2008年01月22日

『人のセックスを笑うな』 TEXT by 水上賢治

 ここ数年、日本映画界は女性監督の躍進が目立つ。河瀬直美、西川美和、荻上直子など、多士済々。しかも各々が独自の視点による個性的な作品を発表している。今の日本映画界から多様に語られるのは、彼女たちの活躍なくしてなかったかといってもいいだろう。その中でも個人的に、ひとつ頭抜けた才能を感じるのが、本作を手がけた井口奈己監督だ。

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(C)2008「人のセックスを笑うな」製作委員会

 前作『犬猫』で女性のしたたかさと微妙なバランスで成り立つ友情を描いた彼女が次に選んだのは、山崎ナオコーラの同名小説の映画化。ここで彼女は、女性の中に内在する“性”を軽やかなタッチながら、まるで凝視するように濃密に描き出す。おおよその女性監督は性描写に関すると、どこかこぎれいに美しくまとめてしまう傾向があるように思う。中には男女間の物語でありながらまったく“性”のにおいさえ感じさせない映画もある。その中にあって井口監督の登場人物から引き出すエロティックさとグロテスクさは半端じゃない。

 純情青年19歳のみるめが、39歳の自由奔放女性ユリに翻弄されていくさまを描く。この過程で永作博美が演じるユリと、松山ケンイチが扮するみるめとの間で交わされるキス、会話、視線のいずれもがとんでもなく官能的。大胆なセックス描写があるわけではないが、人と人がどうしようもなく心を惹かれ、体を求め合ってしまう、根源的な“性”そのものをみせつけられる。二人のラブシーンはダイナミックな躍動感があふれ“活劇”にさえ思えてくるほど。どこかベビーフェイスな顔立ちで年相応に見えない永作博美に、これだけの女の色気があったのかと最後はあっけにとられた。恐るべし井口監督の演出である。

(関連サイト)
『人のセックスを笑うな』公式サイト
http://hitoseku.com/
※シネセゾン渋谷にて公開中

投稿者 mtoda : 23:44 | コメント (0) | トラックバック (0)

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