2008年03月26日
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 TEXT by 水上賢治
1963年にデビューを果たし、キャリアが45年を超えた若松孝二監督。これまで社会に波紋を呼ぶ、気骨のある作品を数多く発表してきた同監督だが、本作を見るとその反骨精神は年を重ねて丸くなるどころか、逆にさらに反発して加速している気さえしてくる。

(C)若松プロダクション
今回、若松監督が題材に選んだのは“連合赤軍”。本人が「どこかで1度は向き合わなくてはならなかった」と言い切っており、念願の1作といっていい。映画はそんな監督の熱き想いが乗り移ったかのよう。全編に並々ならぬ異様な熱気が充満している。
連合赤軍の引き起こした事件及びあさま山荘事件は、昭和史をたどる報道特集番組などで今の若い世代も1度は目にしていることだろう。だが、年を経るにつれて、残念ながら山中で起きたリンチ殺人事件や、赤軍メンバーと警察隊が激しい攻防を繰り広げ、あさま山荘に鉄球が打ちつけられるシーンのみに集約。そこへ至った経緯がすっぽり抜けて、連合赤軍=悪の図式でしか語られなくなっている気がすww.wる。その中で若松監督は、連合赤軍誕生からあさま山荘事件へと至る過程を丹念に描出。なぜ若者たちは革命戦士を名乗り、社会をかえようとしたのか? なぜ彼らは同志を殺す境地に至ったのか?
当時の日本の状況と、若者たちの心情の変化に目を向ける。しかも若松監督は連合赤軍の主要メンバー、坂東國男から当時の話を聞いており、彼から伝え聞いた話も反映。これだけの大事件にも関わらず国家権力側からの視点だけで語られつつある事件の真相と全貌をきっちりと映し出す。まさにタイトルにも入れられた“実録”という言葉にふさわしく、全編、当時の時代の空気と臭いが立ちこめているかのよう。当時を知らない自分であるが、まるで事件の目撃者になったかのような錯覚を覚えた。
もうひとつ加えておきたいのは役者たちの演技。有名無名の役者が登場するが、各人ともに迫真とはこのことと思えるぐらいの演技を見せてくれる。中でも目を奪われたのが、ARATA。これほど研ぎ澄まされた彼に出逢ったことはこれまでにない。
(関連サイト)
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』公式サイト
http://wakamatsukoji.org/
※テアトル新宿ほかにて公開中。全国順次ロードショー
投稿者 mtoda : 23:13 | コメント (0) | トラックバック (0)



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