「もしも、世の中に優れた俳優という職種があるならば、僕はそれになりたい」
3度目の会見は、『マトリックス』の大ヒットで、その“優れた俳優”にちょっと近づいた直後だった。インタビュー自体は、ちょっと困ったり面倒くさくなったりすると、同席の共演者キャリー=アン・モスにふってしまい、ほとんど実のあることは話さなかった。それでも“スターの座”にも慣れたというか、そんなことは気にしないでマイペースを貫き通せる余裕が伺えた。
じつは、私個人としてはヘタくそなバンド 活動なんかに時間を割かずに、俳優のキャリアを邁進して欲しいと思っていた。しかし、最近の落ち着きぶりをみて、納得した。そう、キアヌはハリウッドの狂気の沙汰に飲み込まれないためにも、正気を保っていくためにも、感情を思いきり発散させられるバンド活動が必要なんだと。ステージの上で、ベース・ギターをかき鳴らすひたむきな顔と、屈託のない笑顔は、それを証明しているかのようだ。
ちなみに、私はかつてジャニス・ジョップリンに狂い、田舎の母に「明るいうちは近所に恥ずかしいから帰ってくるな」といわれたほど、ど派手なカーリー・ヘアでロック・コンサートに通っていた時期がある。つまり私自身は音痴だが、聴く耳には自信がある。そこで、提案なんだけど、キアヌ、リード・ギターを代えないと、バンドの将来はないよ!