2008年01月18日

『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』 TEXT by 廣田恵介

 「失われた文化を取り戻す」という高いテーマ性が高く評価される本作だが、その文化が、ただのラブソングだというあたり、さすがアイドル全盛の80年代前期。

 映画前半で描かれるマクロス艦内の街も、言ってしまえば80年代に夢見られた「シティ感覚」。決して軽くはないのだが、あの時代の楽観的な気分の刻み込まれた作品だ。

 象徴的なのは、物語が決着する前に、地球が壊滅してしまうこと。それでも、美少女ヒロイン、リン・ミンメイは恋に悩み、最終決戦ではその歌声を朗々と宇宙へ響かせる。滅びかけた地球を救うため艱難辛苦を乗り越えた『宇宙戦艦ヤマト』の旅は何だったのか……と悩んではいけない(監督は『ヤマト』の石黒昇と、この作品で監督デビューした河森正治の共同)。

 パイロットと上官、そしてアイドル歌手との三角関係。それこそが80年代にモラトリアムを過ごした少年たちの抱いていた、軽薄かつ切実な理想だったのだ。そして、そのイマジネーションを高密度な作画で描ききるだけの「才能の無駄余り」が、あの時代には、はち切れんばかりに横溢していたのである。

(関連サイト)
『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』HDリマスター版 メモリアルボックス
http://product.bandaivisual.co.jp/web_service/shop_product_info.asp?item_no=BCBA-3170

投稿者 mtoda : 00:09 | コメント (0) | トラックバック (0)

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