『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980)で特撮の監修をつとめたリチャード・エドランドが来日したとき話を聞きにいった。米軍カメラマンとして滞日したことがあり、小津安二郎監督の映画が好きだという彼は、カタコトの日本語をまじえながら、にこやかに取材に応じてくれた。が、まだ試写も見てもいない映画の特撮について聞くのだから、お互いに隔靴掻痒で「ワカリマスカ?」「分かりませ〜ん」の応酬となった。
「特撮用のカメラもいくつか作りました。我々はロボットも機械もすべてニックネームで呼んでいて、カメラのひとつはビスタクルーザーと言います」。
1950年代のクルマの名前をとったというそのカメラは、1950年代のビスタビジョンカメラを改造したものだそうだが、どんなカメラなのか見当もつかない。あとで特撮専門誌を見たら、エドランドが妙な機械を手にしている写真があった。その機械はティシュペーパーの箱ぐらいの大きさで、滑らかなボディが黒光りしていてSF映画の小道具みたいだ。ああ、これがビスタクルーザーか! それにしても、こんなに小さな箱が映画のカメラ? 一体、原型となったビスタビジョンカメラとは、どんなものだったのか? と疑問は深まるばかり。
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『スタジオはてんやわんや』(1957)
●全盛期の大映京都撮影所の様子
を伝えるドキュメンタリー映画
監督:浜野信彦
出演:市川雷蔵
京マチ子
若尾文子
発売:大映株式会社
3800円(税抜き)/発売中 |
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それから20年たって、ようやく疑問は氷解した。『スタジオはてんやわんや』(1957)という旧大映撮影所のPR映画のビデオを見た。そのなかに、アメリカから到着したばかりの新型カメラの紹介がある。このカメラこそ、20世紀フォックスのシネマスコープに対抗してパラマウントが採用したワイド画面映画、ビスタビジョン撮影用のカメラなのだ。しかもカメラは大小2台。
大型はブラスバンドの大太鼓ぐらいの黒いドラムに何本ものケーブルが生えていて、大きなレンズ・フードが付いている。真っ黒な金属製の巨大カタツムリが引っくり返ったような形の不思議なカメラだ。小型の「ハンド・キャメラ」は水平に回転するフィルム・マガジンが本体の左右に2個のフライパンのように付いていて、中央の小さな本体の前にレンズが突き出している。カラスのロボットみたいな、異星人の宇宙船のミニチュアみたいな、これまた不思議なカメラ。「さすがにキャメラに慣れた撮影所の人たちもびっくり仰天していますね」とナレーター氏が自慢する気持ちも分かる。 |