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2002.12.12 UPDATE
取材・文・撮影/中村千恵子(編集部) text by Chieko Nakamura |

団鬼六(作家・映画監督)
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団鬼六。その名を知らぬ者はない、SM小説の第一人者です。しかし、その真の作品世界を知る人がいったいどれだけいるでしょう。かくいうわたしも、偏見だらけでありました。
ところがどっこい、腹をきめて何冊もの鬼六本を積みあげて読んでみると、目からウロコが落ちました。そこには想像していた「痛くてグロいSM」ではなく、そのケがなくても陶酔できる、情緒豊かな「恥じらいの美学」があったのです。
そんな日本を代表するエロの大家が、御年71歳で初めてみずからメガホンをとりました。映画のタイトルは『紅姉妹』。美人が恥辱の憂き目にあうという、鬼六文学の王道的ストーリーです。
もしや縛られてしまうのでは?と緊縛…いや緊張のおももちで鬼六邸にうかがうと「おう!いまね、家に人がだれもおらんのよ」と、気さくな団先生その人がドアを開けてくださいました。 |
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秋田書店発行のプレイコミックで、現在も続編が掲載されている「紅姉妹」は、全4巻発売中!(ブックマン社/各税抜き1429円) |
―いままで数々の作品が映画化されてきた団先生が、今回の『紅姉妹』で、ご自身でメガホンをとろうと思い立ったきっかけはなんでしょうか?
今まで僕の原作を映画化したものはたくさんありましたけど、自分で満足した映画は1本もなかったんですよ。僕の映画となると、吊るしたりムチ打ったり、すぐハードになるんですけどね、本当はああいうもんじゃないんです。ソフトですからね僕は。ちょっと、こんなんちゃうで、それじゃ見本みしたろうかって言ってるうちに、今回、僕が原作もシナリオも書いて、監督するってことになったんです。まあ、いっぺん自分でやってみたかったんですよ。自分の本当の好きなヤツを。
それで、3年くらい前に、ちょうど僕の原作が『紅姉妹』っていうマンガになったんですよ。そのマンガを見て、こんな風に映画撮れたらいいなって思って。今回は、漫画の原作見ながら作ったようなものですね。漫画が絵コンテみたいなものなの。
―最初に先生の作品を映画化したのは、日活の小沼勝さんですよね。先生の映画というと、まずあがるのが日活ロマンポルノですが、当時先生はその映画化された作品について、随分怒ったという話を聞いています。それはなぜだったんですか?
ああ、あれはね、すごいハードなんですよ! 僕の小説の場合、内容は全部ソフトでしょ?そのソフトなヤツを、日活は全部ハードな映画に作っちゃうんですよ。『夕顔夫人』なんか、逆さに吊ったり花突っ込んだりしてるけどね、あんなひどいことはないんですよ。俺はあんなにハードじゃないって言うてんの。そういう性癖は監督のなかにあるんであって、僕のなかにはないんです。監督がスケベなんで、あんな要らんことするんですよ。そんな必要ない言うてるのに…。
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| 「紅姉妹」本編より
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(C)団鬼六『紅姉妹』製作委員会
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―先生のソフトなSMの世界が、映画監督の手にかかると見せ場を作るためにハードに描かれてしまう。その度に先生は怒ってらっしゃったわけですね。それで“本物の鬼六的世界”をみせてやろうと立ち上がられたわけですが、実際に監督を務められて、いかがでしたか? 難しかったですか?
難しいっちゃあ難しかったね、やっぱし。脚本書くのと演出では、だいぶちゃいますわ。本だけやったらなんぼでも書けますけどね、あんだけ人動かしてね、明日の時間は何時って決めてね…。あんなのなかなかできるもんじゃないですよ。今回は結構助監督に助けられましたけどね、亀井という男に。でも朝早く8時頃から起こされる訳でしょ? で、夜も早くて10時過ぎっていう…。あれには参りましたね。
当然、最後のOKも僕が出すんやけど、じっと撮影を見て「オッケー!」って言ったら助監督が「あれ“オッケー”ダメですよ!」なんて走ってきて。「アカンかった?」って聞くと、「オモロない」「アイツが笑ろうてましたよ」とかね、「あっちの男がクシャミしてましたから」なんて言われて。監督がNGばっかり出してたね(笑)。

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