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CGの派手さやリアルさが問題ではありません
“リアリティのないもの”に憧れ続けるエリの世界を映像化することが大事
―エリが自分の作り出した妄想の世界に入り込んでしまうあたりで、CGを多用されていましたよね。巨大な五円玉が登場したり、地球が爆破したり。どこかトボけたような、レトロなSF映画のように感じられて楽しかったです
「デジタル・ビデオで撮影した映像をコンピュータに取り込んで、CGを含めた編集作業をしました。どんなにがんばっても結局のところ予算的な問題がありますから、ハリウッドのCGのようなことはできないとわかっています。それが狙いではないので、できる範囲のなかで最大限のことをしようと。
でも重要なのは、CGの派手さやリアルさではなくて、“リアリティのないもの”に憧れ続ける、ヒロインのエリが持つ世界観を、映像として伝えることなんです。作品に描かれている世界は、あくまでエリの妄想世界。だから、最後の方で登場するゴキブリも、すごくリアルに作りすぎたら彼女の世界ではない。エリは女の子ですから、ゴキブリといっても、それをリアルに観察したことなんてないはずですから。同様に、エリが小説を書くことにぼっ頭しているうしろでUFOが登場するシーンも、すごいことが起きていても、彼女にとっての現実はその程度、取るに足らないものよ、ということを言いたかったんです。もちろんエリが執筆する小説も、彼女の想像できる範囲のもので終わっています。このことは、物語的に重要なポイントですが」
―確かにエリの書いた小説は少し子どもっぽいですよね。彼女は恋愛の経験も少なく、ひきこもりがちで幼い感じがしますが、どのように彼女のキャラクターを作ったのですか
「自分が22歳だった頃に戻り、そのとき何を考えていたかということをたどりながら作りました。昔は良かったなとか、こんなことを考えていたんだっけとか、思い出しながらの作業は楽しかったですよ。でも、エリというキャラクターをかたち作っていくうちに、まだ進む道を決めていない彼女が少しうらやましく思えたりもしました。だから物語のなかで、迷って迷って結局何も決められない彼女を、そのままにしてしまったんです。エリの将来はまだまだ先がある訳だし、私が決めてあげるのは不幸かな、と」
―エリと、22歳だった頃の監督とは似ていますか?
「小説家として成功する前のエリとは似ていますね。彼女と同じく、私もあまり外に出るのが好きではありませんでした。“誰かと一緒じゃないと外には出ない”みたいなすねたところは、今でもありますよ」
―当初予定になかった一般劇場での公開が決定した時は、どんな気持ちでしたか?
「うれしかったです。それは私だけではなくて、スタッフも出演者も同じ気持ちだったと思います。劇場公開作品ではないという前提があっても、できるだけたくさんの人に観てほしいという気持ちを持って創ることを忘れなかった作品でしたから。公開が決まったことで、製作に関わったスタッフへのお礼になったとも思っています」
―ところで、監督が今までで一番好きな映画って何ですか
「歌があって、ダンスがあって、鑑賞していて衣装やセットの楽しい映画が好きです。ミュージカル映画なんですが『ロシュフォールの恋人』('66)が好きですね。ヒロインのカトリーヌ・ドヌーヴが、次はどんな衣装を着るのか観ているのが楽しい。セットで創られた街に、60年代の可愛いいワンピースを着たヒロインがいるのを観ていると、思わずその世界に入りたいなって(笑)。ミュージカルって、例えばヒロインが1曲歌い終わったら、さっきまでとは全く違う世界になっていたりするじゃないですか。その感覚がすごいと思います」
―そうなるともしかして新作は、ミュージカルですか
「そうなんですよ(笑)。『ボディ〜』よりも明るくて楽しい映画を作りたいと考えています。今回はちょっとヒネた部分もあったので…。ミュージカル映画ですから当たり前ですけど、今度は観ていて楽しくなれるような映画を作りたい。お客さんが入り込めないぐらい、底抜けに明るいミュージカルにしたいですね」
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