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第1回 「ブラッド・ピットのエビアン・ボトル」
第2回 「デンゼル・ワシントンと三つの招き猫」
第3回 「ギヨーム・ドパルデューのパープル・ヘア」
第4回 「ホアキン、ラッセル、ワイルド・ナイト」
第5回 「キアちゃん、キアロスタミ」
第6回 「キアヌ・リーブスがヘタくそバンドに一生懸命な理由」
第7回 「愛しのギアさま:Chapter1」
第8回 「愛しのギアさま:Chapter2」
第9回 「世界の黒澤と梅干しの味」
第10回 「エドワード・ノートンのヘンな日本語」
第11回 「ハリソン・フォードと“特別”なティー・タイム」

2001.3.15 UPDATE

金子裕子
text by Yuko Kaneko


第12回●「エドワード・バーンズとNY“至福”旅行」

 
 取材旅行にはよく出かけるが、だいたいが1作品についての取材で、3泊5日といった超短期のものが多い。しかし、時々、取材する作品が複数にまとまり、けっこう長い滞在になることもある。

 1月の末からのニューヨークの旅がそれだった。最初は、『スターリングラード』に出演したジュード・ロウ&ジョセフ・ファインズ、そして監督のジャン=ジャック・アノーなどの取材が決まった。しかし、その数日後には、日程を3日延ばせば『15ミニッツ』に出演のロバート・デ・ニーロとエドワード・バーンズも取材できることになった。もちろん(イイ男にだけに)貪欲な私は、周囲の「この忙しい時期に!」というブーイングを浴びつつ、あろうことか以前から決まっていた女優の合同取材にも編集者を派遣するといった暴挙にまで及んで(すみません!)、1週間のニューヨーク滞在を実現させたのだった。

 もちろん、多大な犠牲(?)をはらっての"ニューヨーク〜イイ男漁りの旅"だもの、収穫は1回では書ききれないほど。おいおい詳しくご報告しますがね。

 で、まずは、エドワード・バーンズ篇から。まぁ、バーンズ君に会う前々日には、かねてより恋い焦がれていた英国美形ジュード・ロウに会見し、そのブルー・グレイな瞳に見つめられてウットリ。濃い系だとばかり思っていたジョセフ・ファインズのエレガントな物腰と、手のひらサイズの小さな白い顔にドキドキッ。それはそれは、まさに人もうらやむ至福の時を過したのだ。しかし、それは、ほんの旅の序奏にすぎなかった……。

 
 というのも、事件は、『15ミニッツ』の記者会見で勃発した。なにしろ、出席者は監督&デ・ニーロのみと聞いてたから、開始前にはダレダレだった私。ところが、いざフタをあけてみると、来たんです! エドワード・バーンズ君が。

 グレイのスーツにブルーのシャツを着て。もう、そのお姿といったら、ラフなんだけど小粋で、カラダも長身にして適度に筋肉質、顔も小さくて……。はっきり言って、会場に彼が現れた途端に、雷に撃たれたようにシビレてしまった私。身動きもできずに、ひたすら彼の一挙手一投足を追うばかり。そして、ある瞬間からは彼の手に目は釘づけに。その細くて長くて白い指の美しいこと!(じつは私、手のキレイな男に目がないんです)。で、その長い指でミネラルウォーターのボトルのキャップを開けて、水を飲む。それが終わると、また白い指でキャップを閉める。その連続行為に魅せられた私は、記者会見終了の合図とともに、フラフラと壇上に歩み寄り、気がつけばボトルを手にしていた次第(笑)。

 そう、熱心な読者は気がついてるでしょうけど、かつてブラッド・ピットのエビアンのボトルも盗んだイケナイ私。その癖が無意識に出てしまったんですねぇ。しかも、今回はもっとエスカレート。入り口付近でスタッフと談笑しているバーンズ君をつかまえて、ボトルにサインまでさせてしまった。すっかり舞い上がった私は、さっそくホテルに帰りジップロックにボトルを密閉し、いそいそと彼に気に入られそうな質問作りに励み、その英語の質問を何度も繰り返して準備万端おこたりなし。



illustration by hiroyuki ijichi


 
 で、いざ翌日のインタビュー。まずは部屋に入ってきたバーンズ君は、やはり私のことを覚えていましたね。じつは、部屋には数人の外国人記者も待機してたんだけど、まずは最初に私にニッコリ(したと思う)。そこですかさず、第1問を。もう、緊張しまくっていて、あんなに練習したはずなのにたどたどしいったらありゃしない。しかし、バーンズ君はゆっくりと質問を聞いて、きっちりとコメント。その内容もさすが、俳優ばかりか、監督&脚本家としても評価の高い知性派だけに、充実している。

 そうなのだ、『プライベート・ライアン』でちょっとシニカルな兵士を演じ俳優としても注目を集めた彼だが、最初に脚光を浴びたのは製作・監督・脚本・主演をこなした95年の『マクマレン兄弟』。そのデビュー作は、ウディ・アレン作品のような私小説的雰囲気とユーモアを持ちながらも、現代的なセンスにあふれた、なかなかのシロモノ。その後も『彼女は最高』(96年)、『ノー・ルッキング・バック』(98年)など、コンスタントに監督&主演作を生みだしている。

 だから、今回のように御大デ・ニーロとの共演で俳優業だけに専念するというのは、ちょっと珍しい。やはり、俳優業で稼いで、自分の作品につぎ込む? そんな質問も湧いてくるのだが。「それはりんごとオレンジのようなものだよ。まったく違ったふたつの経験で、どちらも美味しい(笑)。正直なところ、僕は書くことが一番好き。そして、監督はその延長線上にある。物語を語るという意味でね。演技は、自分で書いたものを演じるのと、他の人の作品で演技するのは、まったく違った種類の情熱なんだ。もちろん、どちらにしても演技自体は興味深いもので、僕は楽しんでるよ」



 しかも、『プライベート・ライアン』でトム・ハンクス、『15ミニッツ』でロバート・デ・ニーロと共演したことを比較したコメントも興味深い。「確かにトムとの共演は、僕をよりよい俳優にしてくれたと思う。でも、ボブ(デ・ニーロ)との経験とは少し違うんだ。やはりボブのほうが長く俳優を続けてるし、あまりにも象徴的な存在、アイコンなんだよ。だから、スクリーンにボブと僕が並んでるのを見ると、不思議で、気味が悪くすらなってくる。じつにシュールな体験だ。いずれにしても、2人の先輩には、俳優としての多大なる集中力というものを学ばせてもらったけどね」

 神はバーンズ君に、カメラの前にも後ろにも立てる才能とルックスを与えたもうた!

 それが証拠に、『15ミニッツ』では哀愁のアクション・ヒーローを颯爽と演じて女心を鷲掴み。エンターテインメントな大作でもキッチリとヒーローを演じられることを証明しているのだ。いまやハリソン・フォードも年をとってアクション・ヒーローは無理になったしな。そのヘンの空席をじゅうぶんに狙える俳優に成長することは間違いなし!

 ちなみに、どうして私がこんなにイカれたのか? それは、私が神と崇めていたギア様系の顔と匂いを発しているから。そう、リチャード・ギア→エドワード・バーンズ→ブラッド・レンフロって、同じ系列(心無い友人は稲荷寿司型、もしくはスピッツ系という)で兄弟みたいに思えるんですよねぇ……。






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