トリュフォーの映画的記憶を探る19章
(1) エッフェル塔
(2) 813
(3) リュミエール
(4) 「カイエ・デュ・シネマ」とヌーヴェル・ヴァーグ
(5) ロベルト・ロッセリーニとネオレアリズモ
(6) ジャン・コクトー
(7) ジャン・ヴィゴ
(8) ドタバタ喜劇(ローレル/ハーディ)
(9) マックス・オフュルス
(10) ニコラス・レイ
(11) チャップリン
(12) ハワード・ホークス
(13) ヒッチコック
(14) フリッツ・ラング
(15) ジャック・タチ
(16) ジャン・ルノワール
(17) 映画への愛
(18) アンリ・ラングロワとシネマテーク・フランセーズ
(19) アンドレ・バザン
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 (14)のフリッツ・ラングもトリュフォーの映画にしょっちゅう見えつ隠れつする存在ですが、ひとつだけ、まるでギャグのように明白な目くばせの例を見てみましょう。アメリカ時代のフリッツ・ラングの傑作の1本である『マンハント』(1941)ではヒロインのジョーン・ベネットがハートを矢が射る形の髪留め(ヘアクリップ)をジャック・ホーキンスに買ってもらい、いつも髪につけているのですが、トリュフォーの『恋愛日記』にも同じハートを矢が射る形の髪留め(ヘアクリップ)をした女の子が出てくるシーンがあります。トリュフォーは『マンハント』と同じ髪留め(ヘアクリップ)を見つけたときに、このシーンを思いついたとのことで、キャメラがさりげなくその髪留め(ヘアクリップ)をズームアップして、『マンハント』のジョーン・ベネットとフリッツ・ラングに挨拶を送るのです。『マンハント』と『恋愛日記』のそれぞれのシーンをつづけて見てみましょう。





『家庭』
 (15)のジャック・タチは、もちろん、ぼくの伯父さん、ユロ氏です。トリュフォーの自伝的シリーズの1本『家庭』にはユロ氏が引用されています。というよりも、ずばりユロ氏が登場するのですが、じつはジャック・タチ本人ではなく、ジャック・タチがかかえている代役、影武者だったそうです。ジャック・タチはそんな代役、影武者を7人も雇っていたそうです。トリュフォーがジャック・タチに「ユロ氏をワンシーンだけ、登場させたいのですが……」と電話したところ、おかかえの代役のひとりを送ってきたとのことです。




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