2001.08.16 UPDATE




取材/石井百合子
text by yuriko isii


奥原浩志 hirosi okuhara
1969年生まれ。大学卒業後、武蔵野映画劇場(現・吉祥寺バウスシアター)で映写技師のアルバイト中に映画に目覚める。93、94年のPFFで連続入賞を果たし、注目を集める。市川実日子主演の『タイムレス メロディ』('99)は海外の映画祭で高い評価を受けた。
 
 プサン国際映画祭で日本映画として初のグランプリに輝いた『タイムレス メロディ』。劇場デビュー作でいきなり国際的に注目を浴びることとなった奥原浩志監督の待望の新作『波』は、西伊豆の美しい景色を背景に男女4人の曖昧な関係を繊細に切り取った人間ドラマだ。“曖昧でいて繊細”。直接、会った奥原監督はそんな言葉がピッタリの好人物だった。



  去年の夏、伊豆に住んでいたら、
映画を作りたくなっちゃって


 
―ロケ地に伊豆を選んだ理由から聞かせてください

「去年の夏に伊豆に家を借りたんですよ。夏にみんなで遊ぼうかなというつもりで。そしたら映画を作りたくなっちゃって。前の作品を撮ってからもう2年ぐらいたっていたので、そろそろ何か作りたいなぁというのがあって、たまたま行った町がすごく気にいってしまったので。だから割りと行き当たりばったりでやったんです」

―行き当たりばったりだったんですか!?

「撮影前にはちゃんと台本は完成していましたよ。ただ、脚本持って伊豆に行って撮影にのぞんだんじゃなくて、伊豆に行って脚本を書いてという順序がちょっと普通の映画と違うところがあります。生活していて、周りの地理に詳しくなってくると、“ああ、ここ撮りたいな、あ、ここもいいな”って感じでメモっていって、それをもとにストーリーを作っていったという感じ。だから、まず撮りたい場所がありきだったんです」

 
 
―伊豆に暮らさなければ撮れなかった映画なのかもしれませんね。ロケ班とかでなく

「そうですね。例えば、他の人がここで2,3か月暮らして映画を撮った時に、また観る部分が全然違ってくるじゃないですか。そういうところに個人差があるからいろいろな映画があって面白いのかもね」

―劇場映画2作目ですが、前作の経験を活かして撮影はスムーズに進みましたか

「前の時は、“もう少し整理してから撮っていればこんなに編集作業が大変じゃなかったのに”って思ったんですよ。本当に僕は(編集に)時間がかかるんで、途中で萎えてきちゃう。だから、その辺で学んだ部分はけっこうあります。まぁ基本的にワンシーンを長回しで撮っているんですけど、“ここでこういうのを撮っておけば、もし尺的に長すぎて使いづらくても、切って次に行けるなぁ”っていうような計算ができました。そんなの普通の映画監督なら誰でもやることなんだけど、それが『タイムレス〜』の時はあんまり知らなくて。でも自主制作の8ミリとかで撮ってた時は、もう少しうまくやっていたように思うけど…(苦笑)」

―じゃあ今回はちゃんと絵コンテや頭の中で整理したものに沿って撮影出来たという感じですか?
 
初日舞台あいさつにてコメントする奥原監督


「いや、絵コンテとかはなしですよ。絵は現場に行って実際にリハーサルをやってから決めますから」

―現場で、最初の構想とズレてとまどう事はありますか?

「やっていて、“やっぱりここはこうした方がいいな”というアイデアが撮影中に出てこないと逆にやばい。そういう部分が出て来るといい作品になるんですけど。例えばラスト近くの重要なシーンでも、脚本では全然違ったんです。出演者やスタッフに聞いたら“やっちゃった方がいい”って言うから“じゃぁ、やるか”と。登場人物にしても、いかにもとのキャラからはなれられるかというのが重要なわけで」

 






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