リチャードは荘園主が死期の近いことを知り恋人を妹と偽って彼に近づけ、結婚させて遺産をいただいてしまおうとする若き労働者役。その狡猾さと野心をチラつかせつつも愛に苦悩する姿がなんともいえない切なさをかもし出し、女心をワシづかみ。悲しい結末とも相まって、試写室を出た後も私は涙が止まらず、興奮状態。ばかりか、数日間はリチャードの泣きそうな顔が目に焼き付いてボーッとしっぱなしだった。
そしてこの時、ある週刊誌の映画紹介記事を書き始めた駆け出しの私は、悔し涙にもくれたのだ。というのも、数年前に『アメリカン・ジゴロ』のプロモーションでリチャードが来日していたことを知ったからだ。“本物に会いたい、触れたい!”という思いは募り、“この仕事を続ければ、いつかチャンスは巡ってくる”と、思い詰めたのは当然だろう。
もちろん、それからは“リチャード会いたさ”にお仕事に励みましたよ。来たる来日に備え、インタビューのページを確保するワザを習得すべく、チャンスさえあれば来日俳優や日本の俳優に会見する日々。もちろん、リチャードの旧作を見直し、『コットンクラブ』(84年)や『キング・ダビデ』(85年)といった新作も、少なくとも3回や4回は見て、準備万端怠りなし。
