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――ディレクターズ・カットを作ると聞いて、あなたの最初の反応はどうでしたか?
これは基本的にウィリアム・ピーター・ブラッティのバージョンなの。彼はこうしたほうが、よりスピリチュアルなメッセージが伝わると信じているの。長年のあいだ、一般の人々は『エクソシスト』をホラー映画ととらえるようになってしまっていて、ブラッティは新たなシーンを加えればこの映画の持つスピリチュアルな面がよりわかりやすくなると考えたのよ。自分の意志が弱いマックス・フォン・シドー、信仰心をなくしたジェーソン・ミラー、無神論者のエレン・バースティン、とそれぞれのキャラクターが精神的な旅を経験するの。これはウィリアム・フリードキン監督が言っていたんだけれど、「人間の生活は、毎日が善と悪の戦いだ」と。
この新しいバージョンでそれはわかりやすくなったし、観客がそのことに気付いて、いかに優れた作品であるかということを理解してくれたら嬉しい。アメリカでは大ヒットを記録してみんな楽しんでくれているので、日本の人も楽しんでくれたら嬉しいな。
――そうなると思いますよ。あの、もう一度質問を繰り返させてもらいますけれど、初めてこのディレクターズ・カットの話を聞いたとき、どう思いましたか? 嬉しかったですか? それとも嫌でした?
どんな風になるかわからなかったから、何も考えようがなかった。いま、こうして完成したバージョンを観て、とても興奮したし、とても喜んでいる。それについに、みんなちゃんとした映画として観てくれるようになったから。公開された当時は、この映画を観ると、悪魔にとり憑かれると信じた人が多かったのよ。単なる映画だからそんなわけないのに、みんな信じたのよ。だからいま、やっと尊敬を勝ち取ることができて、わたし自身も今回やっと敬意を払ってもらえるようになって、とても感謝している。
――あなたは『エクソシスト』に関わったことを誇りにしているようですが、それは昔からそうだったのですか? たとえば、オリジナル公開当時、そういう風にとらえることはむずかしかったと思うのですが。
確かに長い間、この映画を受け入れるのは大変だった。なぜならいろんな噂があったから。わたしが精神病を患っているとか、いろんな噂があって。さらに悪いことに、無責任なジャーナリストがそういう噂を広めてしまった。いまでは、そういう噂に対処する術を覚えたので、普通に振る舞えるし、それを見せることによって、みんな「ああ、あれは単なる演技だったんだ」とわかってくれるようになった。

写真提供:ワーナー |

1959年コネチカット生まれ。幼い頃からモデルとしてTVコマーシャルなどに出演。高校在学中に『エクソシスト』のオーディションに応募して、リーガン役を獲得。以後は、ホラー映画やB級アクション物などに多数出演。最近の出演作に『スクリーム』(97)などがある。 |
――なかなか難しいテーマの映画ですが、撮影時は作品の内容をどの程度理解していましたか?
全然。若い人にはわからないことだから。教会に行ったり、聖書を勉強してこういうジャンルのことを学ぶことはできるけれど、悪魔のことなんて絶対に話しあう機会なんてないものだし。だから、セットでもそういうことについては一切話さなかった。スタッフの人も、わたしがぜんぜん興味を持っていないことを知っていたから、あえて話そうともしなかった。わたしはただ現場で、想像上の怪物を演じていただけ。フランケンシュタインみたいな。わたしは小さな普通の女の子だったから、「なんでみんなはわたしをモンスターにするんだろう」っていう不満がいっぱいで(笑)。
――(笑)。
だから、現場ではそんな気分でずっといた。
――モンスターを演じるのは、すこしも楽しめなかったんですか?
そんなわけないじゃない。楽しいことなんてちっともなかった。
――女の子だから、やっぱりお姫様とかがやりたかったんですか?
その通りよ! でもこの映画ではそれは許されなくて(笑)。
――いやいやながらも、あなたは神がかり的な名演技を見せましたが、監督からはどういう演技指導をうけたんですか?
リハーサルの期間が三ヶ月あったの。それで、監督はわたしはフィジカルな演技が得意だと見いだしたんだと思う。それでとにかくいろんなことをやらされた。あと、メイクアップをしただけでいろんな表情ができるようになって、「目を動かして」とか指示を受けて。新たなバージョンを観直してみて思ったんだけれど、リーガンが自分の体に対してやることは、ある人にとってはショッキングで耐えられないようなことじゃない? でも、あれはみんな特殊効果のおかげなのよ。だから、そういう特殊効果と、素晴らしい脚本があったおかげで、わたしの演技がよく見えただけじゃないかな。とくにストーリーがとてもパワフルで、それが映画を支えていると思う。
―思い出すだけで嫌なシーン、または困難だったシーンはある?
困難だったシーンはたくさんあるわ。わたしはシャイだし、やりたくないことがいっぱいあったから。でも、出演するって契約したわけだし、やんなきゃいけないと自分に言い聞かせたの。
――でもあなたはまだ12才なわけだし、わがままも許されたと思うのですが。
でも、まわりをがっかりさせたくなかった。だからとにかく我慢してやった。もし、もうすこし経験のある俳優だったら、作品選びも注意深くて、その役に対するアプローチももっと熱意をもってするものだけれど、当時のわたしは言われたことをただこなしていただけ。最近の子役はかなり変わってきていて、とくにハーレイ・ジョエル・オスメントなんて、驚異的じゃない? これから何十年も、彼はずっと活躍していけると思う。当時のわたしは、彼みたいな才能や頭の良さはなかったな。べつにバカだったってわけじゃないけれど、彼ほど演技のテクニックを知らなかった。
――そんなことはないと思いますよ。鬼気迫る演技でしたし、だからこそ、いろんな噂が立ったわけですから。
ありがとう!
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