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プロローグ:もうひとつの『もののけ姫』











 ヌーヴェル・ヴァーグの旗手としてデビューしたジャン=リュック・ゴダール監督のほとんど遺言とみなされていいビデオによる『映画史』シリーズ全8章(約4時間半)が劇場公開されている。

「キネマ旬報」5月下旬号の作品特集で、中条省平氏が「おそらく映画が誕生以来百年目にして初めて持ちえた<映画によって映画を思考する映画>の試み」と評しているとおりの作品だろう。だが、その「思考」の軌跡たるや──配給会社のプレスの解説によれば「古今の、ゴダールが見て愛した無数の映画フィルムを集めてビデオに変換し、フィルムではやっかいなモンタージュをビデオで行ない、重層的なサウンドづくりでデジタルに完成していく膨大な映画の旅」ということになるのだが──チンプンカンプンなどと言ったら不届き千万、あたかも厳粛なるご神託のごとし。「キネマ旬報」の同じ号の「アートシアター」欄には、「地味な秀作というタイプが〔興行的に〕いちばん難しいのである」が、ゴダールの『映画史』みたいに「まったく分からないという方が逆にヒットしたりする」と(K)氏がずばり喝破。「分からない」のも中途半端ではないということなのだ。画期的な劇場公開であることは間違いないだろう。フランスではTVシリーズとして放映されたビデオ作品だが、デジタル原版をフィルムに変換するのではなく、ビデオの素材をビデオ・プロジェクターで投射してスクリーンに上映するエレクトロ方式(成果 はすばらしいの一言につきると思う)による世界初の劇場公開になる。但し、前半の第1章と第2章はすでに(1994年)、日本で16ミリフィルムに変換してささやかながら劇場公開されている。


ボードレールの「旅」を朗読するジュリー・デルピーにクリムトの絵画「接吻」がオーヴァーラップ(『映画史』第3章=2A「映画だけが」より)

 









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