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マニアと一般観客の中間点を見つける
それが監督としての仕事でした


−フィギュアファン以外の人たちをどういう風に、この映画に取り込んでいこうと思いましたか?

 そこも難しいポイントなんですよ。やろうと思えばどこまでもマニアックに出来る、逆に上辺だけでは物足りない。フィギュアファンと一般 のお客の中間点を見つけていかなければいけませんから。

 例えば、映画的にフィギュアへの愛を表現するのなら、フィギュア作って徹夜して、夜中にはひとりでワルツでもかけながら等身大のフィギュアと躍ったりするというのが面白いのかもしれませんが、実際のフィギュアファンはそんなことをするはずがない、カリカチュアされ過ぎているってことになる。逆にフィギュアの要素を削って、恋愛の要素を膨らませて普通の物語にしたがるプロデューサーもいましたし。それらをまとめ、調整する作業が監督の仕事なんですね。本当に大変でしたよ。

−監督ご自身はどちらに持っていきたかったんですか?

 それは僕にとって、コンセプト映画を撮るか、商業映画を撮るかの、分岐点でもありましたね。商業映画って、ある種ひらめきか勘のようなものが必要で、言葉では説明できないけれど、これは売れるっていう確信がなければ作ってもしょうがないと思うんです。そして、その確信に沿って映画を作っていけば、売れる映画が出来たのかもしれない。

 けれど、僕は確信を持てなかった。なんとなく面白そうなもの、売れそうなものは作れたかもしれないけど、確信ではなかったんです。わかったつもりで作ったとして、結局売れない映画だったらすごくかっこ悪いじゃないですか。じゃあ自分が理解できる範囲内で、出来るだけ集中して必死に頑張ろうと思ったんですよ。高望みなんてしないでね。



 
フィギュア集めは自分探し
人間の面白さを伝えたいんです


−僕はフィギュアのことに余り詳しくはありませんが、十分に楽しめましたし、共感する部分も多かったです

 フィギュアマニアって、自分たちはなぜフィギュアが好きなんだろうって考える人が多いんですよ。とくに秋葉原あたりにいる子たちって、周りから自分が少し奇異な目で見られていることが分かっている。そんな立場にいながらなぜ俺は好きなんだろうってね。

 ある哲学者が、人間は自分がなぜ生きているのかを意味付けしなければ、生きていけない生き物なんだと言っていましたが、彼らはまさにそれなんだと思います。

 最初は漠然とフィギュア好きの映画を作ろうと思っていたのですが、取材を重ねていくうちに、彼らは自分の存在って何なんだろうっていう自分探しを行っていることがわかったんです。それは映画が好きでたまらなくて監督に蹴られながらもアシスタントやっている人をはじめ、漫画家志望の人、テレビ業界のADとかみんな同じだと思うんですよ。なぜ、なんて考えてもわからないのに、いつも自問自答してる。たぶん普通 の人たちも多かれ少なかれ、そういう部分があるんじゃないのかな。

 まぁ、そういう人たちを撮ることで人間の面白味が見えてくる。実際、こちらとしても、人間を見るおもしろさが伝えられなければ、作っていても楽しくないですから。単にフィギュアを撮るだけだったら、ただのカタログ映画でいいわけで。そのあたりを伝えないと意味ないですから。

−この映画には、周囲からそういう目で見られているフィギュアマニアへのエールも含まれているのでしょうか?

 
僕自身はSF映画ファンだったので、それほど奇異な目で見られることはなかったんですけど、SFを媒介に友人が増えてくると、アニメやフィギュアのファンも出てくるわけです。それで彼らの話を聞くと、冷たい目で見られることが多いと。じゃあ何とかしてやろうじゃない、とは思ってました。それがやっぱり原点かな。

 ウチの会社の女の子にもこの映画の台本を読ませると、「フィギュア・マニアも人間なんだ」って衝撃的なことを言ってましたからね。結果 として彼らもなんら普通と変わらない、という当たり前のことが伝わればいいかなって。そういう事を全面 に出して訴えたかったわけではないですけど。

 こういうことを言うと不粋になるけど、小さな個人や小さな何かが、大きなことを生み出していくっていうことを信じているんです。そういう精神が僕の根本的な所にあって、フィギュアというちっぽけなものがドデカイことを起こすっていうストーリーにしたいねっていう希望もあったんです。楽しいじゃないですか、そういうのって。他人から見れば奇異であっても、その人にとってはすごく大切なことってあるんですよ。


『ブリスター!』
伝説のフィギュア、ヘルバンカーを探し求めるコレクターのユウジ。周囲の仲間たちに呆れられながらも、日々フィギュア探しに奔走する彼は、ある日、ヘルバンカーを生み出したという世界的な科学者の存在を知る!

 監督:須賀大観
 出演:伊藤英明、真田麻垂美、山崎裕太
 1999年 日本 108分
 配給:スローラーナー

シネ・アミューズにて7月1日より公開



http://www.hakuhodo.co.jp/movies/blister/index2.html


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