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『ロビンフッドの冒険 スペシャル・エディション』
発売:ワーナー・ホーム・ビデオ
¥2980 |
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DVD時代の映画鑑賞のたのしさのひとつは、その特典映像だが、『ロビンフッドの冒険』(ウィリアム・キーリー、マイケル・カーティス共同監督、1938、ワーナー・ホーム・ビデオ)の特典映像のすばらしさたるや、これまで私の知るかぎり、『北北西に進路を取れ』(アルフレッド・ヒッチコック監督、1959、ワーナー・ホーム・ビデオ)にまさるとも劣らぬもので、映画雑誌の特集号以上の興味深いドキュメントだ。「ヒッチコック・コレクションBOX1/2」(1942年の『逃走迷路』から1976年の『ファミリー・プロット』まで14作品を2巻に収める。ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン)や「フランソワ・トリュフォー 14の恋の物語BOX
I/II/III」(1957年の短篇『あこがれ』から1983年の『日曜日が待ち遠しい!』に至る14作品を3巻に収める。ポニーキャニオン)にも匹敵する豊富で多彩な特典集と言っていいだろう。予告篇集だけの特典といった付焼刃的なものではない。アメリカで初公開されたときの番組だったらしいニュース映画やカートゥーン(短篇アニメ)も入っているかと思えば、テクニカラーの歴史を描くドキュメンタリーやロビン・フッド伝説をめぐる詳細な解説も付く。
『ロビンフッドの冒険』は1935年の『虚栄の市』(ルーベン・マムーリアン監督)を第1作とする三色法テクニカラーによる長篇劇映画の16作目で、その色あざやかなこと、まさに「華麗なるテクニカラー(Glorious
Technicolor)」といううたい文句どおりで、私が見たのは戦後になってからだが、それでも50年以上も前のことだ。もう2度と見られないだろうと思っていた鮮烈な、真のテクニカラーが見事な修復作業で、まったく記憶どおりによみがえったのにはおどろく。空はあくまでも青く、くちびるはあくまでも赤く、緑の葉はあくまで緑に、深く濃く彩られる。映画ならではのカラーだ。極彩色とはこういうカラーをいうのだろう。
テクニカラーの歴史はその開発者でもあるハーバート・T・カルマス博士とその夫人で「テクニカラー色彩監督」だったナタリー・カルマス女史の物語でもある。
テクニカラー社のイギリス支社が設立された1936年以来、テクニカラー専属のキャメラマンになったジャック・カーディフが何年か前に来日したときに、私は幸運にも1時間ほどインタビューすることができたのだが、当時(1930年代から40年代にかけて)、すべてのテクニカラー作品の色彩をチェックしていた(『ロビンフッドの冒険』のクレジットタイトルにももちろん「テクニカラー色彩監督」として出てくる)ナタリー・カルマスについてたずねたところ、「とてもうるさかった」という答が返ってきた。
「彼女がセットから衣裳まで、カラーに関することは何もかも完璧に仕切っていました。
テクニカラーというのは1933年か34年くらいからアメリカで使われはじめたものですが、カルマス夫妻がテクニカラー社の代表で、すべてにボス的な存在でした。そして、テクニカラー社の方針として、テクニカラーで撮ったものはつねに完璧な色彩で表現されていなければいけないと深く信じていて、奥さんのナタリー・カルマスが撮影現場に来て、セットの色、壁の色とか家具の色から、衣裳の色など、全部、彼女が監修、チェックして、オーケーをださないと使えなかったくらい、色のことに関してはうるさかった。とくに美術監督はナタリー・カルマスのことをけむたがっていました。美術監督がきれいなピンクのカーテンにしようとすると、ナタリー・カルマスが「テクニカラーにそんなピンクのカーテンなんかダメ」と言って、絶対に認めてくれなかった。そういう状態が何年間かつづいて、あまりにもうるさくなったので、プロデューサーが「ナタリーさん、もう、こなくていいよ」と言って追い払ったんです。
しかし、「うるさい」ナタリー・カルマス女史のおかげで、私たちはとびっきり美しいテクニカラー作品の数々を堪能することができたのである。『ロビンフッドの冒険』はその最高の出来栄えを示す名作だ。
もちろん、DVDの特典映像では、最初のテクニカラーによる長篇アニメとして知られるウォルト・ディズニー製作の『白雪姫』(デイヴ・ハンド総監督、1937)、『ロビンフッドの冒険』に次いでテクニカラーの頂点をきわめることになる『オズの魔法使い』と『風と共に去りぬ』(ともにヴィクター・フレミング監督、1939)などもふくめ、テクニカラーの映画史をたっぷり見せてくれる。
ロビン・フッドの伝説をめぐるエピソードのおもしろさも筆舌につくしがたい。映画のシーンを見ながら、テクニックの分析やら、俳優の略歴やら、撮影の裏話やら、チェコ生まれの名作曲家エーリッヒ(エリック)・ヴォルフガング・コーンゴールドの映画音楽のことやら、史実と虚構の対比やら、多種多様なエピソードが次から次へと語られるのだ。
『ハイ・シエラ』のハンフリー・ボガートがポール・ムニとジョージ・ラフトの代役だったように、『ロビンフッドの冒険』のエロール・フリンもロバート・ドーナットの代役だったというようなことなども、いかにも映画的なエピソードで、おもしろい。 |
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