あわただしく、とってつけたような追伸になるけれども、8月12日から東京の中野武蔵野ホールで上映がはじまるチェコアニメ映画祭2000についてふれておかなければならない。この夏一番の話題作はジョン・ウー監督の『M:I-2』だが(「堕ちた巨匠」ジョン・フランケンハイマー監督の『レインディア・ゲーム』も捨てがたい「B級」スリラーだった)、それにもましてチェコアニメの圧倒的な見事さにファンは魅了されるにちがいない。
人形アニメの巨匠イジー・トルンカと弟子のブジェチスラフ・ポヤルの作品(いずれもすでに映画史の古典である)を中心に、トルンカスタジオの人形・粘土・レリーフ・セルなどの傑作短編アニメーション30作をまとめて上映するこの画期的な映画祭は全国主要都市で順次公開される予定だという。
試写室で久しぶりにポヤルの名作『飲みすぎた一杯』(1953)を見てきたばかりだが、どんな長編劇映画にも勝るとも劣らぬ 19分の迫力ある傑作にうなった。皮ジャン族のオートバイ映画のはしりになったスタンリー・クレイマー製作、ラズロ・ベネデク監督のアメリカ映画『乱暴(あばれ)者』が同じ1953年の作品で(同質の映画的衝動につらぬ
かれた『飲みすぎた一杯』との映画史的な影響関係を知りたいところだ)、マーロン・ブランドを反逆する青春のヒーローにした名作だが、いま、『飲みすぎた一杯』と見くらべてみると、アメリカン・ニュー・シネマの衝撃的なロードムービー『イージー・ライダー』(デニス・ホッパー監督、1969)をすでに予告していたのはむしろ19分のチェコアニメのほうのように思えるほどだ。

『飲みすぎた一杯』
(配給:チェスキー・ケー、レンコーポレーション)
映画祭は名古屋、大阪、京都、神戸、札幌、福岡、広島などで順次開催予定 |
試写では見られなかったが、イジー・トルンカの人形アニメの傑作中の傑作、29分の大長編(!)、『天使ガブリエルと鵞鳥夫人』(1964)もこの映画祭のプログラムに入っていて、たのしみだ。早く見たくてうずうずしているのである。
因みに 、ポヤルをはじめ、世界のアニメーション映画作家の近影をいきいきととらえたなみきたかしのすばらしい写 真集「アニメーテッド・ピープル・イン・フォト
ANIMATED PEOPLE in PHOTO」(アニドウ・フィルム)が出たことも付記しておきたい。