2007年10月29日

『転々』 TEXT by 水上賢治

いつの間にやら“脱力系ムービー”なる新ジャンルを日本映画界に確立させてしまった、三木聡監督。個人的にはもうこれだけで三木監督は、ひとつの偉業を成し遂げたような気がする。でも、三木ワールドはまだまだ継続中であるとともに進化中。今後の新たなる展望とさらなる跳躍を本作でも見せつけている。

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(C)2007「転々」フィルムパートナーズ

『亀は意外と速く泳ぐ』で、上野樹里と蒼井優という、今考えるととてつもない若手女優の共演をあくまでさりげなく実現させている三木監督だが、今回はオダギリジョーと三浦友和という新旧のスター俳優をさらりと手に入れ、独自の笑いと物語世界を紡ぎ出す。物語の大筋は、誤って妻を殺めてしまった取立て屋が自首するまでの散歩に、借金をする若者を付き合わせるというもの。風変わりといえば風変わりな設定ではあるが、その間、2人がすることといえば、あてがないようであるような感じで東京をブラブラ歩くだけだ。

ところが、ここに三木監督のユーモアとトリビア的うんちくがちりばめられると大きく変化。人の人情と、ワビサビがつまり、人生の教訓をウィットに富んだ語り口で伝えるヒューマン・コメディに仕上がる。爆笑一歩手前のクスクス笑いと、なんともつかみどころのない人物を主人公にした三木作品は、やがてはyosジャック・タチや、オタール・イオセリアーニの境地に達する気さえしてきた。

(関連リンク)
『転々』公式サイト
http://tokyosanpo.jp/indexp.html
※11月10日よりアミューズCQN、テアトル新宿ほかにてロードショー

投稿者 tkurio : 23:39 | コメント (0) | トラックバック (0)

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