2001.1.25 UPDATE


構成/編集部


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昨年公開された『エクソシスト ディレクターズ・カット版』だが、現在もなお劇場を変えながらロングラン上映中である。初公開時から30年近く経ったいまも、これほどの観客を集める傑作を創造したのが、原作・脚本のウィリアム・ピーター・ブラッティと、そしてこの人ウィリアム・フリードキン監督。このフリードキンという人物、噂どおりの難物だったようで、今回のFAXによるインタビューも、宣伝部担当者の根気強い交渉の結果、ようやく実現したものだ。その割に得られたテキストはインタビューというよりは、長めのコメントという程度の分量なのが申し訳ないが、既に観た方、これから観るという方の何らかの参考になることを願う。今回はあわせて少女リーガン役のリンダ・ブレア(いまや40過ぎ!)のコメントと、作品評論も掲載する。







――なぜ、27年もたった今、ディレクターズ・カット版を製作することになったのですか? なにか具体的なきっかけがあったのでしょうか?

73年に公開されたこの作品は、世界中で成功を収めた。でも、(原作者の)ブラッティは私がカットした11分間について、ずっと言い続けていたんだよ。「あのシーンは大事なんだ!」とね。彼と私は友人同士だが、これに関しては、ずっと意見が合わなかった。でも、彼は25年の間、ずーっと、「とにかく、一緒にカットしていないフィルムを観てくれ」と言い続けていたんだ。あんまりうるさいものだから、ついに、去年一緒に観ることに同意したんだよ。きっと、「ほら、やっぱりカットして良かっただろ?」と、言うことになると思っていた。でも、ワーナー・ブラザースで一緒に観た後、「僕が間違っていた」と、ブラッティに言ったんだ(笑)。 

今回加えたシーンは、はじめから入れておくべきシーンだった。私たちと一緒にワーナーの人々も観ていたが、彼らは、もしシーンを加えるなら、再公開したいと言う。それで、私は、まったく新しいプリントにすることと、6トラックのデジタル・サウンドにすることをリクエストした。オリジナルは、モノラルだったので。今は、今回のものが最終版だと思っているよ。シーンを加えたことで、より精神的な面が反映されたと思っている。

――なぜ、日本での公開2日前に延期をしたのですか? 日本では、最後の第7巻目のリールに問題があると発表されていましたが、具体的には、どの部分がどんな状態だったのでしょうか?

全部だよ! とにかく、全体が暗すぎた。まるで、どこかの電源を切ってしまったようだったよ。あの、エクソシスト(悪魔払い)の儀式のすべてのシーンが暗いんだ。でも、アメリカでは、今、そのフィルムで公開されているが、誰も文句を言っていないのも事実だ。だけど、私にはわかるからね。本当に、どうしてこうなってしまったのか…。まったく不運だったと思うよ。ただ、今回に限らずだけど、ラボではいろいろと問題が起こる。たとえば、プリントをしているときでも、電圧が上がったり、下がったりすることもあるし。現像液にしても、昨日と今日と違ってしまったり、そういうほんの些細なことが原因になったりするんだ。だけど、大量生産する場合は仕方ない部分もある。日本の人たちには、私なりに謝ったが、でも、自分で良くないとわかっていて、そのまま公開することだけはどうしてもできなかった。


写真提供:ワーナー

1939年米、シカゴ生まれ。ドキュメンタリー演出を経て映画界へ。67年に『グッド・タイムス』で監督デビュー。71年の『フレンチ・コネクション』でアカデミー賞作品賞・監督賞を獲得、次作の『エクソシスト』('73)が世界中で大ヒットを記録する。他の監督作に『恐怖の報酬』('77)、『ブリンクス』('78)、『クルージング』('80)、『L.A.大捜査線/狼たちの街』('85)、『英雄の条件』('00)など。

――伝説のスパイダー・ウォークのシーンは、73年のオリジナル版ではカットされていたのに今回復活させていますが、これはなぜでしょうか。

なぜ、ブリッジのシーンをカットしていたのに、今回付け加えたのかというと、当時、SFXは機械的にやる物で、オプティカル処理ではなかった。もちろん、今のようにCGではできなかったんだよ。それで、あのブリッジで歩くシーンはうまくいかなかった。仕掛けが、観る人にわかってしまうんだ。でも、今はCGが使える。それで、やろうということになったんだ。

――当時の撮影現場では、ショットガンや拳銃を俳優の近くで発射して驚かせたところを撮影したという話を聞いたことがありますが、これは事実ですか? 

事実だよ。ポンと来ていきなり悪魔の顔はできないだろう? だから、小道具の人に来てもらって、空砲を撃ってもらったんだ。

――また、どうしてそんなことを思いついたのですか?

これは、私が始めたことだって言いたいところだけれど、実はずっと前から使われているんだよ。アメリカの偉大な監督、ジョージ・スティーブンスが始めたんだよ。『アンネの日記』('59)の撮影時に使っていた。ナチスの占領下、ユダヤ人家族が屋根裏部屋に隠れ住んでいる。常に聞こえているナチスの警報などに反応して、ビクッとするはずなんだ。でも、実際にはそこはただの撮影現場で、本物のナチスがいるわけでもなく、隠れて生活しているわけでもない。そこで、ナチスのサイレンの代わりにスティーブンス監督は空砲を撃った。瞬間的な驚きの表情はそうやって撮影されたんだ。映画のなかで、ジェーソン・ミラー(カラス神父)が、電話の音にビクッとするシーンがあっただろう? あそこも、実際は電話に驚いたのではない。突然の"バン!"という空砲の音にビックリしているんだよ。

――もっとも苦労された点は何だったのでしょうか?

サウンドトラック作りが一番大変だった。音響と効果の全部を変えたから。背景の音をすべて足して、新しい音楽も加えた。ミックスの作業だけで2ヶ月、もっとも時間がかかったよ。でも、一番楽しい作業でもあった。今回、観客も、音に囲まれて、自分が真ん中にいる感覚を味わうことができるだろう。『エクソシスト』は、昔の古い映画ではなく、新しく生まれ変わったんだ。現代の映画と同じように楽しめるんだよ。



<フリードキンと「エクソシスト」をもっと知るために>

●ビデオ
「ザ・ディイレクターズ ウィリアム・フリードキン」
アメリカを代表する有名監督と各々の関係者にインタビューした本シリーズにフリードキンも堂々の登場。『フレンチ・コネクション』の高架下のカー・チェィスが無許可でゲリラ的に撮影されたことなど味のあるエピソードが満載。フリードキンの徹底主義とわがままぶりが伺える。

東北新社
3500円
●DVD
「エクソシスト 特別版」
オリジナル版の本編のほかに、イギリスBBC放送制作のメイキング・ドキュメンタリー(約75分)を収録。当時カットされた場面や、今回デジタル処理が施される前の“スパイダー・ウォーク”など貴重な映像を観ることができる。フリードキンとブラッティの談話もあり。

ワーナー・ホーム・ビデオ
http://www.warnervideo.co.jp/
2000円(税抜)




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