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宇田川幸洋氏インタビューTOP
PART1:
子供のころは…
山田さんが書く…
“シナリオ採録”の…
やっぱり先生ですよ…
PART2:
人とのつきあい方と…
ハリウッド映画を…
原稿を落としたことを…
・その人なりの…
   
宇田川幸洋氏過去の掲載コラム:
道草魂


−−最近の若いライターが書いているものをどう思いますか?

 若い人だけじゃないけど、むずかしくてよくわからないものが多いですね。ただ、最近はほかの人が書いた映画評論はあまり読まなくなった。べつにぼくが“なんでもわかってるから”ってことではなく、自分の興味をひくところが歳ともに狭まってくるので、ほかの人の好みや思考にそって書かれものはそんなに参考にならなくなってきたんです。結局いろいろ読むよりも、実際に映画を見たほうが自分にとって、たくさんの情報を得られる気がしますね。
 でも、むずかしくてよくわからない映画とか、裏の事情がいろいろありそうな映画は、やっぱり資料が有益ということもあります。あ、「若いライターが・・・」っていう質問のこたえに全然なってないですね(笑)。

−−では、映画評論家を志す人は“まず映画を見なさい”ってことですか?

 もちろん、それがいちばんですけどね。でも、若い人は自分の興味の対象がそんなにせばまってないから、文字による情報をどんどん入れたほうがいいと思います。
 よく若い人で映画評論家になりたいって人がいますけど、どうやってなったらいいのかぼくにもわからない。人が書いたものを読むと、ついきびしいことをいっちゃうから。よっぽどおもしろみのある文章でないと、どこかに紹介しようとも思わないですね。不親切な性格だから。でも、映画評論家を志す人なんて、そんなにいるんですかね。

−−もち込みで来る人もいます?

 10年に一人ぐらいかな。手紙で映画評論家になりたいと書いてくる人がいたりします。

−−その中でおもしろいと思った人は?

 いませんね。いや、だいたい、そこにその人の映画評が同封してあることがないので、おもしろいもおもしろくないもないんですよ。

−−映画評論家に向いている性格ってあると思いますか?

 ないと思いますよ。現にいろんな性格の人がやってますから。大金持ちになりたい、なんて人には向いてないでしょうね。あ、これは性格じゃないか(笑)。

−−評論家としての映画の見方があるとしたら、それは努力で身につくものなのでしょうか? 例えば、細かいところに気づいた方がいいとか。

 どうですかね。何でも意識的にやっていると養われることはあると思うけど・・・。でも、ぼくの場合は無意識のような気がする。映画をとりまく状況やまわりの意見を気にしてないから、自分は見たことを原稿にしている感じなんですね。野球でいう“来た球を打つ”みたいな“この映画をこう見ました”という、すごく単純な書き方しかしてないんですよ。ほかの人がどういう書き方をしているのかはわからないけど、その人なりの映画評論家になればいいんじゃないかな。
 
映画評論家の塩田時敏氏(左端)、字幕翻訳家の松岡葉子さん(右端)らとパチリ!
粉雪まみれさんと談笑する山田宏一氏
当サイトの元編集者・藤川愼氏と、今回の宇田川氏インタビューに素敵なイラストを提供してくださった宮崎祐治氏



 
増村保増監督作品などで知られる名プロデューサー・藤井浩明氏
映画評論家のおすぎ・ピーコのご両人からもお祝いの花が!


−−では、宇田川さんの映画評論家としてのスタンスは?

 単に映画の“いい”、“わるい”を判断するだけでなく、“わるい”と思われているものを“いい”といってみたり、“いい”といわれているものを“わるい”といってみたり。黙っていると世間一般の考え方とされてしまっていることとはちがう見方を定義して、(映画を見る人の)頭をかきまわすのが評論家じゃないかな。単純なものを複雑にして、複雑なものを単純にするというか、こういう映画の見方もあるよってささやいてやることだと思うんですよ。そっちのほうがおもしろいと思うし、“いい”、“わるい”だけだったらそのふたつの形容詞のちがいだけになってしまうでしょ。

−−宇田川さんは30年のキャリアの中で映画を見るのがイヤになったことはありますか?

 今日はイヤだなって日はあるけど、この先ずっと見るのはイヤとは思わないですね。

−−ほかの道を選べばよかったと思ったことは?

 ないですよ。収入は少ないけど、勤め人よりは楽みたいだから(笑)。



宇田川氏が師と仰ぐ山田宏一氏との記念すべき1枚!



 宇田川氏・・・、いや、宇田川さん(と呼ばせてください)は、とてもナチュラルな人だ。“来た球を打つだけ”という映画評論のスタンスも自然体だからこそできるのだろう。しかし、その一方でアマノジャクでもある。“いい”と評される映画を“わるい”といい、またその逆の手法をとることもある。しかも、自分の好きな監督やスターにはめっぽう甘い。“映画評論家ってこれでいいの?”と私は驚き、とまどった。そして、映画評論に対する自分勝手な思い込みを反省した。宇田川さんは仕事でも生きかたにおいても遊び心にあふれている。遅筆といわれ、担当編集者を悩ますことも愉しんでいるような気さえする(もっとも担当編集者はたまったものではないけれど・・・)。 『無限地帯』を読めば読むほど、その造詣の深さと節操がないまでの幅の広さに恐れいってしまう。これだけ映画知識をもちながらも、自分を貫く映画評論家を私は知らなかった。ハリウッド的予定調和の映画を好まない宇田川さん、これからもずっと“映画のドサまわり”を続けてください。




 
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