2000.6.14 UPDATE




取材/栗尾知幸(編集部)
text by Tomoyuki Kurio

これはフィギュア・コレクターに関する映画である。
そう聞いて、現代のユース・カルチャーをネタに、伊丹十三的な蘊蓄をつめこんだカタログ映画を想像してしまう人も多いのではないだろうか。実際、映画『ブリスター!』は「フィギュアそのものが出て来る『トイ・ストーリー』みたいな映画はあっても、それを集めるマニアの映画はないよね」という、割りに気楽なノリから始まったと聞く。だがしかし。完成した映画はそういうものでは全然なく、監督自身も当初は思いもしなかった「個人とは何か?」というテーマを内包した、ポップかつ哲学的な快作となった。CM業界で修業を積み、いよいよ映画監督として本格的にスタートを切った須賀大観に話を聞いた。

1968年生まれ。高校時代に手掛けたSF映画が、ぴあ・フィルムフェスティバルで高い評価を得る。大学卒業後、広告会社に入社、以後CFクリエイターとして活動。97年にクラブカルチャーを題材にした「B」で商業映画監督デビューを果たす。本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000のファンタランド大賞(観客得票No.1)を獲得!



 
主人公はなぜフィギュアが欲しいのか?
そこから説明しつつ周囲を説得していった


−この映画を撮ろうと思ったきっかけから教えてもらえますか?

 取材の度に、違う答えをするようにしているんですよ(笑)。どこを見ても一緒じゃつまらないじゃないですか。まあいろんなきっかけが集まってこの映画が出来たわけですから、どれも間違いではないんですけど。

 最初は、オタクの友達と集まってぐだぐだ話してるうちに、アクション・フィギュアの映画ってどうだろう?って話になったんです。流行っているし、カルチャー・シーンに寄っていくものだから、広がりが出てくるんじゃないかなって盛り上がって。主人公はアクション・フィギュアを集めているスケーターやバンドマンにしようなんて案も出たんですが、それも煮詰まってしまって、じゃあフィギュア好きの若者と、SFマニア系の中年オヤジ、あとクリエーターの3人を登場させて、『トレインスポッティング』みたいな話に出来ないかと思ったんです。そうするとそれぞれの個性を出すことで、物語が回転していくし。

 で、友人のシナリオライターに書いてもらったシナリオを、ウチの会社のプロデューサーに見せてみたら、いいじゃんって答えが返ってきたんですよ。ウチの会社にもオタクがたくさんいるから、なんとなく観客層が見えるような気がするって。そういう感じでまず会社内にシンパが増えていったんです。

 ただ、フィギュア好きに話すと面白そうというんだけど、知り合いのクライアントなどに見せるとやっぱりフィギュアってナニ?なんて言ってくるしね。映画ではその背景もイチから説明する、登場人物がなぜフィギュアを欲しがるかも説明するって言いながら、いろんな人たちを納得させて、ひとつひとつクリアしていきました。

−アイデア作りから含めてどれぐらい期間がかかりましたか?

 脚本家にはストーリーの大まかな部分だけは説明して、あとはライターの領域なのでお任せ。僕はフィギュア大好き系の人たちといっぱい話をしておもしろいセリフを集めたって感じですかね。映画の約7割ぐらいは彼らの日常の会話なんですよ。撮影終了までには約3年くらいかかったのかな。

 一番気をつけなければいけなかったのは、例えば面白い人間の行動や面白いセリフをいくらたくさん集めてみても、それに興味のない人間には関係ないこと。だから、物語の構成面 で興味を持続させようと思ったんです。主人公が生きている現在の話、地球が滅亡寸前で戦士が活躍する話、そして韓国の老人の話と、それぞれ場所を変えながらやがて話がひとつにまとまっていく。どこかで興味を持ってくれると最後まで見てもらえるかなって。『ブルー・イン・ザ・フェイス』って映画も同じ手法だと思うんですけど。

 



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