2007年10月11日

『自虐の詩』 TEXT by 水上賢治

かつて阿部寛にインタビューした際、彼は堤幸彦監督の独特な演出を“ときについていけないこともあるんですけど”と笑いながらも絶賛していた。神業的な間と絶妙なセリフ回しが生む笑いで受け手をくすぐりながら、そのくせ人間もしっかりと描き出す。これこそ堤作品の真骨頂。軽快なギャグ映画を気取りながら、実は骨太の人間ドラマというのが、堤作品らしさのような気がする。

zigyaku.jpg
(C)2007「自虐の詩」フィルムパートナーズ

でも、この独特の世界観は当然ながら諸刃の刃。時に空回りすることがなきにしもあらず。ただ、今回の作品に関してはすべてが、ずばりとはまった印象だ。阿部寛のパンチパーマ姿と微妙な位置にホクロをつけた中谷美紀のメイクからして、もう堤ワールドが炸裂。大阪が舞台らしくコテコテのギャグを織り交ぜ、夫婦の不幸劇をユーモラスに綴っていく。幾度となく登場する“ちゃぶ台ひっくり返し”シーンの撮り方はもう拍手もの。これだけでも見る価値がある。

でも、笑わせながらも、最後は気づくとほろり。いつの間にか人情劇に転じている。勝手ながら堤演出の集大成を感じた。また、堤演出で忘れてならないのが、俳優の“禁断の扉”を開いてしまう大胆なキャラクター作り。今回は、この堤マジックにより、遠藤憲一や西田敏行といった面々が劇中で脇役とは思えない強烈な個性を放っている。この演出術はもはや芸術と断言したい!

(関連リンク)
『自虐の詩』公式サイト
http://www.shochiku.co.jp/jigyaku/
※10月20日より渋谷シネクイントほかにてロードショー

投稿者 tkurio : 19:40 | コメント (1) | トラックバック (0)

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コメント

この映画って、コミックが原作なんですよね。この写真だけでも…w

投稿者 あきら : 2007年10月23日 22:05

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