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健にとって洋介の死というのは小突かれたくらいのもの。それは、健がよりよく生きていくということを問い掛け始める“きっかけ”に過ぎない。

―先ほど「小ネタ映画」だと言われていましたが、そういった小ネタは普段から蓄積されているものなんですか?

 実体験をヒントにするときもあるし、ネタに悩むこともあります。この映画に出てくる「1滴2滴の雨なのに傘を差す人」のエピソードは、実体験というか、僕自身が、1滴、2滴しか雨が降ってないのに傘を差す人って腹が立つんですよね(笑)。「なんでお前、そんな傘差すの早いんだよ!」って。そんなに濡れるのがイヤなのかって思っちゃいますよね。まあ、単に人のあげ足を取ってるだけなんですけど(笑)。ただ、小ネタを考えているときに、昔の記憶が蘇ってきたり、無意識のところで感じていたものが出てきたりはしますね。あと、僕はなぜかヘンなことに遭遇する確率が異常に高いんです。新大久保に食事に行ったときに、ヤクザが車をつき合せて、ジュラルミンケースに入ったお金を受け渡ししているところを見たり、1日に2度、偶然、石田純一さんに会ったり(笑)。そういう妙な遭遇運はあるみたいですね。

―ご自身の笑いのセンスはどこで培われたものだと思われますか?

 80年代後半にラジカル(・ガジベリビンバ・システム)やスネークマンショーに関わらせてもらったことが軸になっているとは思いますね。もともと子供の頃から『ゲバゲバ90分!』が好きだったし、「がきデカ(でか)」とか「嗚呼!!花の応援団」といったギャグ漫画が大好きだったんです。今でも全巻もってますけど、ギャグ漫画の展開ってとんでもないじゃないですか。そういうハチャメチャなところがおもしろいなって。あとは、モンティパイソンなんかも好きでしたね。

―映画でもコメディがお好きなんですか?

 ハリウッドぽいアメリカン・コメディにはあまりひかれませんね。アキ・カウリスマキ監督やコーエン兄弟、テリー・ギリアム監督なんかはおもしろいとは思うけど、喜劇というのはちょっと違う感じがしますよね。きっと、全面に喜劇と打ちだしているものよりも、喜劇じゃないものに笑いの要素があるほうが好きなんだと思います。だから、巨匠の小ネタも大好きですよ(笑)。溝口健二監督とか、黒澤明監督とかの作品にもけっこうあるんですよ。ご本人が小ネタと思ってやってるのかどうかはわかりませんが、僕のツボですね。

―つねに小ネタ重視なんですね(笑)。

『イン・ザ・プール』
5/21(土) シネセゾン渋谷ほかにて公開

STORY
奥田英朗の原作をもとに、プール依存症、継続性勃起症、強迫神経症を患う患者たちと、いいかげんでハチャメチャなトンデモ精神科医との交流を描くコメディ。主人公・伊良部を演じる松尾スズキをはじめ、田辺誠一、オダギリジョー、市川実和子が爆笑ものの快演を披露!

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 意識してるわけじゃないんですけど、つい目がいっちゃうんですよね。だから、僕には絶対に恋愛映画は撮れないと思いますよ。この間も、ある方に「今どきの映画なのに、『イン・ザ・プール』にも『亀は意外と速く泳ぐ』にも、恋愛らしき恋愛が出てきませんね」って言われましたから。ダメなんですよね、どうしても小ネタを入れたくなっちゃって(笑)。小ネタは恋の邪魔です。餅屋は餅屋じゃないけど、僕にテオ・アンゲロプロスのような映画を撮れと言われても絶対に無理。『永遠と1日』じゃなくて、『小ネタと1日』にしかならないから(笑)。だから、そういうのは得意な監督にお任せして、僕は小ネタ映画を邁進します。

―最後に、この『イン・ザ・プール』は現代人の抱えるストレスをテーマにした作品ですが、三木監督のストレス解消方があれば教えてください。

 パチスロにはよく行ってますよ。それって逆にストレスになるんじゃないのって感じですが(笑)。あとは、散歩をよくしますね。さっき話したヤクザの話もそうなんですけど、エアコンの室外機が壁一面にびっしりあるビルとか、1台しか止められない駐車場とか、そういうちょっとヘンなものを見つけるとうれしくなっちゃうんですよね。『イン・ザ・プール』のスピリットも「ストレスをおもしろがって生きていく方法はないか」ということだから、ストレスを苦と感じず、逆に楽しんでしまう方がいいんじゃないかと思います。



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