キリストやカソリックに関しての話などは、どうでも良かった。私がなにより聞きたかったのは、作中に登場する監督ジョン・ヒューズについて語るくだりのことだった。例の「サイレント・ボブ」と、お喋りな相棒が『素敵な片思い』や、ジョン・ヒューズ監督の初期の青春映画について、延々喋り続ける場面 があるからだ。想い起こせば、前作『チェイシング・エイミー』の、あのこっ恥ずかしくなるくらいの、ピュアな恋愛物語(キャラクター設定はブっ飛んでたけど)は、ジョン・ヒューズ監督への、彼なりのオマージュだったのかもとも思えたからだ。

「70年代生まれの僕(70年生まれ)にとって、ジョン・ヒューズの青春映画はバイブルです。大々ファンなのです。『素敵な片思い』、『恋しくて』等々、素晴らしい作品ばかりです。でも残念なのは、僕が映画作りに目覚めた頃には、彼は子供の映画を作るようになってしまっていました。『カーリー・スー』には、たまげました」

 神への冒涜的映画にジョン・ヒューズへのオマージュを含ませることを考える人なんて、この人ケヴィン・ スミスしかいないし、そんな事してしまう人も、この人しかいないはずだ。タランティ―ノにはできない業だと、6年経っても、しつこく比較し賛美を贈ってみたりもした。

「何度も言うようだけど、タランティーノは優秀な監督です。僕は優秀じゃないので、比較されても困ります。唯一似ているところと言ったら、自分達の作った作品が映画館という劇場でかかっているところでしょう」

 いやいや、ケヴィン・スミスの方が、やはり私から見るに上手(うわて)だった。例えば、出演陣の顔触れを見たって一目瞭然。『チェイシング・エイミー』で、俳優ベン・アフレック(主役に抜擢)とマット・デイモンの、その才能をいち早く見抜き、彼等のアカデミー賞受賞作『グッド・ウイル・ハンティング 旅立ち』では、製作にケヴィン・スミスは名を連ねたりもしてるのだ。そんな縁もあり、『ドグマ』でも、2人を重要なキャラクター・堕天使役に起用していたりする。また、特筆すべきは、『ドグマ』において、超売れっ子のミュージシャン、アラニス・モリセットまでキャスティングしてしまっているのだ。



『ドグマ』

「キャスティングは、お金が全てじゃありません。説得するのに、相手を気持ち良くさせる芸も必要なんです。ベン・アフレックのことを、ベン! なんて呼びつけには絶対してはいけませんね。Mecha(FAX原文のまま)アフレックさ〜んとかおだてながら、GeishaやSakeで、その気にさせて行くのがコツなんです」

 真面目な話は、いつだって続かない。なんでもコミカルに物事を捉える天才、ケヴィン・スミスにかかると、取材はいつでもよからぬ 方向へと進んでしまう。しかも今回は、FAXでのやり取りの為、コントロールは不能だ。だが、こんなやり取りをして、改めて思ったのは、今後この人ケヴィン・スミスは、コミックショップのオーナーとして(ニュージャージー州の自宅近くに店舗を構えている)、面 白おかしく生活しながら、その生活の延長線上で、インディペンデントの監督として、映画を呑気に作っていくんだろうということだった。

 そうした姿勢ゆえ、彼の作品はタランティーノ監督作品のように、ハリウッドのメインストリ―ムに躍り出ることはないのかもしれない。ただ、こんな才能を、ケヴィン・スミスワールドを、もう少しだけ日本にも認知させることができたらと、6年経っても思い願う私がいる。いっそのこと、日本を舞台に作品撮っちゃえば!? と最後にメッセージすると…。

「サムライ映画撮りたいなぁ。もちろん僕の映画だから、一切アクションなんて無い、戦わないサムライ映画。サムライに延々セックスと神について語らせる映画なんて、どう思う? ぜひ作ってみたいんだけど」


 語る神はブッダだろうか? いずれにせよ、私は神を敵に回そうと見てみたい。みなさんだって、ここまでケヴィン・スミスという人を知ったなら、見ずにはいられない気分に今、陥っているはずだ。



『ドグマ』
 
『クラークス』
CLERKS
監督:ケヴィン・スミス
出演:ブライアン・オハロラン
   ジェフ・アンダーソン
   マリリン・ギグリオッティ
   ジェイソン・ミューズ
   &ケヴィン・スミス
1994年 アメリカ映画
1時間33分/モノクロ
配給:アップリンク
8月19日よりシネ・アミューズにて公開


http://www.uplink.co.jp/clerks
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『ドグマ』
DOGMA
監督:ケヴィン・スミス
出演:マット・デイモン
   ベン・アフレック
   リンダ・フィオレンティーノ
   ジェイソン・ミューズ
   &ケヴィン・スミス
1999年 アメリカ映画
2時間9分
配給:ギャガ・ヒューマックス
11月、東宝ビデオより発売



http://www.dogma-jp.com/


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