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| “流れにまかせていたら、いつの間にか映画評論家に・・・。”そんな宇田川さんの話を聞いていると、ひょうひょうとした人柄がそのまま人生に反映されているような気がしてくる。子供のころから映画を見つづけ、ついにはあの井筒和幸監督に“日本にいる映画評論家はこの人だけ”といわしめた宇田川さんに、今の仕事への執着やこだわりといったものはあるのだろうか・・・。 |
−−これまでのお話を聞いていますと、自然と映画評論家の道へすすまれた感じがします。
自然といえば自然なのかも知れませんね。子供のころから、監督か評論家、あるいはその両方になりたかったんです。両方というのは無理があるでしょうけど。
−−監督をあきらめた理由は?
映画をつくるのはあきらめてませんけど、職業としての監督はこの歳になったら、もうあきらめたほうがいいかも知れませんね。若いころ、そっちのほうにすすまなかったのは、どうやったらなれるのかもわからなかったから・・・。映画産業がどんどん斜陽になっていて運よく撮影所に就職できたとしても、あまり監督になれないような雰囲気がありましたからね。当時、会った助監督の人たちもずいぶん歳がいっているのに監督になれないでいたし。同世代の大森一樹や森田芳光は自主映画を撮ってちゃんと監督になったけど、ぼくはダメでした。評論はなんとなく書いているうちに、ズルズルとここまできてしまったという感じですね。
−−評論家もとくに目指していたわけではないと・・・。
そうですね。“映画評論家になるぞ!”って試験でも受けるみたいに努力したことは1度もないんですよ。小さな仕事をコツコツとやっているうちに、生活できるようになったって感じですね。まずしい生活ですけど。
−−自主映画を撮っていた経験が今の仕事に役立っていると思いますか?
少しはありますね。最近のデジタル技術とかCGに関しては詳しくはわからないけど、フィルムの編集は8 も35 も原理的に同じだから、“こうつなげばこう見える”という感覚はわかります。
−−自分が撮った作品を評論家として見たら?
じつは半分以上の作品が残ってないんですよ。でも、数年前に'78、9年の作品がPFFで上映される機会があって、それを見たら、古くなったっていうか、下手だなって思った。つくった直後のようにうぬぼれて見られなくなったのかも知れないし、20年もたっているから、やっぱり古くなったのかも知れない。今は自主映画の人もうまくなったから、きちんとした技術で撮らないととても太刀打ちできないですよね。
−−シナリオの勉強はされました?
中・高生のころ新藤兼人の本を読んだり、昔の古典的な構成はちょっとだけ。でも、自分で映画をつくるときにシナリオってあまり書いたことがないんですよ。シナリオがないほうが撮っていてたのしいし。そうやって大雑把に撮っちゃったから、今の若い人にはかなわないって思うのかも知れないですね。
−−また撮りたいなって思いは?
ビデオのプロジェクションの質がよくなってきたから、いじってみようかなとは思ってます。フィルムとはちがう可能性がどういうふうにあるのか、自分でためしてみたい気はあります。
−−先ほども名前が出ましたが、大森(一樹)さんや森田(芳光)さんといった同世代の監督には特別な思い入れがあるのでしょうか?
特にありません。彼らが劇場用映画の監督としてデビューしたころは、同世代の共有する感覚みたいなものがたしかにあって、そこに興味をひかれましたけれど、それぞれに職業監督として成長してからは、そういう蒙古斑はもうありませんから。ほかのどの監督とも同じです。
自分と年齢のちかい人でいえば、井筒和幸だけですね、ずっと興味をもちつづけられる監督は。最近、評判のよかった『のど自慢』('98)は、たしかによくできていたけれど、でも井筒のよさが出ているというよりはどちらかというと脚本家とプロデューサーの映画でしたね。だから、あれよりも続篇の『ビッグショー! ハワイに唄えば』('99)の方がぼくはずっと好き。評判も興行もよくなかったけど感動したなぁ。あれこそ、井筒和幸でないと撮れない映画です。でも、そういうのに感動する人がすくないのよ(笑)。
−−完成度の高い映画よりも、その監督の色が出ているものがお好きなんですね。
人間でも八方美人のような人でなく、自分にとっておもしろい人であればいいと思うんですよ。だから映画とのつきあいかたもそれと同じ。商品としてよくできている作品は見ればわかるけれども、それはぼくとは関係ないことだと思ってしまう。そりゃ、好きな映画にはあたってほしいですけどね。あたりそうな映画だから好きになるっていうのは商売する人の見方。まぁ、映画評論家も映画でショーバイしてる人の一部なのかも知れないけど。 |
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| 出版記念パーティに集まった来賓に挨拶する宇田川氏 |
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| ※MOVIEをご覧になるにはリアルプレイヤーが必要です |
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| 6月21日、「宇田川幸洋さんの出版を祝う会」が銀座アスター 新宿賓館にて行われました。そのときの様子を宇田川氏の交遊録と共にお届します。 |
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| 『マリ・クレール』の対談でおなじみの映画評論家・渡辺祥子さんから祝辞 |
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| 胸に花をつけてあげる渡辺さん |
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| 今回の出版のプランナー・高崎俊夫氏(左)と、映画評論家の“タキヤン”こと滝本誠氏も祝福 |
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| 『キネマ旬報』の関口裕子編集長(左から2番目)らと記念写真 |
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監督・脚本:井筒和幸
出演:室井滋 大友康平
竹中直人 尾藤イサオ
発売元:ポニーキャニオン
(C)シネカノン・東宝・日活・ポニーキャニオン
内容:人気番組「のど自慢」の舞台裏で繰り広げられる人間模様を軽快に描いたコメディ |
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監督・脚本:井筒和幸
出演:室井滋 大友康平
都はるみ 加藤茶
原田芳雄 竹内結子
発売元:東宝ビデオ
※レンタル中
内容:営業と慰安旅行を兼ねてハワイにやってきた売れない演歌歌手が騒動を起こす続編 |
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| 『のど自慢』 |
イラスト:宮崎祐治
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