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台湾生まれ、国籍はアメリカ。ニューヨークを起点に、メディア・アートと映画監督の仕事を行なう。映画監督デビュー作『フレッシュ・キル』('94)は、ベルリン国際映画祭でプレミア上映され話題を集めた。Power
Bookを片手に世界各国を旅し続ける彼女は、固定の住所をもたない。ネット上のアドレスからだけでしか連絡がとれない“デジタル放浪者” |
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−過激なセックスシーンの連続で、ぶっとんでしまいました。一方で、ストーリーの流れをつかみきれない部分もあったのですが、ストーリーはそれほど重要視されなかったのでしょうか。
狙いははじめからポルノ。セックス・ムービーをつくろうと思っていました。何か大きなストーリーがあるとか、テーマを伝えることを狙ってつくったわけではありません。物語のなかには、いくつかの小さなポルノのストーリーがあって、それが別の小さなポルノ、つまり別のセックスへのリンクになっているんです。小さなリンクからセックスに入り、そしてまた別のセックス
に入っていくという繰り返しなんです。
−劇中に登場する“ゲノム・コーポレーション”という企業などを含む物語の背景が、作品を観ただけでは理解できませんでした。資料を見てその全貌をようやく理解することができたのですが…。
それも同様で、ゲノムがどういうところで、どういう社長がいるのかを伝えるつもりはありませんでした。それに、ゲノムの会社のセットをつくってしまうと、別のシナリオをつくらなければならなくなるでしょ。そこまですると、他のSF映画と同じようなありきたりのあらすじになるし、私の狙いであるセックス・ムービーからはずれてしまうように思ったんです。だからゲノムについては、ロゴマークをみせるだけに留めました。興味があるなら、ウェブ・サイトを見て、ゲノムのインフォメーションを得てもらえばいいのではないでしょうか。
−なぜ、セックスなのでしょうか。監督はセックスを、どのようなものと捉えているんでしょうか。
一般社会の風俗やクラブ・カルチャー、インターネットなどの中に、セックス・カルチャーは確かに存在しています。なのにセックスというと、やましいもの、いやらしいものという“建前”のもとに、隠れたカルチャーとして幻のように取り扱われています。その“建前”のせいで、未だに性に対して閉鎖的な部分が多いのではないでしょうか。セックスは、悪いことでも恥ずかしいことでもない、本来は楽しいものだと思っていますから、セックス・カルチャーを幻ではなく、何か形を成したものとして伝えたかったんです。それを実現したものが『I.K.U.』という訳です。
−最終的に摩擦を介しないセックスのために、主人公のレプリカントはオルガズムデータを集めている。そしてそのあとの未来には、肉体が交わらない世界が待っている訳ですよね。例えば現在は、チャットやメールというネット独自のコミュニケーション手段だと、男女の性別、年齢の関係がなく、さらにはバーチャルな疑似恋愛というものも存在すると思います。そういう意味で、映画と現実の世界が微妙にクロスしているように思えました。そのような現代社会への風刺がこの作品には盛りこまれているんでしょうか。
携帯電話やノートパソコンなどの電子ツールを多用する現代は、ワイヤレスの時代になりつつあります。セックスに関わることについても、アダルトページやグッズの購入、テレホンクラブなど、そのようなツールを利用する時代になってきています。今後は、時代の流れについて行かなければ、セックスを楽しむ、快楽をエンジョイすることはできなくなるかもしれませんね。映画ではそのツールとして、オルガズムデータを集めるレプリカントがその役目を負っているといえるでしょう。
−肉体が交わらない、バーチャルな近未来のセックスについては、どうお考えでしょうか。
お互いに言葉をタイプし、インターネットを通じて快楽を共有するサイバー・セックスという方法があります。いわゆるフィンガー・ファッキング、指でファックするというもので、私も体験者のひとりなんですが、やはりそれは指でタイピング、打ち込んでいるに過ぎず、私の理想とは違いましたね。しかし実際は、恋人と離れ離れに住んでいて、フィンガー・ファッキング、サイバー・セックスという手段しかないという人たちもいます。またこの手段であれば、見ず知らずの他人、他の国の人とどこにいてもコミニュケーションすることができますし、クローズな関係になっていくこともできるんです。
もうひとつ別の例えを挙げましょうか。レストランで友達と食事をするのと、カップヌードルを食べるという選択があれば、私はもちろん前者を選びます(笑)。だけれど、ラボに入っていたり仕事が忙しかったりで、常にカップヌードルを食べなけれならない人達もいます。また、忙しいから仕方なく…ではなく、カップヌードルが好物だからという人もいます。つまり、肉体的なセックスを望まない人たちもいますが、私の場合はそうではないだけで、どちらが正しいとか間違っているとかの判断を、一概に下すことは出来ないと思います。
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