2008年04月15日

『ねこのひげ』 TEXT by 水上賢治

 この映画のチラシには“日本のバイプレーヤーが集結し、作り上げた大人の恋愛映画”と書かれている。そこでキャストに目を通してみると、なるほど納得。日本映画及びTVドラマ、舞台で、(こう言っては失礼に当たるが)名前は知らなくとも顔はきっと見たことのある顔がずらりと並ぶ。映画は、そんな日本映画を縁の下の力持ちで支える役者たちへの愛でいっぱい。内容はちょっとシリアスなのだけれど、なぜか終始微笑みながら観てしまった。

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(C)ねこのひげ製作委員会

 監督を務めた矢城潤一は、8年前に自己資金で製作した『ある探偵の憂鬱』を発表。この作品は、ある人物の調査を始めた探偵が迷宮の世界へ入り込む物語で、その夢と現実の狭間にいる人間の感覚を体現させるような描写に見入ったことを覚えている。ここではその的確な手腕は役者たちの持ち味を引き出すことに徹底された印象。映画の住人になりきった役者たちの姿を的確なアングルで収めて、そのシーンの積み重ねで物語を紡いでいく。この映画に流れている時間が、おそらく大抵の人はとても身近で親密に感じるはず。それは、題材がうんぬんというより、この映画に漂う空気感が、たぶん一般の人々たちが過ごしているごくごく日常となんら変わりないから。“リアル・ドラマ”とか“リアルな演技”とは、もしかしたらこの映画のような形のことこそ、いえるのかもしれない。

 それにしても役者陣の演技がすばらしい。『愛の予感』の渡辺真起子、本作で脚本、企画、製作も兼ねている大城英司、仁科貴、螢雪次朗などなど、いずれもバイプレーヤーで鳴らす面々。彼らに共通して言えるのは、どんな作品でも端役でも手抜きがない。いつ見ても、きっちりとした仕事を見せてくれる。本作は、そんな彼らの仕事をクローズアップした作品でもある。こういう日本映画がもっと多く登場していい。

(関連リンク)
『ねこのひげ』公式サイト
http://necohige.com/
※4月19日(土)より渋谷・シアター・イメージフォーラムにてレイトショー

投稿者 mtoda : 17:09 | コメント (0) | トラックバック (0)

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