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―劇中、奥田さん演じる健と内藤さん演じる洋介というふたりの男の描写が対照的ですよね。ガンに冒され死にゆこうとする健と、そんな彼のことを献身的に看病する一方で、複数の女性と関係をもっていく洋介。相反する描写のギャップが、私には滑稽でもあり悲しくも感じられたのですが。

当日の服装はTシャツにGパン、素足に雪駄といたってラフな装い。一見すると怖そうな感じも受けるが、取材は終止おだやかな雰囲気で行われ、監督は時折流暢な日本語も披露 |
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「人間は日々過ごすうち、生きていることに対して無自覚になっていったり、生きる意味を見失ってしまうようなことがあるんです。しかし、もし自分の身近な人が死んでしまえばその人のすべては止まってしまう。やがて、閉ざされていた内なる目が開かれるように、自分自身への問い掛けを始める───たくさんのセックスをするという健の行動はそれにあたるわけです。人生における意味を探求しながら、人間は生きることを学ぶ難しさに気づいていく。一方で死は生きていくことに深く結びついているのです。
もし、木があってそこに2本の枝がついていた場合、そのままにしておくより1本の枝を切り落とせば、もう1本の枝はより成長して実をつけることができる。残酷なようですが、死はよりよい生、生きるということに結びついていると私は思います。悲しい印象を受けたとのことですが、この映画を人生の生きる意味を見つけていくポジティブな作品として観ていただけるとうれしいですね」
―うーん…。あまりにリアルな奥田さんの病床シーンのあとに内藤さんの迫真のセックスシーンが映し出されると、笑いたいけれど笑っちゃいけないような…。どこか戸惑いつつ、笑いながらも“いいのかなあ…?”と。複雑な感じが残ったんです。
「哲学的な真面目なメッセージというよりも、ユーモアを盛り込んでつくったつもりです(笑)。セックスというのはいろんな要素を含んでいるものですから、とても荒々しく描くこともできれば滑稽に描くこともできる。怒りを込めて描くこともできるし、支配的に描くこともできる。あらゆる感情を表現することができますから、ドラマにおいてはとてもおもしろいトピックだと捉えているんです。健の場合、セックスははじめ怒りを表現するものとして描かれていますが、やがて彼はそんなセックスを通じて自分を取り戻し、生きる意味を見出していくのです。するしないに関わらず、セックスは感情を表現する手段のひとつであり、ドラマとして大きな要素をもっていると思います」
―それではこの作品は、健が洋介の死を乗り越えて再び生きる道を見出していくという、ひとりの男の再生を描いた物語…だと捉えてよいのでしょうか?
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『リバイバル・ブルース』
シアター・イメージフォーラムにて公開中
(10/23よりレイトショー公開)

STORY
1970年代、ブルースバンドを組んでいた健は今や平凡な会社員に。そんな彼がバンド再結成のために、かつての仲間・洋介のいる沖縄へ。健の誘いを冷たくあしらう洋介だったが、ある日、末期ガンであることが判明する。洋介はバンドへの参加を決意。もうひとりのメンバー、加代も交えた再結成ライブが行われ、本番は盛況のうちに終わる。やがて健は仕事を中断し、洋介の介護を申し出るのだった。

DATA
監督・脚本/クロード・ガニオン プロデューサー・出演/奥田瑛ニ 出演/内藤剛志 桃井かおり 渡辺ほなみ 久保京子 野村麻紀 ミッキー・カーチス '03カナダ・日本協同製作/エレファント・ピクチャー/114分/R-15

■ オフィシャルサイト >> |
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「まさしくよく理解していただいたと思いますよ(笑)。言ってしまえば、健にとって洋介の死というのは小突かれたくらいのもの。それは、健が次のステージへ進んでいくということに対する問い掛け、よりよく生きていくことを問い掛け始める“きっかけ”に過ぎないのです。最後のシーンで健は、元通りスーツを着ている。外側からはなんの変化も見られませんが、長いスパンで見た変化───より深い意味での変化が彼のなかでは起きている。仕事や車、住まいを変えるのと同じような感覚で人生を変えるという意味ではなく、彼のなかで人生に対する姿勢・態度が変わったと言う方がふさわしいと思います。すぐには見つけられないかもしれませんが、健はきっとよりよい人生を見つけられるでしょう」
―『リバイバル・ブルース』では人間の生と死をテーマにされていますが、監督自身は今後、どんな生き方をされていきたいですか?
それから、次回作の構想などありましたら教えてください。
「A lot of a sex! セックスはとても健康的なことですからね(笑)。それは冗談にしても、今回の『リバイバル・ブルース』という作品は自分がこれまでにプロデュース・監督したなかでも一番おもしろく、楽しく、そしてリフレッシュできるものになりました。
次回作は『リバイバル・ブルース』の延長といえるものになるかもしれません。物語は若者の自殺からはじまり、その若者が彼の叔父のもとで再び生き始めていくというストーリーなので。舞台は日本の信楽。京都と三重の間で、琵琶湖の下あたり。藤竜也さんや吉行和子さんが出演します」
※注)即興:即興演技のこと。『リバイバル・ブルース』の台本には、登場人物の設定、物語の筋道は書かれていたが、人物の台詞はまったくの空欄。撮影現場では、ガニオン監督からカメラの位置、アングルは役者に説明されたが、その場での人物の動き、交わされる言葉などはすべて自由で、各役者の持つ力量に委ねられていた。 |