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2000.5.3 UPDATE


取材・文/杉森直行(編集部)
text by Naoyuki Sugimori |
| 4月に東京で開かれた<ケルティック・フィルム・フェスト>で、英国期待の新人監督による『ラットキャッチャー』(原題)が上映された。これが長編デビューとなるリン・ラムジー監督は、数々の短編作品で着実に評価を高めてきた女流監督。ドキュメンタリー映画の父、ジョン・グリアソンと同じスコットランドに生まれ育ち、彼が培った伝統を受け継ぐ優等生的な姿勢から、硬派で冷めたイメージを与えるかもしれない。だが本人が「リスクを恐れない」と語って完成させた作品には、サスペンス、ファンタジー、バイオレンスなど、さまざまなジャンル的要素が盛り込まれ、研ぎ澄まされたイマジネーションの奔流が渦巻いている。そこには、他民族の侵略に抵抗するケルト民族の“反骨精神”と、荒涼たる大自然に対峙するスコットランド独特の“質実剛健”の気概が息づいている。来日した彼女に聞いてみた。
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1969年スコットランド生まれ。短編作品『スモール・デス』('95)と『ガスマン』('97)で、2度カンヌ国際映画祭審査員賞(短編映画部門)に輝く。長編デビューの本作で、エジンバラ映画祭最優秀新人賞やBAFTA新人監督賞などを獲得。現在、長編第2作を脚色中。 |
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劇映画とドキュメンタリー映画
その二面性を合わせた作品です
―初めての長編作品ということで、特に意識したことなどは?
まず脚本に取りかかったころですが、短編を撮ったりしていた時期だったので、段階的に執筆していきました。その際、これまでの自分の趣向を変えたくないというのが念頭にあって、フィルムメーカーとしてどういうものが作れるのか、ということを常に自分に問いかけていました。そして、そういったものの延長として長編に挑んでいこうと決めたのです。ただ、リスクは大いに背負っていこうと思っていました。
―作品を観ていると、ドキュメンタリー的な要素を強く感じますが?
そうですね。私自身、実際にドキュメンタリーを撮ったことがありますから。写
真を勉強していた影響もあって、映像面ではそれが反映されていると思います。ドキュメンタリーからアイデアを取り入れたりもしています。演技に関しても、あくまで自然にということで、ドキュメンタリー的な手法を応用しているのですが、カメラの配置や、動き、撮影方法などはコントロールしています。ですから、劇映画的要素とドキュメンタリー的要素を合わせ持った作品だといえますね。
―そういった二面性は、作品の中にもみられますね。直接的な描写でいえば、野性のネズミとペットのハツカネズミ。心理描写では、子どもの残酷な心と純粋な心などです。さまざまな“対照”を発見できますが、それらは意図してのことですか?
どんな芸術でもそうなのですが、光と影の関係というものが存在しますよね。私はそのことに非常に興味があって、肝心なのはそのバランスだと考えます。例えば映画のキャラクターですが、これはステレオタイプのイメージで終わらせたくないとも思っているのですが、子どもを描くときは、子どもが備えている残酷さという部分も盛り込みたいのです。ですから、この映画の父親の場合は、ヒーロー的な部分を持つ反面、飲んだくれたり、暴力をふるったり、家族を裏切ることがあるのです。こういった2つの要素を取り入れるというのは、非常にドキュメンタリー的といえます。それと、やはりドキュメンタリーというのは観察力がものをいいます。私は観察することが大好きなのです(笑)。
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