ヘアメイク:オブヘアー
 

200人の女優のなかからヒロインに抜擢された彼女は、映画出演経験はあったものの主役を演じるのは本作が初めて。燃え立つような情熱を内に秘めた主人公に、体当たりの演技で臨んだ。この『ロマンスX』の熱演で注目を浴び、『ポネット』('96)のジャック・ドワイヨン監督作『フリーキー・ラブ!』(2000)をはじめ、新作出演依頼が続々舞い込んでいる。今後が期待される、フランスの新鋭女優だ
 
 
−『ロマンスX』に出演されたきっかけと、カトリーヌ・ブレイヤ監督との出会いを教えて下さい

 「エージェントから『ロマンスX』のオーディションへ行くように言われました。でも実はその前にオーディションを受けていた友達から、この映画がすごく変わった物語だと聞いていたんです。オーディション会場にはブレイヤ監督もいました。お互い知らないはずなのに、会場に入ると監督と私の間に何か光の様なものが通り、それから強い何か…そう運命的なものを感じました」

−あなたがオーディションを受けたマリーという女性は、かなりハードな役柄ですが、出演はすぐに決心できましたか。

 「オーディションでは、ブレイヤ監督の前作である『堕ちてゆく女』のシナリオの1部が使われました。読んでいて、非常に日常的でありながらエレガントで、詩を読んでいるような奥深さを感じました。TV映画をはじめ様々なオーディション受けてきましたが、意味のない台詞が多くて興味をひかれない、レベルの低い脚本に会うことが多かったのでとても深く感銘しました。作品に出演したいという気持ちを、強く持ったのを覚えています。

 最終選考のあとに、監督から『ロマンスX』のシナリオと彼女が書いた『愛のコリーダ』('76)についての著述をいただきました。『愛のコリーダ』についての著述には、男女の関係についてのかなりきわどい内容があったし、『ロマンスX』も同様の印象を受けたので、私はちょっと心配になってきたんです。そこでエージェントに“こんなに過激な性描写がたくさんあるのは、彼女の作品のなかでは普通なの?”と質問しました。

 すると、“カトリーヌ・ブレイヤ監督の映画というのは、きわどいシーンがたくさんあるけれども、彼女はきわどさとか派手さを観せるのが目的ではなく、そのなかにある感情、愛情を観せたいんだよ”という言葉が返って来ました。それを聞いてようやく迷いもなくなり、出演する決心がつきました」

−愛を求めるあまり傷ついていくヒロインを、あなたはとても自然体で演じているように見えました。しかし、やはり撮影の方は過酷で、最初の2週間で4kgも痩せたと聞きました。実際の撮影で苦労した部分について、教えて下さい。

 
 
 「“自然体で”と言っていただけるのはうれしいですね。やはり大変な撮影でしたから。役のために長い時間をかけて準備はしていましたし、自分では準備できているつもりでしたが、実際に撮影がはじまった初日の半日くらいまでは思うようにうまくできませんでした。それでお昼ご飯をたべているときに、思わずみんなの前で泣いてしまって…。でもその出来事がきっかけで、自分がどんな映画を撮らなければならないか思いきりがつきましたし、以降の撮影もスムーズに進めることができました」

−最後に、あなたはマリーという女性について、どうお考えですか。

 「私は彼女のことが大好きですけれども、はじめのうちは納得できない行動もたくさんありました。“どうしてこんなことをするんだろう”…って。

 最初の頃、人に依存してばかりだった彼女が、自己を確立し自分らしさを解放させようと思いはじめた時から、孤独な闘いをはじめる訳です。マリーはそれが、彼女の望む愛の形を手に入れるための条件だとわかっていますから、厳しい闘いであっても立ち向かうことができたのではないでしょうか。それは単に性的な意識の解放という問題だけではなく、生きていくうえで根本的なもの、必要なものを獲得するための闘いでもあると思いました」



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