TOP > PART1 > PART2 >


――先ほどイメージフォーラムの話が出ましたが、そもそも映像の仕事を始められたきっかけは何ですか?

奥 HIGHLEG JESUS(河原雅彦主催のパフォーマンス集団)が新宿や原宿の路上でやってた時代に、僕も路上でパフォーマンス的なことをやってたんです。それで一緒にやろうって話になって、僕が映像担当になったのがきっかけですね。そこからだんだん口コミで広がって。今考えると、映像の世界では価格破壊なぐらいに安かったんだと思いますよ。

――でも、安かったら何でもいいってわけじゃないですよね。

奥 いや、最近は、安いのも大事だなと思って(笑)。今もそうですけど、ほかの人に比べると、圧倒的に安いと思いますよ。そりゃ仕事が増えて当然ですよね(笑)。

――路上でのパフォーマンスはいつ頃からやってたんですか?

奥 一番初めっていったら、それこそ幼稚園生になっちゃいますね。昔からヘンなことばかりやってましたから(笑)。

――目立ちたがり屋の子供だったとか?




奥 人に見せたいという欲求は、それほどなかったと思います。たぶんヘンな子だったんですよ。3歳ぐらいの時は、お客さんが来ると、おじいちゃんの入れ歯とか、人に見せちゃいけないものをわざと持っていって、みんなをあたふたさせてましたね。そういうのが面白かったんだと思います。あとは、小学4年の夏休みの宿題にスタンガンを作って持っていったら、先生が感電して大変なことになったりとか(笑)。

――すごい子供時代ですね(笑)。で、その後は?

奥 雑誌を作ったり、芝居やったり、バンドやったりは中高生の頃からしてましたね。とにかくイヤな子供だったと思いますよ。今もそのまんま大人になった感じですけどね(笑)。

――収入につながる活動としては、さっきのHIGHLEG JESUSからですか?

奥 収入という意味では難しいですね。商売として仕事が来るようになったのも、ここ1、2年ですからね。『壊音 KAI-ON』や『日雇い刑事』('02)を撮っていたころは、商売になりようがない時代でしたから。今も映画を作るときは全部自腹だし、いっぱいいっぱいですけどね(笑)。それでもやっぱりご飯は食べないといけないので、舞台とかの仕事を入れて食いつないでます。「映画に専念しろ」といわれるときもあるけど、逆にほかの監督ってどうやって食ってるんだろうって思いますね。もちろん、超メジャーな監督はいいでしょうけど、映画ってそんなに儲かるもんじゃないですから。だから僕みたいに映画監督の傍らで映像関係の仕事をやっている人も多いんじゃないかな。

――メジャーになると予算が多い変わりに、しばられる部分も増えますよね?

奥 それこそ事務所に所属するといい仕事も入ってくるけど、事務所のバックアップがなくなったら「ただの人」になっちゃいますからね。だから、それはイヤだなと思って(笑)。そういう意味では、獅童さんがいってくれた「今、自分が売れてるからじゃなく、ずっと見ていてくれる人だと思ったから出たんだ」という言葉は嬉しかったですね。僕も獅童さんは「21世紀のムービー・スター」だと思っているので、今後も執拗にオファーしていくつもりです(笑)。

――次の作品はもう決まってるんですか?



奥 今年の10月にやるのが1本あって、その後は来年になると思いますけど、3〜5本ぐらいできたらいいなと。次は『蟲物語』という作品になると思います。まだ詳しくはいえないんですけど、カラマーゾフ兄弟をモチーフにした極限値的な話になる予定です。

――精力的ですね。

奥 人間の脳ミソって、一番活性化してる時期があると思うんですよ。細胞は20歳になると死んでいくっていいますけど、逆にそれぐらいの年齢にならないと経験もついていかないから、ちょうどいいバランスの時期って本当に数年しかないんですね。僕は今が一番活性化している時期で、今やっておかないとダメなんだろうなって思ってます。

――では最後に、『赤線』がオープニング作品に決まった映画館「ライズX」の話をうかがいたいんですけど、劇場の機材選びにも関わられたんですよね?

奥 機材選びどころか、土木工事までやってますよ(笑)。今朝も消防検査の立会いに行ってきたし、この間は監視カメラの設置までしました。もちろん、機材選びのコーディネイトからメイカー交渉まで全部自分でやってます。今度のはすごいですよ。全部海外から取り寄せてるし、ほかの映画館で使っているような機材は一切使ってないですから。

――そうなると映画監督じゃなくて現場監督ってノリですね(笑)。もともとそのあたりって詳しいんですか?

奥 小学校の時にスタンガンを作ったぐらいですから、実はものすごいオタなんですよ(笑)。だから、そういうことになっちゃうんだろうなと思って。あと、「尺貫法」と「cm」と「インチ」が全部わかる人って意外と少ないから、けっこう重宝されちゃうんですよね。商業芝居で使ってもらえてるのは、そのへんもあるのかな。実は次の作品も新しい映画館の柿落としに決まっていて、そこも映画館建設からやることになってるんですけど、本当に監督なのか、何なのかよくわからなくなってきてますね(笑)。でも、自分では映画監督がドリルで穴を開けてるっていうのが、おもしろいと思うんですよ。

――意外性ということもあるんでしょうけど、もともと一から作っていくのがお好きなんですね。

奥 人がやったものをそのままの形でやることに疑問を持ってしまうんだと思います。だから、それをこうしよう、ああしようって変えていったときに、まったく違ったものになってしまうことが多いので、だったらゼロからやったほうが早いんじゃないかって。それは自分が映画を作るときも同じで、ゼロから始まって最終的にはどうなるのかわからないものが作れたらいいなと思ってます。


<< PART1 TOP >>


「スロウトレイン」に掲載の記事・写真・カット等の無断転載を禁じます。© Works m bros.