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PART2:世界のミフネとも飲み友達

−ジミーさんの代表作のひとつ『片腕カンフー対空とぶギロチン』は、敵の武器“空とぶギロチン”やバーリトゥード・スタイル(※4)の武道大会を登場させたりとアイデア満載なのですが、そのヒントはどこから?

中国の武侠小説や歴史小説に、そのような武道大会の場面がよく出てきて実際に行われていたのです。私はその手の小説をよく読んでおり、いずれ映画を作る時には武道大会を登場させていろいろな国や流派の武術をまとめて見せたいなと考えていました。ギロチンに関しては、秦の時代に皇帝が密使を各地に送り込んで造反者の首を斬らせていたという話を参考にしました。密使にギロチンを持たせて、それで斬った頭を持ち帰らせていたのですよ。製作時に台湾の歴史資料館へリサーチに行った際にそのような武器があることを知り、“空とぶギロチン”を考え出したのです。

−この映画に出てくるギロチン僧は盲人の上に耳を動かしますが、これは『座頭市』へのオマージュですか?

私にもできる(質問には答えずに耳前後にグニグニと動かす)。勝さんは、アシスタントに後ろからボールペンで耳を押させていました。一緒に酒を飲んでいた時に「耳を動かせるか」を賭けて彼は負けたのですよ。
 

※4 バーリトゥード・スタイル……劇中に登場する武道大会に、タイからキックボクサー、インドからヨガ使い、日本からは武士が出場し、異種格闘技戦を繰り広げる。どいつもこいつも弱いことこのうえない。

−『五金剛(The New Spartan)』(※5)なる作品で三船敏郎と共演していますが、一体どのような作品だったのですか?

ドイツとイギリスの合作映画で、三船敏郎、パトリック・ウェイン、オリバー・リード、フレッド・ウィリアムソンと共演しました。イギリスの製作サイドに予算の問題が生じて中止になってしまったのです。完成して公開されていたら大ヒットしていたでしょうね。あの頃は毎日、三船さんと飲んでいました。三船さんはウイスキー1本、私はウォッカ1本。私はウォッカ1本を20分で飲みましたが、三船さんはウイスキーを2時間半から3時間かけて飲んでいましたね。

−最後に、『スカイ・ハイ』(※6)のビデオと『新座頭市 破れ!唐人剣』のDVDにサインを頂きたいのですが…。

(サインを書き終えると)『スカイ・ハイ』は、じつは撮影中に事故があったのですよ。共演したジョージ・レーゼンビーの背中が燃えるシーンがあるのですが、油をかけすぎたために火が強くなって彼がパニック状態に陥ってしまったのです。周りも騒然として皆で逃げてしまったので、僕が彼を抱えて地面に押さえつけて消火したのですが、自分の眉毛も焼けてしまいました。激怒したレーゼンビーが、鉄パイプで監督(ブライアン・トレンチャード=スミス)を殴ろうとしましたが、それも私が制止したのですよ。
 
※5 『五金剛(ウージンガン)』(75年・製作中止)……ジミー大先生がカンフー使い、三船敏郎が忍者の格好をして他の出演者と並んでいるスチールを見せてもらったが、ストーリーに関しては話を聞くことができず。とりあえず、豪華なキャストからいって相当なアクション大作だったと思われる。ちなみに、ジミー大先生はそのスチールを非常に大事にしているようでラミネート加工が施されていた。



※6 『スカイ・ハイ』……“二代目ボンド”ジョージ・レーゼンビー演じる麻薬シンジケートのボスと、香港警察の刑事(ジミー大先生)の闘いを描いたオーストラリア・ロケ敢行の作品。レーゼンビーが上下ジャージ姿のジミー大先生に徹底的にボコボコにされた挙句、口に手榴弾を突っ込まれて爆死する、凄まじいクライマックスが見もの。これを見るかぎり、レーゼンビーはもっと怒っても良かったんじゃないかと思う。



香港、台湾の映画界では逆らえる者が誰もいない“その筋”の大物でもあるジミー大先生(取材前日、仕事中のジャッキー・チェンに遠慮することなく携帯で強制談笑したとの情報あり)のインタビューだけに、非常に緊張した1時間だった。部屋に通されるや、同行していただいたスーパーバイザーの某氏、カメラマンの小坂氏と共に横一列に並ばされ、こちらをジッと見ながら意外にも大柄なジミー大先生がゆっくりと近づいてくる。「殺られる……」と思ったら、名刺を差し出してガッシと力強く握手してくださったのでした。とにかく、“俺が一番”オーラを全身から出しながらインタビューに応じる大スターの貫禄に圧倒されっぱなし。二日酔いだったためか、終始「ゲフリ、ゲフュ」と低音と音圧の効いたゲップ(DTS 5.1chサラウンド)を響かせていたのも印象的でありました。



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