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次回作ではまた裏切りたい(笑)
“白”をテーマに殺人を描きたいんです
―僕は河瀬さんと大体同世代なんですけど、河瀬さんが以前おっしゃっていたことですごく共感したことがあります。それは「自分たちには“時代”というものがない。何かをなくすことさえどうでもよく思えてしまうほど根本に何もない世代だ」という意味の言葉なんですが、今回の映画も暖かさと同時にそんな寂しさ、空虚感もすごく伝わってきました。
そうですね。日本が戦争の後、なんとか復興していこうという時には三世代が同居していて、しんどいけど親の言うことをちゃんと聞こうというような絶対に揺るがないものがあった。でも、いざひとりひとりが自由を手に入れて生きていけるようになった時、今度はつながっていけるものが何もない。絆がなくなってしまったんです。私は戦争時代に生きてないからよくわからないけど、人間には何かにつながっていたいという欲求が絶対にあるはず。だからみんなそれを取り返したいと思っている。だけど一方で、あきらめることにももう慣れてしまった……。
―よくわかります(笑)。
ふふ(笑)。そこで騒ぎたててね、泣き叫んで社会から逸脱するというような、そういうリスクを背負うだけの覚悟もない。そういう感じはありますね。
―そういう気分はモノを創るうえでの動機みたいなものになっていますか?
うん、なってますね。私がいなくなっても作品のなかにそういう想いが残れば、と思う。この先どんどんそういうことが進んでいくような気がする。でもまだ私たちの時代は人間同士の間での空虚感だったけど、その実態さえなくなった世界で空虚さを感じる人たちが増えてくるはずで、そういう人たちに「人はそれだけではなくて、もっと暖かいものもちゃんと持っているはずだ」ということを伝えたいなと思う。映画は残ると思っているんで。
―次回作の予定は?
いつもいい意味で前作を裏切りたいなと思っているので、次も裏切ろうと思ってるんですけど(笑)。あのー、“犯罪”の映画を撮りたくて……。
―河瀬直美の犯罪もの! 全然イメージがわきません(笑)。
(笑)。そう、少年犯罪。ちょっとまだ明確には構成立ててないんですけど、次は初めて主人公を男の子にしようと思っているのと、あと『萌〜』はすごく暗いダークなトーンだったんですが、今度はハイキーというか“陽の光”“白”というのをテーマにしたいなと思っていて。そういうハイキーな画面のなかで殺人を描きたい。やっぱり命を取り扱いたいんで、なんか万引きとかそういう犯罪じゃなくて(笑)、人を殺めてしまうことを、血を白に対する赤いものとして描くような、匂いのしてくるような感じの映画として撮りたい。
―具体的なストーリーなどはまだ?
まだなんですけど、やっぱり奈良で撮ろうと思っているし、タイトルは『娑羅(しゃら)』というので決まっているんですけど。“娑羅双樹の花の色”の『娑羅』。意味というよりも響きが自分の描きたい世界に近い。なんか切れる感じというか、乾いたところに生身の血があるような。
―面白そうですね。いつも河瀬さんの作品はタイトルが面白いですよね。
そうでしょ(笑)。なんかイメージわかないでしょ?
―具体的にはわかないんだけど、すごく伝わるものがあります。楽しみにしてますね。
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『火垂(ほたる)』
監督・脚本・撮影・音楽:河瀬直美
出演:中村優子 永澤俊矢 光石研
小野陽太郎 山口美也子
2001年 日本 2時間44分
配給:サンセントシネマワークス
テアトル新宿ほかにて上映中
http://www.acommy.com/entertainment/hotaru/
[河瀬直美・関連情報]
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小説
『火垂(ほたる)』
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ビデオ
『につつまれて』
『かたつもり』
『杣人(そまうど)物語』
組画(KUMIE)よりビデオリリース
※詳細は下記HPをご覧下さい
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河瀬直美公式ホームページ
http://www4.ocn.ne.jp/~sentinc/
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