2008年02月27日
『全然大丈夫』 TEXT by 水上賢治
言われるとちょっと安心するかもしれないし、逆にちょっと心配になってしまうかもしれない。そんな微妙なニュアンスを含んだ言葉“全然大丈夫”なるタイトルがつけられた本作は、名バイプレイヤーとして活躍する荒川良々の初主演作。スクリーンで独特の存在感を放つ彼の持ち味を引き出しぬいた1作といっていいかもしれない。それほど映画は彼の味わいで充満している。

(C)2007「全然大丈夫」製作委員会
手がけた藤田容介監督は今回が長編デビュー作。松尾スズキの主宰で荒川も所属する劇団「大人計画」と様々な形でコラボレーションをしてきた経験を持つ。その勝手知ったる強みか、荒川良々を躊躇なく良い意味で“いじり”倒す。それを顕著に表すのが、役柄の設定だ。荒川がここで演じるのは無類のホラー好きでゾンビに扮しては人を脅かして喜び、お化け屋敷を作るのが夢の29歳の男。でも、夢を語るがそれに向かって踏み出すことはない。要するにとにかくいい加減な人物。これを普通の役者がやると興ざめしてしまうところ。でも、荒川が演じるとなぜか愛嬌が生まれる。そのツボを藤田監督は当然のごとく押さえており、ドラマは荒川ワールドが支配。いつの間にか荒川の色に染められた物語は、どこかほのぼのムードの笑いで満たされ、最後は幸せな気分にさせられる。
三木聡監督ほどゆるくない、堤幸彦監督ほどベタでとぼけてもいない。その狭間にある、しみじみとした笑いとでも言おうか。藤田監督が提供するのは、そんな笑いとユーモア。この笑いちょっとくせになる。
(関連サイト)
『全然大丈夫』公式サイト
http://zenzenok.jp/indexp.html
※シネクイントにて公開中。全国順次ロードショー
投稿者 mtoda : 09:46 | コメント (0) | トラックバック (0)



コメント
コメントを送ってください