ちなみに、“フランス映画祭横浜”は、「フランス文化を日本に浸透させよう」というフランス政府の胆入りだけに、毎年、多くのスターたちが、ほとんどギャラなしで来日してくれる。そして、全員が会場のパシコ横浜の隣にあるインターコンチネンタル・ホテルにご宿泊。となれば、スターたちも友人や仕事仲間と夜遊びしつつ、ほとんど修学旅行気分。だから、いつもよりググーンとくつろいで、ホテルのロビーやホヒー・ハウスをうろうろしている。
で、ヴァンサンと別れた後に、もうひとりの俳優をインタビューした私は、コーヒー・ハウスでカメラマンと休憩していた。そこに、来たんですね。例の、まるでブルース・ブラザースみたいなサングラス着用のヴァンサンが。もちろん、目が合って、軽く会釈をした私だけど、後は斜め後ろの席についてひとりコーラを飲む彼を、礼儀として無視。ところが、5分もたたないうちに、ヴァンサンが私の横にやって来てビックリ。
「俺、君が帰った後に、本と、バカだと思ったんだ。だって、俺のバンドの名前を教えるの忘れちゃったんだもの」
もちろん、それなら「書いて」と私が差し出した紙に“The Band of Marthines Vincet→FRISCO”と中腰で記入。そこで、「インタビュー、楽しかったよ!」と勝手に話しだすから、一応、礼儀として「座る?」というと、もう、ニッコニコの顔で私の隣に座ってしまったのだ。いやー、驚くやら、うれしいやら。で、少々夢見心地になりながらも、雑談に花を咲かせたんだけど、それが、もう、愉快で、愉快で。
