第20回に続く≫

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